2012年4月29日(日)
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家族で山にいくときは、眺めのいいところとか、あんまりキツくて長いコースではないなどの条件で選ぶが、更にゴールデンウィークの時期の行き先を決めるポイントとなるのは、 ① 混みすぎない ② 新緑を楽しめる ③ 花が多い ④ のどかな里山の雰囲気がある なども重要になる。①で高尾山は早々に選択肢から外れる。②~④はこのシーズンならではの美しさを堪能するためにやっぱり欠かせない。②の新緑を楽しむには、植林の杉やヒノキばかりが続くコースは避けたい。花粉症にとって辛いだけでなく、植林帯は鳥のさえずりも、道端の花もあまりなくてつまらない。それと、標高が1500メートル以上になってしまうと、GWの頃はまだ芽吹き前なので、標高が高すぎないのもポイントとなる。 そんな条件を満たすコースは、低山ハイクのガイド本にもそれほどいくつも出ているわけではない。そんな中で良さそうに思ったのが中央本線の猿橋駅から望む百蔵山。富士山の秀麗な眺めで有名で、植林地帯は多いようだが上の方は雑木林もあり、頂上付近には桜がたくさん咲いているらしい。今年は下界でも梅や桜は遅かったので、この時期ならまだ桜を楽しめるかも知れない。去年の旅行で立ち寄った猿橋ももう一度見てみたい。 ということで、今年のGWファミリーハイキングは、百蔵山から猿橋の周遊コースを歩いた。 猿橋駅から百蔵山の登山口になる福泉寺まではバスがあるものの、土曜と休日は運行していない。駅前にはタクシーもいなかったので、電話で来てもらった。福泉寺までの料金は、ガイドには1600円と書いてあったが、970円で行けた。ここからしばらくは集落のなかの道を歩く。途中、畑の中で道が二股に分かれるところがあり右へ入って行ったら、農作業をしている人が「そっちじゃないよ」と教えてくれた。
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きつめの登りがずっと続く。さっきの登山口から30分で着くはずの金比羅宮にもなかなかつかない。
ガイドに書いてあるとおりに、金比羅宮からは山道は一層傾斜がきつくなった。
![]() ツツジはほかにもいくつか咲いているところがあったが、今年の冬は寒くて春の到来も遅かったので、ツツジの開花も遅れ気味という感じだった。 だけど、尾根線を歩いていると山桜がまだ花をたくさん残していて、山道はあちこちが花びらで飾られていた。 ![]()
歩き始めて約2時間半、ようやく百蔵山の山頂(1003m)に到着した。頂上は広場のようにのびやかで、たくさんの人たちがお弁当を広げていた。桜の木が何本もあって、きれいな花を咲かせていた。 展望もなかなか見事。三ツ峠や御正体山、そしてまだ真っ白く雪に覆われた富士山も見えた。この景色は富士山から少し左の方を見た眺め。 ![]() クリックで拡大 桜の木に近く、景色もよく見える場所を選んでお昼にした。周りにも登山者はけっこういるが、山ガールブームを反映してか若いおねえちゃんたちがたくさんいて楽しそうに弁当を広げていた。中高年グループのおじさんたちが嬉しそうに山ガールに話しかけていた。 ![]() 頂上の桜はソメイヨシノだそうだが、下界のソメイヨシノに比べると質素な趣がある。1000メートルの山頂という、風雨などももろに受ける厳しい気象条件にも耐えている健気さを感じた。 ![]() 山頂では富士山を入れてスケッチをした。コンパクトデジカメでは薄くてよくわからないが、目で見た富士山の印象はこのスケッチ以上に存在感もあるし、惹きつけられる。 ![]() 山頂でたっぷり2時間のんびり過ごし、さて下山のコースとしてガイドやブログなどに出ているポピュラーなものは、来た道を10分ほど戻り、表登山道を下って猿橋駅へ向かうコース。だが、、「嫌というほどの、杉、杉、杉の林」という百蔵山のブログレポートを読んで、別のコースはないものかと思っていたら、地図に表登山道まで戻らないで、山頂の少し先を下山する道が出ていた。 今朝、猿橋駅に着いたとき百蔵山が目の前に見えたので山肌の様子を観察したら、ちょうど山の中央あたりに杉林と思しきエリアが黒々と見えた。その少し右にズレたあたりは山肌の色が薄くて、ここは杉林ではなさそう。地図に出ていたもう一つの下山道はその杉林ではないところにありそうだったので、こちらを下ることにした。 下山路に入るといきなりかなり急な滑りやすい砂地のザレ場がしばらく続いた。
ミツバツツジだって登ってきた道以上にたくさん咲いていた。 ![]()
雑木林でのおもしろさでは幹だけでなく、根っこだって負けてはいない。こちらは幹のメロディーを支えるベースといったところだろうか。 ![]()
こんな倒木があるのも、変化に富んだ雑木林ならでは。初々しい薄緑色の若葉が目に沁みる。 ![]() この雑木林は、結局表登山道と合流するまでほぼずっと続いていた。こちらを選んで大正解だった。 市営総合グラウンドの近くから振り返ると、下りて来た百蔵山が見渡せた。こうしてみると植林帯と雑木林のエリアはくっきりと分かれているのがわかる。植林帯がずいぶん多いが、僕たちは右側にある自然林地帯を下りて来たわけだ。 ![]() このあと、まっすぐに猿橋駅には向かわず、中央高速の高架をくぐったあと川沿いに左へそれて、日本三奇橋の一つとされる猿橋を訪れた。中央道の高架下の分岐から結構歩いたが、この橋はやっぱり見る価値あり。去年も車で寄ったが、歩いてたどり着くと感慨もひとしお。
この橋と平行して、発電用の水が勢いよく流れる歴史のありそうな水路橋もある。近くには神社や昔ながらのお店が並んでいて、ちょっとした歴史地区になっている。猿橋の横には石段があって、桂川の渓谷へ下りることもできる。紅葉の季節はまたきれいな渓谷美を楽しめそう。 猿橋から駅までは約1.5キロ。バスがあれば乗りたかったが、休日はこちらもバスはなかった。約20分歩いて駅に着いた。 新緑と花と富士山、それに渓谷や歴史ある景観も楽しめたGWハイキングだった。 《行程》 福泉寺10:00 →金比羅宮11:15 →12:25百蔵山山頂14:25 →表登山道合流地点15:37→市営グラウンド16:05→16:30猿橋17:10 →猿橋駅17:30 ![]() |