9月9日(土)ユベール・スダーン指揮 東京交響楽団
サントリーホール
【曲目】
1.モーツァルト/フリーメイソンのための葬送音楽ハ短調K.477
2.モーツァルト/クラリネット協奏曲イ長調K.622
Cl:赤坂達三
3. モーツァルト/交響曲41番ハ長調K.551「ジュピター」
【アンコール】
1.モーツァルト/行進曲K.62
2.モーツァルト/カッサシオンK.63
4月の新国立劇場「コジ・ファン・トゥッテ」での東響が素晴らしかったのと、5月のスーダーン/モーツァルテウム管弦楽団にシビレたのとで、今夜のスダーン指揮の東響には大いなる期待を抱いて出かけたが、期待にたがわぬ素晴らしいモーツァルトを聴けた!
「フリーメイソンの葬送曲」では神妙な管の導入とそれに続く弦のエッジの効いた鋭い切り口が心に突き刺さるよう。各パートがクリアに切々と訴え、デモーニッシュなものさえ伝わってくるすごい演奏に、次への期待が高まる。
続くクラリネットコンチェルトのは、前の曲とは全く違う柔らかなタッチの弦で始まった。早めのテンポが心をくすぐる素晴らしい前奏に続き赤坂さんのソロが入る。赤坂さんのクラリネットはウィットに富み、とてもチャーミングで活き活きとして自由自在に駆け回る。オケとの軽妙なやり取りが心すく素敵な演奏だった。
「ジュピター」では、ほど良い重さと弾力性を持った開始の三打音と、それに対比する弦の何ともエレガントな応答を聴いた時から「名演」を予感。ひとつひとつのフレーズが始まって終わるまでの何とも自然な呼吸、多彩で細やかな表情、湧き出るような感情の高まりと静まり… これらが次々と繰り広げられ、気持ちをどんどんと高めて行く。第1楽章や4楽章の提示部を今回はリピートしてくれるのも嬉しい。スダーンの指揮はその姿を見ているだけで音楽がどんな表情でどこへ向かうのかが自然に伝わってくる。
3楽章のメヌエットも本当に優雅なダンスだ。トリオではウィンナワルツのような絶妙なリズムが刻まれる。メヌエットを踊った二人が最後に片ひざを軽くまげてつま先をつき、微笑んで踊りを終えるような仕草が目に浮かぶ何ともエレガントな終わり方も心憎い。
そして音と光の饗宴の第4楽章!わくわくする開始部が一旦収まったあと36小節から静かに折り重なるノンビブラートの柔らかな弦のフーガと、それに続くトゥッティの対比は、柔らかく浮遊する羽毛と、力強くしなやかに空へと向かう翼の対比のように鮮やか。弦も管も伸びやかに自分達の歌を自由に謳歌し、まさに光溢れる楽園の世界!本当に素晴らしい名演に接することができた。
スダーンはモーツァルテウム管弦楽団の時に感じた以上に表情豊かでわくわくするような音楽を引き出したし、東響はそうしたスダーンの求めるものに柔らかな感性で敏感に反応し、気負うことなくそれを音にして聴衆へと届けた。デリケートな弦から、内声のホルンやトランペットに至るまでどのパートも見事な演奏で、何一つ不満はない。
アンコール2曲目ではモーツァルテウム管弦楽団の時にも聴いた「カッサシオン」の優雅な舞に、東京にいることを忘れた。スダーン/東響はこれからも目が離せない。
サントリーホール
【曲目】
1.モーツァルト/フリーメイソンのための葬送音楽ハ短調K.477
2.モーツァルト/クラリネット協奏曲イ長調K.622
Cl:赤坂達三
3. モーツァルト/交響曲41番ハ長調K.551「ジュピター」
【アンコール】
1.モーツァルト/行進曲K.62
2.モーツァルト/カッサシオンK.63
4月の新国立劇場「コジ・ファン・トゥッテ」での東響が素晴らしかったのと、5月のスーダーン/モーツァルテウム管弦楽団にシビレたのとで、今夜のスダーン指揮の東響には大いなる期待を抱いて出かけたが、期待にたがわぬ素晴らしいモーツァルトを聴けた!
「フリーメイソンの葬送曲」では神妙な管の導入とそれに続く弦のエッジの効いた鋭い切り口が心に突き刺さるよう。各パートがクリアに切々と訴え、デモーニッシュなものさえ伝わってくるすごい演奏に、次への期待が高まる。
続くクラリネットコンチェルトのは、前の曲とは全く違う柔らかなタッチの弦で始まった。早めのテンポが心をくすぐる素晴らしい前奏に続き赤坂さんのソロが入る。赤坂さんのクラリネットはウィットに富み、とてもチャーミングで活き活きとして自由自在に駆け回る。オケとの軽妙なやり取りが心すく素敵な演奏だった。
「ジュピター」では、ほど良い重さと弾力性を持った開始の三打音と、それに対比する弦の何ともエレガントな応答を聴いた時から「名演」を予感。ひとつひとつのフレーズが始まって終わるまでの何とも自然な呼吸、多彩で細やかな表情、湧き出るような感情の高まりと静まり… これらが次々と繰り広げられ、気持ちをどんどんと高めて行く。第1楽章や4楽章の提示部を今回はリピートしてくれるのも嬉しい。スダーンの指揮はその姿を見ているだけで音楽がどんな表情でどこへ向かうのかが自然に伝わってくる。
3楽章のメヌエットも本当に優雅なダンスだ。トリオではウィンナワルツのような絶妙なリズムが刻まれる。メヌエットを踊った二人が最後に片ひざを軽くまげてつま先をつき、微笑んで踊りを終えるような仕草が目に浮かぶ何ともエレガントな終わり方も心憎い。
そして音と光の饗宴の第4楽章!わくわくする開始部が一旦収まったあと36小節から静かに折り重なるノンビブラートの柔らかな弦のフーガと、それに続くトゥッティの対比は、柔らかく浮遊する羽毛と、力強くしなやかに空へと向かう翼の対比のように鮮やか。弦も管も伸びやかに自分達の歌を自由に謳歌し、まさに光溢れる楽園の世界!本当に素晴らしい名演に接することができた。
スダーンはモーツァルテウム管弦楽団の時に感じた以上に表情豊かでわくわくするような音楽を引き出したし、東響はそうしたスダーンの求めるものに柔らかな感性で敏感に反応し、気負うことなくそれを音にして聴衆へと届けた。デリケートな弦から、内声のホルンやトランペットに至るまでどのパートも見事な演奏で、何一つ不満はない。
アンコール2曲目ではモーツァルテウム管弦楽団の時にも聴いた「カッサシオン」の優雅な舞に、東京にいることを忘れた。スダーン/東響はこれからも目が離せない。