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金子みすゞの詩による歌と朗読

2020年01月19日 | pocknのコンサート感想録2020
1月13日(月)
クローバーの会 コンサート Vol.1 金子みすゞの詩による歌と朗読

~色々な作曲者の作品を味わってみよう~
蕨市文化ホール くるる

♪松岡宏明/わらい
♪中田喜直/わらい
 柏﨑伸子(S)
♪中田喜直/星とたんぽぽ
♪高島 豊 /星とたんぽぽ
 山中久恵(S)
♪中田喜直/こだまでしょうか
♪松岡宏明/こだまでしょうか
 杉田明美(S)
♪中田喜直/こころ
♪松岡宏明/こころ
 秋葉コーダイ(B)
♪ ♪ ♪
♪高島 豊 /積もった雪
♪高島 豊/鯨法会
 柏﨑伸子(S)
♪中田喜直/みんなをすきに
♪高島 豊 /山ざくら
 山中久恵(S)
♪高島 豊/風
♪高島 豊/私と小鳥と鈴と
 杉田明美(S)
♪高島 豊/花屋の爺さん
♪高島 豊/大漁
 秋葉コーダイ(B)

(全員合唱)
♪ふるさと

Pf:坂下戀雅、豊國由美子/朗読:田中佳志子/司会:篠原弘子

拙作の金子みすゞの歌をこれまで何度も演奏会で取り上げてくださっているソプラノ歌手の杉田明美さんが、歌い手4人によるみすゞの歌曲だけのコンサートを開いた。会場の「くるる」が超満員だったのも驚きだったし、プログラムを見て4人全員の歌い手さんが2曲ずつ拙作を歌ってくださると知り、更に嬉しい驚き。

コンサートの趣旨はタイトルにあるように「歌と朗読」に耳を傾け、「色々な作曲者の作品を味わう」こと。それぞれの歌の演奏の前に入った田中さんによるみすゞの詩の朗読は、いつもながら落ち着きのある中に気持ちの高揚が節度を持って織り込まれ、みすゞの言葉をより近く感じつつ歌を聴くことが出来、「色々な作曲者の作品」を聴くことで、みすゞの詩の世界の多様性を発見することができた。

前半のプログラムは同じ詩に2人の作曲者が附曲した歌の聴き比べで、中田喜直先生と松岡宏明氏の歌の組み合わせが中心。みすゞの詩にはたくさんの歌が付けられていることは知っているが、他の作曲者のみすゞの歌は、演奏会でたまたま出会うとき以外は極力聴かないようにしていた。印象に残ってしまうと自分の作曲に影響を与える危険があるので。なので中田先生のみすゞの歌も殆ど知らなかったが、やはり中田喜直の歌には優しい微笑みが溢れ、シンプルで深く心に残る。松岡宏明という作曲家は知らなかったが、歌謡性に富んだ親しみやすさと透明感を感じた。どちらの歌からもそれぞれにみすゞさんへの愛情が伝わってきた。

後半の8曲は畏れ多くも7曲が拙作の歌。4人の歌手全員が拙作を選んでくださった。それぞれが自由に選曲した偶然の結果だと云うが光栄の至りである。柏﨑さんの歌は柔らかさと強さを持ち、香り高くみすゞの抒情を表現した。坂下さんの切々としたピアノも心に響いた。中山さんは、前半で演奏してくださった拙作も含め清楚で自然体の歌唱が素直に届いてきた。杉田さんは一時体調を崩され、演奏活動を休止されていたが見事に復活し、磨きのかかった声で朗々と、心の底からみすゞの思いを熱く歌い上げた。秋葉さんは後半で詩に合わせた和装に着替え、みすゞの世界を視覚的にも訴えてきた。芯のあるピュアな声で寂しさや優しさ、無常観が真っすぐに届けられた。豊國さんの力強く厳しさのあるピアノも、その心情をうまく表現していた。

演奏者皆さんが、みすゞの歌を愛情込めて大切に演奏して素敵な歌を聴かせてくださり、こんなに沢山の方々に聴いて頂くことができて、有り難く幸せな時間だった。ありがとうございました。

この日演奏されたみすゞの歌のうち3曲は以下のYouTubeで公開中です。その他の作品も一緒にお楽しみください。

「積もった雪」
「鯨法会」
MS:小泉詠子/Pf:田中梢
「私と小鳥と鈴と」
S:薗田真木子/Pf:梅田朋子

♪その他♪
「子守歌」~チェロとピアノのための~
Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美
合唱曲「野ばら」
中村雅夫指揮 ベーレンコール
金子みすゞ作詞「さびしいとき」
MS:小泉詠子/Pf:田中梢
「森の詩」~ヴォカリーズ、チェロ、ピアノのためのトリオ~
MS:小泉詠子/Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美

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