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巨星・小澤征爾の訃報

2024年02月11日 | pocknと音楽を語ろう!
2024年 2月11日(日)「巨星」小澤征爾の訃報

2月6日、小澤征爾さんが帰らぬ人となってしまった。世界中のメディアがこのことを大きく報じ、世界中の演奏団体やアーティスト、音楽ファンが、稀有の偉大な芸術家の死を惜しみ、悼んでいる。

小澤は、本当の意味で秀でた指揮者であることを世界が認めた最初の日本人だっただけでなく、これだけ大勢の日本人が世界で活躍し、評価されている今の時代でも、常にひと際燦然と輝く存在であり続けた。僕と同じ時代を生きた日本のクラシック界で「巨星」と呼べるアーティストは誰かと問われれば、迷うことなく武満徹と小澤征爾を挙げたい。

小澤征爾の指揮の魅力は、抜群の冴えと切れ、極上の煌めき、そして躍動する生命力だろう。枝葉末節まで行き届いたデリケートで美しい音色や表情も小澤ならではのものだ。そして、ライブでしか体験できない一期一会の熱い演奏で、飛び切りのワクワク感をもたらし、今、この瞬間、この演奏が生まれる場に立ち合うことができている悦びと幸せを味わわせてくれることが、小澤の何よりの魅力だと思う。

それは、小澤の天才的な才能を抜きに語ることはできないが、これに加えて、若い頃から全方向に心を開いて貪欲に突き進むバイタリティや、誰でも分け隔てなく接する真っ直ぐで熱い人間性、後年は後進の育成に心血を注ぎ続けた小澤の生き様が、演奏にかけがえのない魂を与え、アーティストであれ聴衆であれ、世界の人々の心を掴んで来たのだろう。

晩年の小澤さんの痛々しい姿は、見るのも辛いと感じることはあったけれど、それでも小澤が前を向いて生きている姿は気高くさえあったし、もしまた指揮台に上がれば、指先だけでも、或いは目力だけでも、オケから魔法がかかったような「小澤サウンド」を引き出してくれるに違いない、という淡い期待を抱いていたが、それも叶わぬ夢となってしまった。もう小澤のあの生きた音楽を生で体験することが永遠に出来なくなってしまったのは悲し過ぎるが、小澤征爾が育てた演奏家たちにその志は確実に引き継がれていくことだろう。

人生の最後まで手を緩めることなく、気を休めることなく邁進し続けた小澤征爾さん、本当にお疲れさまでした。本当にありがとう。

ブログでは、過去に公開した小澤征爾指揮の2つの公演の感想へのリンクを張ると共に、ブログを始める前に書いた感想のなかから、特に印象に残る公演の感想をアーカイブとして掲載して行きます。


初めて聴いた小澤征爾の演奏会後にもらったサイン(1978.9.18)

ウィーン国立歌劇場公演「エフゲニー・オネーギン」 2009.5.23 ウィーン国立歌劇場
小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクト/ラヴェル:「子どもと魔法」 2015.3.24 東京文化会館

《このブログを開設する以前の小澤征爾の演奏会の感想》
小澤征爾名曲コンサート(新日フィル) 1978.9.18 東京厚生年金会館
メシアン「アッシジの聖フランチェスコ」(新日フィル)1986.3.13 東京カテドラル聖マリア大聖堂
R.シュトラウス「サロメ」(1990/東京文化会館)(新日フィル)1986.3.13 東京文化会館
小澤&N響32年振りの再会公演 1995.1.23 サントリーホール
水戸室内管弦楽団東京公演 1996.11.3 サントリーホール
ボストン交響楽団1999.5.7 サントリーホール
小澤征爾音楽塾「フィガロの結婚」 2000.6.6 東京文化会館
小澤征爾音楽塾「コジ・ファン・トゥッテ」2001.4.9 東京文化会館
東京のオペラの森:R.シュトラウス「エレクトラ」2005.3.22 東京文化会館
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