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ガッティ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

2009年05月31日 | pocknのコンサート感想録2009
5月18日(月)ダニエレ・ガッティ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
~ウィーン芸術週間オーケストラ公演~
ウィーン・コンツェルトハウス
【曲目】
1.ロッシーニ/歌劇「セヴィリアの理髪師」序曲
2.ストラヴィンスキー/バレエ音楽「カルタ遊び」
3.プレヴィン/ハープと管弦楽のための協奏曲
ハープ:グザヴィエ・ドゥ・メストレ
4.メンデルスゾーン/交響曲第4番イ長調Op.90「イタリア」



ウィーンのコンツェルトハウスは太い大理石の柱がホールを取り囲み、豪華なシャンデリアが輝き、金の細かい装飾が四方と天井に散りばめられた宮殿の大広間のような美しいホール。そこで奏でられたウィーン・フィルの音もまた極上だった。

1曲目の「セヴィリアの理髪師」はオーケストラが食い入るように前のめりに曲を進めるとても能動的な演奏。音が熱を帯び充実した響きがホールを満たした。

続くストラヴィンスキーはあまり馴染みのない曲。新古典的な音楽の中にワイルドなリズムや血を感じる。ガッティ/ウィーン・フィルは明快で彫りの深い演奏を展開。生命力に満ち溢れる演奏で聴き手のハートを捕え続けた。曲の途中で「セヴィリアの理髪師」と同じモチーフが繰り返し現れ、プログラミングの意図が見えた。

休憩後のプレヴィンのハープ協奏曲は前半の2曲とは趣きを違えた優雅で豊穣な弦の響きで始まった。たっぷりと新鮮な空気を呼吸し、滑らかな歌を醸し出すウィーン・フィルの語り口とシルクのような響きに心を奪われる。ドゥ・メストレのハープは優雅に繊細にオケと語り合う。3楽章の長いカデンツァもレースを編み上げるように柔らかく細やかに綴ってゆく。

プレヴィンのこの曲は初めて聴くが素敵な音楽だ。晩年の武滿のような香り高さと、プレヴィンらしい粋な遊び心が伝わってくる。ガッティはこうしたおしゃれな曲もうまい、と感心。こうなると「イタリア」への期待が益々高まる。

ガッティはその「イタリア」の開始をたっぷりと溜めて長い息で歌わせ、聴き慣れた演奏とはかなり違ったアプローチ。オペラのアリアのようなルバートも入り、情感たっぷりの熱い演奏。終盤はぐっとテンポアップして盛り上げる。第2楽章の弦の刻みは鼓動のように胸に迫り、第3楽章は心の底から温かく語り掛けてくる親密さに心底共感を覚え胸がキューンときた。フィナーレのスピード感とテンションの高さもすごい!ガッティの演奏は常に熱く、音色も温かく人間味に溢れている。そんな熱いハートで最後のシーンを思い切りアッチェルランドしてなだれ込むように曲を閉じた。感動!

それにしてもウィーン・フィルの豊かで深い柔らかな響きと言ったら!コンツェルトハウスの装飾と共に忘れ得ぬシーンを体験した。


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