6月20日(木) 鈴木優人 指揮 NHK交響楽団
《2024年6月Bプロ》 サントリーホール
【曲目】
1.ウェーベルン/パッサカリア Op.1
2.シェーンベルク/ヴァイオリン協奏曲 Op.36
(アンコール)
♪ ギユマン/無伴奏ヴァイオリンのためのアミュズマン Op.18~ 第12曲 アルトロ
Vn:イザベル・ファウスト
3.バッハ/ウェーベルン編/リチェルカータ
4.シューベルト/交響曲第5番変ロ長調 D.485
6月N響Bプロは2年振りに鈴木優人が指揮台に上がった。なかなか興味をそそる選曲。最初のウェーベルンの「パッサカリア」は瑞々しい切れと冴えがあり、覚醒した響きが生き生きと発せられ、N響の機能美も十分に生かされた。鈴木の明快でメリハリの効いた指揮が音楽を能動的に息づかせ、ドラマチックな高揚感ももたらした好演となった。
この演奏が始まってからお腹がちょっとヤバい感じになり、拍手が始まってすぐトイレへ。何とか間に合って(ほっ・・・)、次は12音技法で書かれたシェーンベルクの作品。ここでは何と云ってもイザベル・ファウストのヴァイオリンが光輝いた。といっても華美な演奏ではなく、ストイックで研ぎ澄まされたヴァイオリンを聴かせるのがファウストの真骨頂。緻密に構成されたシェーンベルクの音楽を、ファウストは精巧な金細工作品を作り上げて行くように繊細に表現して行く。高音の澄み切った音色の美しさなどは並外れたものではあるが、ファウストのヴァイオリンの美しさはとりたてて耳を引く美音というよりも、全体の佇まいから醸し出される静謐な美しさと云ったらいいのだろうか。シェーンベルクの音楽がかくも美しいということを認識させられる徹底的な美を追求した演奏と云っていい。
鈴木/N響は最初のウェーベルンの好演をそのまま引き継いで、ファウストのヴァイオリンと同質の冴えた美しい音楽を響かせた。管楽器のソロの妙技にも聴き惚れ、こういう曲でのN響の実力は流石だと感じた。
後半はウェーベルン編曲のバッハで開始。このアレンジのイメージは静けさにあるが、今夜の演奏は肉付けされたふくよかな演奏だった。N響名物の飛び入りコンマスの西村さんをはじめ弦はたっぷりヴィヴラートをかけていたし、響きも厚めでパワフルでさえあったが、このアレンジの本来の良さはもっとストイックなものではないだろうか。
シューベルトでも同じように感じた。オケ(12型)はもっと小編成にしてスタイルも響きもスリムにした方が鈴木の良さが出るのではと思った。ここでは前半で耳を引いた冴えや瑞々しさも後退し、響きにふくらみは加わったが、全体からシューベルトのどんな顔を伝えたいのかというメッセージが弱かった気がする。
長年続けて来たBプロ会員は今夜限りで、来シーズンからはCプロに移る予定。サントリーホールは響きも雰囲気も良く、サントリーホール主催のN響シリーズからここでN響を聴いて来たが、Bプロは料金が跳ねあがるし、合唱付きの大規模な曲をやってくれないのも不満。客層も僕にはちょっと馴染まない。けれど長い間楽しませて頂きました。RCブロック最前列、ひとつ空きますよ。
鈴木優人プロデュース:読響アンサンブル・シリーズ 2023.3.8 トッパンホール
ファウスト & フォン・デア・ゴルツ & ベザイデンホウト 2023.10.10 王子ホール
2022年6月B定期(鈴木優人 指揮)2022.6.23 サントリーホール
イザベル・ファウストによるバッハの無伴奏 2021.11.17 東京オペラシティ
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この演奏が始まってからお腹がちょっとヤバい感じになり、拍手が始まってすぐトイレへ。何とか間に合って(ほっ・・・)、次は12音技法で書かれたシェーンベルクの作品。ここでは何と云ってもイザベル・ファウストのヴァイオリンが光輝いた。といっても華美な演奏ではなく、ストイックで研ぎ澄まされたヴァイオリンを聴かせるのがファウストの真骨頂。緻密に構成されたシェーンベルクの音楽を、ファウストは精巧な金細工作品を作り上げて行くように繊細に表現して行く。高音の澄み切った音色の美しさなどは並外れたものではあるが、ファウストのヴァイオリンの美しさはとりたてて耳を引く美音というよりも、全体の佇まいから醸し出される静謐な美しさと云ったらいいのだろうか。シェーンベルクの音楽がかくも美しいということを認識させられる徹底的な美を追求した演奏と云っていい。
鈴木/N響は最初のウェーベルンの好演をそのまま引き継いで、ファウストのヴァイオリンと同質の冴えた美しい音楽を響かせた。管楽器のソロの妙技にも聴き惚れ、こういう曲でのN響の実力は流石だと感じた。
後半はウェーベルン編曲のバッハで開始。このアレンジのイメージは静けさにあるが、今夜の演奏は肉付けされたふくよかな演奏だった。N響名物の飛び入りコンマスの西村さんをはじめ弦はたっぷりヴィヴラートをかけていたし、響きも厚めでパワフルでさえあったが、このアレンジの本来の良さはもっとストイックなものではないだろうか。
シューベルトでも同じように感じた。オケ(12型)はもっと小編成にしてスタイルも響きもスリムにした方が鈴木の良さが出るのではと思った。ここでは前半で耳を引いた冴えや瑞々しさも後退し、響きにふくらみは加わったが、全体からシューベルトのどんな顔を伝えたいのかというメッセージが弱かった気がする。
長年続けて来たBプロ会員は今夜限りで、来シーズンからはCプロに移る予定。サントリーホールは響きも雰囲気も良く、サントリーホール主催のN響シリーズからここでN響を聴いて来たが、Bプロは料金が跳ねあがるし、合唱付きの大規模な曲をやってくれないのも不満。客層も僕にはちょっと馴染まない。けれど長い間楽しませて頂きました。RCブロック最前列、ひとつ空きますよ。
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