12月12日(水)フランス詩と歌曲の夕べ
学習院創立百周年記念会館小講堂
【第1部】クロード・ドビュッシー没後100年を迎えて
1. ドビュッシー(詩:バンヴィル)/星の夜
2. ドビュッシー(詩:マラルメ)/あらわれ
3. ドビュッシー(詩:マラルメ)/「ステファヌ・マラルメの3つの詩」(ためいき、あだな願い、扇)
4.ドビュッシー(詩:ボードレール)/恋人たちの死
5.ドビュッシー(詩:ヴェルレーヌ)/ひそやかに
6.ドビュッシー(詩:ヴェルレーヌ)/感傷的な会話
【第2部】ドビュッシーからサティ、プーランクへ
7. サティ(詩:ラマルティーヌ)/悲歌 -クロード・ドビュッシーを偲んで
8. プーランク(詩:ヴァレリー)/会話
9. プーランク(詩:アポリネール)/雨が降る
10.プーランク(詩:エリュアール)/「画家の仕事」~パブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラック、ジョアン・ミロ
11.プーランク(詩:アラゴン)/C
【アンコール】
サティ/ジュ・トゥ・ヴ
【演奏】S:駒井ゆり子/Bar:鎌田直純/Pf:野平一郎
【楽曲解説】野平一郎
【詩解説】吉田加南子、中山慎太郎
学習院大学フランス語圏文化学科の主催で行われたフランスの詩と音楽にスポットを当てた無料のレクチャーコンサートは、ドビュッシー没後100年にちなみ、プログラム前半はドビュッシーの最初期から晩年に至る変遷を辿る内容。後半では、ドビュッシー以降のサティとプーランクが取り上げられた。演奏の合間に、野平さんによる作曲家とその作品についての解説、学習院大学の吉田さんと中山さんによる詩人と詩についての解説が入った。
繰り返し書いているが、ドビュッシーのアニバーサリーということで期待していたような珍しいコンサートや企画になかなか出会えなかったなか、これはまさにドビュッシーイヤーに相応しい企画であり、内容だった。
野平さんはピアノを弾きながらの解説で、ドビュッシーの作曲スタイルは、甘い旋律美を湛えた初期の作品から、ワーグナーの響きに「やられて」影響された中期、そして、詩の韻律を重視し、音はそれをサポートする手法を取った後期へと、年代と共に常に変遷して行ったという話を聴き、ドビュッシーが、マラルメの詩の内容もさることながら、言葉そのものの響きに魅了されたという話を聴き、更に吉田氏による、マラルメの詩が技巧を凝らし、気取って洒落た文芸のエッセンスを湛えているという話や、ヴェルレーヌが詩の「音楽性」を重視したという話などから、歌曲における言葉と音楽の密接なつながりを改めて認識した。
僕がドイツ語を勉強しようと思ったのは、シューベルトやシューマンのドイツリートやバッハのカンタータなど、ドイツ語をテクストとする声楽作品をもっと知りたいと思ったことが大きい。そのおかげで、ドイツ語による声楽曲の深遠な世界へと誘われた。訳詩ではなく、原詩が音楽に乗ったときの魅力を知るか知らないかで、音楽から伝わる感動が全然違うことは常々感じていて、これは当然他の言語でも同じだ。フランス語に関してはほぼわからない僕は、レクチャーの話で「なるほど」と思っても、それを実際に体験することはできないことも残念ながら理解した。
とは言え、こうしてレクチャーを聴き、プログラムに印刷されたフランス語の原詩をわからないなりに目で追いつつ訳を読むことで、そして何より、駒井さんと鎌田さんの素敵な歌と、野平さんのピアノによる演奏を聴くことで、音楽の魅力をより近くで感じることができた。
駒井さんは、透明で艶やかな魅惑的な声と、くっきりした発音で表情豊かに発せられる言葉で、硬軟織り交ぜたしなやかな歌を明晰に伝え、鎌田さんは、柔らかな声の魅力と抒情味溢れる歌い回しの妙、一点を見据えた安定感のある歌唱で、デリケートなフランス歌曲の世界へ誘ってくれた。野平さんのピアノは、余分なものを取り払った知的なセンスが光った。
後半で野平氏は、特にプーランクの歌曲のピアノパートについて、プーランクがペダル好きだったこと、左手と右手に固有の役割を与えたこと、「触れるだけ」という指示の意味などを解説してくれ、また、中山氏の話から、20世紀は様々な分野の芸術家が共に手を携えて新たな価値観を生んだという視点で、画家にちなんだプーランクの作品について聞かせてくれ、音楽をより多角的に楽しむことができた。
アンコールでは、サティの有名な曲を3人で演奏、駒井さんと鎌田さんの手を取り合ってのダンスも入り、和やかで楽しいサロンの雰囲気で場を盛り立てた。
♪ブログ管理人の作曲♪
合唱曲「野ばら」(YouTube)
中村雅夫指揮 ベーレンコール
金子みすゞ作詞「さびしいとき」(YouTube)
金子みすゞ作詞「鯨法会」(YouTube)
以上2曲 MS:小泉詠子/Pf:田中梢
「森の詩」~ヴォカリーズ、チェロ、ピアノのためのトリオ~(YouTube)
MS:小泉詠子/Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美
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学習院創立百周年記念会館小講堂
【第1部】クロード・ドビュッシー没後100年を迎えて
1. ドビュッシー(詩:バンヴィル)/星の夜
2. ドビュッシー(詩:マラルメ)/あらわれ
3. ドビュッシー(詩:マラルメ)/「ステファヌ・マラルメの3つの詩」(ためいき、あだな願い、扇)
4.ドビュッシー(詩:ボードレール)/恋人たちの死
5.ドビュッシー(詩:ヴェルレーヌ)/ひそやかに
6.ドビュッシー(詩:ヴェルレーヌ)/感傷的な会話
【第2部】ドビュッシーからサティ、プーランクへ
7. サティ(詩:ラマルティーヌ)/悲歌 -クロード・ドビュッシーを偲んで
8. プーランク(詩:ヴァレリー)/会話
9. プーランク(詩:アポリネール)/雨が降る
10.プーランク(詩:エリュアール)/「画家の仕事」~パブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラック、ジョアン・ミロ
11.プーランク(詩:アラゴン)/C
【アンコール】
サティ/ジュ・トゥ・ヴ
【演奏】S:駒井ゆり子/Bar:鎌田直純/Pf:野平一郎
【楽曲解説】野平一郎
【詩解説】吉田加南子、中山慎太郎
学習院大学フランス語圏文化学科の主催で行われたフランスの詩と音楽にスポットを当てた無料のレクチャーコンサートは、ドビュッシー没後100年にちなみ、プログラム前半はドビュッシーの最初期から晩年に至る変遷を辿る内容。後半では、ドビュッシー以降のサティとプーランクが取り上げられた。演奏の合間に、野平さんによる作曲家とその作品についての解説、学習院大学の吉田さんと中山さんによる詩人と詩についての解説が入った。
繰り返し書いているが、ドビュッシーのアニバーサリーということで期待していたような珍しいコンサートや企画になかなか出会えなかったなか、これはまさにドビュッシーイヤーに相応しい企画であり、内容だった。
野平さんはピアノを弾きながらの解説で、ドビュッシーの作曲スタイルは、甘い旋律美を湛えた初期の作品から、ワーグナーの響きに「やられて」影響された中期、そして、詩の韻律を重視し、音はそれをサポートする手法を取った後期へと、年代と共に常に変遷して行ったという話を聴き、ドビュッシーが、マラルメの詩の内容もさることながら、言葉そのものの響きに魅了されたという話を聴き、更に吉田氏による、マラルメの詩が技巧を凝らし、気取って洒落た文芸のエッセンスを湛えているという話や、ヴェルレーヌが詩の「音楽性」を重視したという話などから、歌曲における言葉と音楽の密接なつながりを改めて認識した。
僕がドイツ語を勉強しようと思ったのは、シューベルトやシューマンのドイツリートやバッハのカンタータなど、ドイツ語をテクストとする声楽作品をもっと知りたいと思ったことが大きい。そのおかげで、ドイツ語による声楽曲の深遠な世界へと誘われた。訳詩ではなく、原詩が音楽に乗ったときの魅力を知るか知らないかで、音楽から伝わる感動が全然違うことは常々感じていて、これは当然他の言語でも同じだ。フランス語に関してはほぼわからない僕は、レクチャーの話で「なるほど」と思っても、それを実際に体験することはできないことも残念ながら理解した。
とは言え、こうしてレクチャーを聴き、プログラムに印刷されたフランス語の原詩をわからないなりに目で追いつつ訳を読むことで、そして何より、駒井さんと鎌田さんの素敵な歌と、野平さんのピアノによる演奏を聴くことで、音楽の魅力をより近くで感じることができた。
駒井さんは、透明で艶やかな魅惑的な声と、くっきりした発音で表情豊かに発せられる言葉で、硬軟織り交ぜたしなやかな歌を明晰に伝え、鎌田さんは、柔らかな声の魅力と抒情味溢れる歌い回しの妙、一点を見据えた安定感のある歌唱で、デリケートなフランス歌曲の世界へ誘ってくれた。野平さんのピアノは、余分なものを取り払った知的なセンスが光った。
後半で野平氏は、特にプーランクの歌曲のピアノパートについて、プーランクがペダル好きだったこと、左手と右手に固有の役割を与えたこと、「触れるだけ」という指示の意味などを解説してくれ、また、中山氏の話から、20世紀は様々な分野の芸術家が共に手を携えて新たな価値観を生んだという視点で、画家にちなんだプーランクの作品について聞かせてくれ、音楽をより多角的に楽しむことができた。
アンコールでは、サティの有名な曲を3人で演奏、駒井さんと鎌田さんの手を取り合ってのダンスも入り、和やかで楽しいサロンの雰囲気で場を盛り立てた。
♪ブログ管理人の作曲♪
合唱曲「野ばら」(YouTube)
中村雅夫指揮 ベーレンコール
金子みすゞ作詞「さびしいとき」(YouTube)
金子みすゞ作詞「鯨法会」(YouTube)
以上2曲 MS:小泉詠子/Pf:田中梢
「森の詩」~ヴォカリーズ、チェロ、ピアノのためのトリオ~(YouTube)
MS:小泉詠子/Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美
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