3月9日(土)上原彩子 ベートーヴェン ピアノソナタ全曲演奏会Vol.1 ![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kirakira.gif)
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東京文化会館小ホール
【曲目】
1.ピアノ・ソナタ第1番ヘ短調 Op.2-1
2.ピアノ・ソナタ第2番イ長調 Op.2-2
3.ピアノ・ソナタ第19番ト短調 Op.49-1
4.ピアノ・ソナタ第20番ト長調 Op.49-2
5.ピアノ・ソナタ第3番ハ長調 Op.2-3
【アンコール】
1.ハイドン/ピアノ・ソナタ第38番ヘ長調 Hob.23 Op.13-3~第1楽章
2.ブラームス/間奏曲イ長調 Op.118-2
「満を持して」という言い方が相応しいだろう。2031年まで毎年、上原彩子によるベートーヴェンのソナタ全曲演奏会シリーズ(全8回)が幕を開けた。ソナタの全曲演奏会の先にはコンチェルトシリーズも予定されているとのこと。初回となった今日は初期に書かれた5曲が選ばれた。
前半は第1番と2番。上原らしい端正ななかに熱いエキスがぎゅっと詰まった、濃密で充実の演奏を聴かせた。殊更にディナミークや特定のフレーズを強調したりせず、音たちが意思を持ってそれぞれの最良の役割を演じ、美しいフォルムを作り上げていく。このようなアプローチでベートーヴェンを聴き手に印象付けるのは流石だが、それに加えてサプライズ的なパフォーマンスを味付けしてくれるといいな、なんて思ってしまうのは場違いな望みだろうか。
後半では更に大きな満足をもたらしてくれた。まずは2曲の「ソナチネ」。作品番号は49だが、作品2と同時期に書かれたということで今日のプログラムに選ばれた。上原はこれらの作品が他の、より規模の大きく複雑なソナタと比べても芸術作品として遜色のない素敵な音楽であることを示してくれた。そこはかとない芳香が立ち昇ったり、哀愁や喜びが滲んだりして、小さな作品が「私だってこんなに魅力があって輝いているんだよ」と、控え目ではあるけれどはっきりと示してくれた。
そして最後に置かれた第3番はリサイタル白眉。様々な感情や情景が生き生きと立ち現れ、次々に様々な感情を呼び起こしてくれる。音楽の気分がピンポイント的に多彩に変化しながらもそれらは有機的に繋がっていて、それまで聴いて来た音の軌跡が一望できるような雄大さを感じる。気持ちがじわりじわりと高まり、心から満ち足りた気分に達した。ベーゼンドルファーを使用した上原のピアノの響きは、お腹にズシッと来る心地よい重量感があり、心の底にある声が静かに、しかしくっきりと聴こえて来た。
上原さんのリサイタルはこれまで空席が目立つことが多くてもったいないと思っていたが、今日の東京文化会館小ホールは超満員。ベートーヴェンと云えどもメジャーなソナタが入っていないプログラムでこれだけ聴衆が集まれば、これからのシリーズは聴衆と共に益々花開いて行くことだろう。そんなシーンのなかに僕も身を置いて行きたい。
上原彩子 デビュー20周年記念ピアノリサイタル 2022.5.11 日経ホール
上原彩子 ピアノリサイタル 2021.3.13 秋川キララホール
上原彩子 ピアノリサイタル 2020.3.25 東京オペラシティコンサートホール
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1.ハイドン/ピアノ・ソナタ第38番ヘ長調 Hob.23 Op.13-3~第1楽章
2.ブラームス/間奏曲イ長調 Op.118-2
「満を持して」という言い方が相応しいだろう。2031年まで毎年、上原彩子によるベートーヴェンのソナタ全曲演奏会シリーズ(全8回)が幕を開けた。ソナタの全曲演奏会の先にはコンチェルトシリーズも予定されているとのこと。初回となった今日は初期に書かれた5曲が選ばれた。
前半は第1番と2番。上原らしい端正ななかに熱いエキスがぎゅっと詰まった、濃密で充実の演奏を聴かせた。殊更にディナミークや特定のフレーズを強調したりせず、音たちが意思を持ってそれぞれの最良の役割を演じ、美しいフォルムを作り上げていく。このようなアプローチでベートーヴェンを聴き手に印象付けるのは流石だが、それに加えてサプライズ的なパフォーマンスを味付けしてくれるといいな、なんて思ってしまうのは場違いな望みだろうか。
後半では更に大きな満足をもたらしてくれた。まずは2曲の「ソナチネ」。作品番号は49だが、作品2と同時期に書かれたということで今日のプログラムに選ばれた。上原はこれらの作品が他の、より規模の大きく複雑なソナタと比べても芸術作品として遜色のない素敵な音楽であることを示してくれた。そこはかとない芳香が立ち昇ったり、哀愁や喜びが滲んだりして、小さな作品が「私だってこんなに魅力があって輝いているんだよ」と、控え目ではあるけれどはっきりと示してくれた。
そして最後に置かれた第3番はリサイタル白眉。様々な感情や情景が生き生きと立ち現れ、次々に様々な感情を呼び起こしてくれる。音楽の気分がピンポイント的に多彩に変化しながらもそれらは有機的に繋がっていて、それまで聴いて来た音の軌跡が一望できるような雄大さを感じる。気持ちがじわりじわりと高まり、心から満ち足りた気分に達した。ベーゼンドルファーを使用した上原のピアノの響きは、お腹にズシッと来る心地よい重量感があり、心の底にある声が静かに、しかしくっきりと聴こえて来た。
上原さんのリサイタルはこれまで空席が目立つことが多くてもったいないと思っていたが、今日の東京文化会館小ホールは超満員。ベートーヴェンと云えどもメジャーなソナタが入っていないプログラムでこれだけ聴衆が集まれば、これからのシリーズは聴衆と共に益々花開いて行くことだろう。そんなシーンのなかに僕も身を置いて行きたい。
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