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東京のオペラの森「ムーティのヴェルレク」

2006年04月06日 | pocknのコンサート感想録2006
4月6日(木)東京のオペラの森「ムーティ指揮ヴェルディのレクィエム」
東京文化会館

【曲目】
◎ヴェルディ/レクィエム

【演 奏】
S:バルバラ・フリットリ/MS:エカテリーナ・グバノワ/T:ジュゼッペ・サッバティーニ/B:イルデブランド・ダルカンジェロ
リッカルド・ムーティ指揮 東京のオペラの森管弦楽団/東京のオペラの森合唱団

大いなる期待を持って臨んだムーティ指揮のヴェルレク、立派な公演だったとは思うのだが、ムーティへの期待の大きさと高いチケット代を考えるとちょっと物足りない気がした。

開演が大幅に遅れたにもかかわらず、ムーティが指揮を振り下ろす前の会場は水を打ったように静まり返り、それだけでも期待が膨らんだのだが、名演の時には必ず体験する、実際の音以上に伝わってくる、立ち昇ってくるような空気を感じることはなかった。

その原因は、寄せ集めのオーケストラにあるのかも知れない。個々のプレーヤーの力量はハイレベルでも、特に弦楽器セクションが、アンサンブルとして温まっておらず、湧き上がるような息の長い歌を聴かせて欲しいところで、「?」と感じることが多かった。チェロのユニゾンではお粗末とさえ感じる部分もあった。「怒りの日」でのファンファーレでは気分が最高潮に達するはずなのに、客席に配されたトランペットの一瞬のズレやカスレなどで、そこまでの気分になれなかったことも尾を引いた。スカラ座フィルを連れて来ないまでも、在京のオケにまるごと任せたほうが良い結果が生まれたのではないだろうか。

合唱は、そのパワーと奥行きのある表現力、高級感のある音色など、そのレベルの高さを十分に示したし、4人のソリスト達も実力を十分に発揮したことは確か。しかし、ソリストについても「鬼気迫る」といった、尋常でないものを感じるまでには至らなかった。全体としては一定の水準以上だったとは思うが、高いお金を払い、時間を割いて生演奏を聴きに行くのは、CDを聞く以上の感動を求めるから。終演後の拍手と歓声は、特にムーティ一人が登場した時などスゴかったし、自分の感性が今夜はたまたま鈍っていたせいかも知れない。

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4 コメント

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すみだトリフォニーホールでは (一静庵)
2006-04-09 22:15:06
圧倒され、感動致しました!

この日はバルコニーのトランペットも、とても良かったと思います。また、ファゴットやトロンボーン、チンバッソなど、ほんと聴かせてくださいました。弦の厚みというようなものもかなり感じました。

ソリストも合唱も素晴らしかったと思いますが、特にフリットリさんの歌は本当に鬼気迫るものがありました。

客席も非常に集中していて、同じ時空を共有していることに、どなたもが喜んでいらっしゃったように感じました。
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Unknown (pockn)
2006-04-10 09:34:21
一静庵さん、トリフォニーの感想ありがとうございました。今回はホールで選んで文化会館の日にしたのですが、結果としては2日目の方がオケの結束も強まったようですね。「寄せ集め」と言っても、ハイティンク指揮のスーパーワールドオーケストラなんかではすごい演奏聴いた経験あるし、 それだけをネガティヴに捉えることはできないとは思っています。フリットリのソプラノは6日も十分凄かったと思います。
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文化会館で (bernard)
2006-04-23 00:38:54
初めてお便りします。文化会館で聴いてきました。指揮者が遅れてきたのは私の推理では、夕飯を食べていたのだと思います。マネージャーらしき人が、ステージの数人の奏者に耳打ちし、フルートの工藤さんたちがいったん引き上げてから、ニヤニヤしながら再登場。これはムーティのわがままに違いないと思いました。そう思った時点で、興ざめです。演奏が始まると、出だしのppに引きつけられ、怒りの・・・までは良かったのですが、その後の、遅いテンポについていけなくなりました。音楽が停滞していて、まるでワーグナーのような長さを感じました。あっという間に終わる爽快な演奏を期待していたのですが、肩透かしを食った感じです。オケ・合唱・soloと皆さん一生懸命が見えていただけにチト残念。特に、soloの4人さんは終盤、相当にお疲れのご様子でありました。チケット、高かったかな?
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遅れたワケ (pockn)
2006-04-24 10:16:37
bernardさん、コメントありがとうございます。この日はコンサートの後に用事があったので、あの20分の遅れは結構アセりました。ムーティは食事でしたか!? さすがイタリア人って感じですね。

随分前のことですが、ウィーンフィルの某クラの団員が遅れてステージに登場した時は「チケット代返せ!」と言いたくなるほど大いに興醒めしましましたが、指揮者が来なくちゃあ演奏は始まりませんから、その点では良かったです。
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