9月22日(土)
上野学園中学校・高等学校 第114回桜鏡祭より
今年の「桜鏡祭」は初日に訪れ、サークル活動の展示を見たり、ミニ電車に試乗したり、演奏付きのカフェでくつろいだり、ホールでの演奏などを楽しんだ。教室ごとに趣向を凝らした装飾、階段や廊下も多彩で楽しいデコレーションが施されて、生徒達とすれ違えば元気に挨拶してくれるし、歩いているだけでも楽しい時間を過ごした。ここでは8階の教室と石橋メモリアルホールで聴いた生徒達の演奏についての感想を記す。
高2音A"Soupe de Sorcière"
お昼どき、お腹が減ったので何か食べながら演奏が聴けるところ… と探して入ったのが高校2年音楽科の部屋。スープとクラッカーを頂きながら、歌やピアノ、フルートにヴァイオリンと、様々な演奏を楽しんだ。曲目や演奏者の紹介は殆どなく、その場で演奏できる生徒が気ままに腕前を披露していくといった感じ。何気なくピアノに座った女子生徒がいきなり弾き始めた「喜びの島」、輝かしいエンディングに思わず引き込まれたり、次は何が始まるかなと楽しみが繋がっていった。
特に印象に残ったのは、先生のピアノ伴奏で披露した男子生徒の「チャールダッシュ」。少々羽目を外し過ぎの観もあるが、自由奔放な思い切りの良さ、細かいパッセージのアグレッシブで正確な「攻め」などお見事だった。もう一人、男子生徒が「日本人の曲」と前置きして弾いたピアノがすごかった。プロコフィエフが今に蘇ったような攻撃性と煌めきが冴え、エネルギッシュで生気に溢れた刺激的な演奏は、自分の曲のように自信に溢れた表現ができていた。「日本人の曲」って、もしかして彼の作曲?だったら凄すぎる!
上野学園高等学校音楽科生徒による演奏会より
高校1年生の器楽・声楽コースの途中から(フルートの2人目)と、演奏家コースの発表を聴いた。みんなキチンとさらえていて、淀みない演奏で安心して聴いていられた。「器楽・声楽コース」の生徒達の演奏は、総じてお行儀がいいという印象。その中で訴えて来るのは、そのお行儀の良さの殻から抜け出して「個性」や「意思」が飛び出す瞬間。多少ミスしようが、少々粗削りだろうが、身体を大きく使って「これを表現したい!」という明確なメッセージを発信してきたときが、聴き手の心に共鳴するのだ。兼子萌花さんが弾いたチャールダッシュは、積極性と豊かな響きが印象に残った。また、和田遥人さんのバッハからは、演奏者の能動的なメッセージが感じられた。ここでの伴奏者の瀬沼貴寛くん、さっき教室で「日本人の曲」を弾いていたあのピアニストではないか!
作品から何を感じ取り、それをどう表現したいか、ということを積極的に、時には身体の動きなど聴衆の視覚にも訴えて伝えることは、大切だと思う。音楽とは、心で感じたことを表現して聴き手の心を動かす芸術だ。「まずはきちんとさらってから表現を」ではなく、譜面を追っている段階から感性を研ぎ澄まして、どう表現するかを実践すべきだと思う。
演奏家コースの演奏はその点で、より聴き手を意識した姿勢が伝わってきた。とりわけ印象に残ったのは、クライスラーを弾いたヴァイオリンの土屋優喜さんの演奏。表現しようという意思に、熱いハートを感じた。特に演奏家コースには、将来ソリストとして活躍することを夢見ている生徒も少なくないだろうし、十分にその可能性はある。自分の素質や持ち味に磨きをかけるためには、音楽に限らずいろいろな分野に目を向けて挑戦すること、何をやるにも目立とうとすること、世界で活躍するアーティストの演奏に生で触れ、できればマスタークラスなどに参加すること、そんな積極的な取り組みが、自らの表現力を大きく伸ばすことだろう。期待。
上野学園中学校・高等学校 第113回桜鏡祭より(2017.9.23,24)
上野学園中学校・高等学校 第112回桜鏡祭より(2016.9.25)
♪ブログ管理人の作曲♪
金子みすゞ作詞「鯨法会」(MS:小泉詠子/Pf:田中梢)(YouTube)
「森の詩」~ヴォカリーズ、チェロ、ピアノのためのトリオ~(YouTube)
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高2音A"Soupe de Sorcière"
お昼どき、お腹が減ったので何か食べながら演奏が聴けるところ… と探して入ったのが高校2年音楽科の部屋。スープとクラッカーを頂きながら、歌やピアノ、フルートにヴァイオリンと、様々な演奏を楽しんだ。曲目や演奏者の紹介は殆どなく、その場で演奏できる生徒が気ままに腕前を披露していくといった感じ。何気なくピアノに座った女子生徒がいきなり弾き始めた「喜びの島」、輝かしいエンディングに思わず引き込まれたり、次は何が始まるかなと楽しみが繋がっていった。
特に印象に残ったのは、先生のピアノ伴奏で披露した男子生徒の「チャールダッシュ」。少々羽目を外し過ぎの観もあるが、自由奔放な思い切りの良さ、細かいパッセージのアグレッシブで正確な「攻め」などお見事だった。もう一人、男子生徒が「日本人の曲」と前置きして弾いたピアノがすごかった。プロコフィエフが今に蘇ったような攻撃性と煌めきが冴え、エネルギッシュで生気に溢れた刺激的な演奏は、自分の曲のように自信に溢れた表現ができていた。「日本人の曲」って、もしかして彼の作曲?だったら凄すぎる!
上野学園高等学校音楽科生徒による演奏会より
高校1年生の器楽・声楽コースの途中から(フルートの2人目)と、演奏家コースの発表を聴いた。みんなキチンとさらえていて、淀みない演奏で安心して聴いていられた。「器楽・声楽コース」の生徒達の演奏は、総じてお行儀がいいという印象。その中で訴えて来るのは、そのお行儀の良さの殻から抜け出して「個性」や「意思」が飛び出す瞬間。多少ミスしようが、少々粗削りだろうが、身体を大きく使って「これを表現したい!」という明確なメッセージを発信してきたときが、聴き手の心に共鳴するのだ。兼子萌花さんが弾いたチャールダッシュは、積極性と豊かな響きが印象に残った。また、和田遥人さんのバッハからは、演奏者の能動的なメッセージが感じられた。ここでの伴奏者の瀬沼貴寛くん、さっき教室で「日本人の曲」を弾いていたあのピアニストではないか!
作品から何を感じ取り、それをどう表現したいか、ということを積極的に、時には身体の動きなど聴衆の視覚にも訴えて伝えることは、大切だと思う。音楽とは、心で感じたことを表現して聴き手の心を動かす芸術だ。「まずはきちんとさらってから表現を」ではなく、譜面を追っている段階から感性を研ぎ澄まして、どう表現するかを実践すべきだと思う。
演奏家コースの演奏はその点で、より聴き手を意識した姿勢が伝わってきた。とりわけ印象に残ったのは、クライスラーを弾いたヴァイオリンの土屋優喜さんの演奏。表現しようという意思に、熱いハートを感じた。特に演奏家コースには、将来ソリストとして活躍することを夢見ている生徒も少なくないだろうし、十分にその可能性はある。自分の素質や持ち味に磨きをかけるためには、音楽に限らずいろいろな分野に目を向けて挑戦すること、何をやるにも目立とうとすること、世界で活躍するアーティストの演奏に生で触れ、できればマスタークラスなどに参加すること、そんな積極的な取り組みが、自らの表現力を大きく伸ばすことだろう。期待。
上野学園中学校・高等学校 第113回桜鏡祭より(2017.9.23,24)
上野学園中学校・高等学校 第112回桜鏡祭より(2016.9.25)
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