7月1日(土)サントリーホール《土曜サロン》クラシック雑学事始め
第4回 「ドイツの音楽と葡萄酒」
サントリーホール小ホール
【おはなし】
ドイツ葡萄酒のおはなし
【講師】
皆川達夫
【曲目】
1. バッハ/カンタータ「わしらの今度の領主さま」(農民カンタータ)BWV212から2,13,14,16,20~24曲
2. ブラームス/「5つの歌」から「愛の歌」Op.71-5
3.ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ ヘ長調Op.24「春」から第1楽章
4.ベートーヴェン/ロマンス ヘ長調Op.50
【アンコール】
1. クライスラー/美しきロスマリン
2.クライスラー/愛の悲しみ
3.J.シュトラウス/「こうもり」から「乾杯の歌」
【演 奏】
S:田島茂代/Bar:今尾滋/Vn:篠崎史紀/Pf:桑生美千佳
まろさんのソロが聴けるということで、Kさんからチケットを譲っていただいて出かけたコンサートだったが、この会での主役は相当むかしFMのバロック音楽番組での名解説が懐かしい皆川達夫さん。近頃名前を聞かなくなったような気がしていたが、大変お元気そうで楽しくためになるドイツワインの話を聞かせてくれた。
話で一番印象に残ったのはしかしワインの話ではなく、前回の《土曜サロン》での「日本の音楽にはなぜハーモニーがないのか」という質問への回答。
「ハーモニーがある音楽が進んだ音楽という考えは間違い。世界のいたるところで複雑なハーモニーを使った民族音楽がある。ヨーロッパでもグレゴリア聖歌のような単旋律音楽がある一方で、多声部音楽もあった。日本人は大陸から渡ってきた笙のようなハーモニーを奏でる楽器も単旋律で演奏するなど、単旋律に「美」を見出し追求してきた。シンプルなものが美しいとする民族性があるのではないか。それと、ヨーロッパのような石造りの建造物では音が良く響き、倍音を体験し易い環境にあるのに対し、日本の木造の環境は単旋律の音楽が根付き易かったのではないか。」
といった話に「なるほど」と思った。倍音体験ということで、聴衆に声を出させて会場全体でハモったのも楽しい体験だった。でも倍音は聞こえなかったなぁ、、、
休憩時間のフリードリンクサービスもうれしいが、ドイツワインは「マドンナ」と「シュヴァルツェ・カッツ」という日本のスーパーでも売っているワインしかなかったのは残念。話に出てきた宮内庁御用達の高級ワイン”Scharzhofberger”というのをドイツに行った時には是非飲んでみたい。
さて、後半の演奏も皆川さんの話を織り交ぜて楽しく進められた。バッハがお堅い宗教作曲家ではなく、いかに人間臭い人物だったかという話も面白かった。美千佳さんの軽やかなピアノに乗って歌われた「農民カンタータ」、田島さんの清々しい歌唱と今尾さんのたっぷりとした歌い口とつややかな声が印象的。
お待ちかねのマロさんのスプリングソナタは柔らかく自然な歌、ピアノとの軽妙なやり取り、展開部での心地よい緊張感などなど素敵な演奏が繰り広げられ、1楽章しか聞けないのが残念。「フワッ」と空気の流れが一瞬休止したり、方向を変えたりという絶妙なポイントでのピアノとの息もぴったりで、マロさんの著書「ルフトパウゼ」を思い出す。この乗りはアンコールの2曲のクライスラーで益々増幅。マロさんのクライスラーはホイリゲの生演奏で聴くようなウィーン臭さが抜群のテクニックによって繊細に表現されて素敵な香りと品格を生む。美千佳さんのピアノがぴたっとハマったような絶妙なウィーンのリズムで盛り上げた。
マロさんが運んできたウィーンの心地よい風が、最後の「乾杯の歌」でも吹きつづけ、会場は華やいだ気分になった。
第4回 「ドイツの音楽と葡萄酒」
サントリーホール小ホール
【おはなし】
ドイツ葡萄酒のおはなし
【講師】
皆川達夫
【曲目】
1. バッハ/カンタータ「わしらの今度の領主さま」(農民カンタータ)BWV212から2,13,14,16,20~24曲
2. ブラームス/「5つの歌」から「愛の歌」Op.71-5
3.ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ ヘ長調Op.24「春」から第1楽章
4.ベートーヴェン/ロマンス ヘ長調Op.50
【アンコール】
1. クライスラー/美しきロスマリン
2.クライスラー/愛の悲しみ
3.J.シュトラウス/「こうもり」から「乾杯の歌」
【演 奏】
S:田島茂代/Bar:今尾滋/Vn:篠崎史紀/Pf:桑生美千佳
まろさんのソロが聴けるということで、Kさんからチケットを譲っていただいて出かけたコンサートだったが、この会での主役は相当むかしFMのバロック音楽番組での名解説が懐かしい皆川達夫さん。近頃名前を聞かなくなったような気がしていたが、大変お元気そうで楽しくためになるドイツワインの話を聞かせてくれた。
話で一番印象に残ったのはしかしワインの話ではなく、前回の《土曜サロン》での「日本の音楽にはなぜハーモニーがないのか」という質問への回答。
「ハーモニーがある音楽が進んだ音楽という考えは間違い。世界のいたるところで複雑なハーモニーを使った民族音楽がある。ヨーロッパでもグレゴリア聖歌のような単旋律音楽がある一方で、多声部音楽もあった。日本人は大陸から渡ってきた笙のようなハーモニーを奏でる楽器も単旋律で演奏するなど、単旋律に「美」を見出し追求してきた。シンプルなものが美しいとする民族性があるのではないか。それと、ヨーロッパのような石造りの建造物では音が良く響き、倍音を体験し易い環境にあるのに対し、日本の木造の環境は単旋律の音楽が根付き易かったのではないか。」
といった話に「なるほど」と思った。倍音体験ということで、聴衆に声を出させて会場全体でハモったのも楽しい体験だった。でも倍音は聞こえなかったなぁ、、、
休憩時間のフリードリンクサービスもうれしいが、ドイツワインは「マドンナ」と「シュヴァルツェ・カッツ」という日本のスーパーでも売っているワインしかなかったのは残念。話に出てきた宮内庁御用達の高級ワイン”Scharzhofberger”というのをドイツに行った時には是非飲んでみたい。
さて、後半の演奏も皆川さんの話を織り交ぜて楽しく進められた。バッハがお堅い宗教作曲家ではなく、いかに人間臭い人物だったかという話も面白かった。美千佳さんの軽やかなピアノに乗って歌われた「農民カンタータ」、田島さんの清々しい歌唱と今尾さんのたっぷりとした歌い口とつややかな声が印象的。
お待ちかねのマロさんのスプリングソナタは柔らかく自然な歌、ピアノとの軽妙なやり取り、展開部での心地よい緊張感などなど素敵な演奏が繰り広げられ、1楽章しか聞けないのが残念。「フワッ」と空気の流れが一瞬休止したり、方向を変えたりという絶妙なポイントでのピアノとの息もぴったりで、マロさんの著書「ルフトパウゼ」を思い出す。この乗りはアンコールの2曲のクライスラーで益々増幅。マロさんのクライスラーはホイリゲの生演奏で聴くようなウィーン臭さが抜群のテクニックによって繊細に表現されて素敵な香りと品格を生む。美千佳さんのピアノがぴたっとハマったような絶妙なウィーンのリズムで盛り上げた。
マロさんが運んできたウィーンの心地よい風が、最後の「乾杯の歌」でも吹きつづけ、会場は華やいだ気分になった。