facciamo la musica! & Studium in Deutschland

足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

ひろこのボローニャ便り Vol.5 ~齋藤ひろこ(S) & 田中梢(Pf)~

2023年07月29日 | pocknのコンサート感想録2023
7月23日(日)ひろこのボローニャ便り Vol.5
サロン ドゥ ミューズ(下北沢)

【曲目】
第1部「安らぎ」
♪ A.Caldara:Selve amiche
♪ D.Cimarosa.Resta in pace, idolo mio
♪ G.Sarti.Lungi dal caro bene
♪ V. Bellini.Vaga luna che inargenti
♪ F.P.Tosti.Ridonami la calma

第2部「祈り」
♪ G.F.Händel:O mio Signore
♪ Bepi de Maezi:Signore delle cime
♪ G.Rossini:In tal momento orribile -Dal tuo stellate soglio dall'opera "Mose"
♪ G.Donizetti:Deh! Tu di un umile preghiera dall'opera "Maria Stuada"
♪ G. Verdi:La Vergine degli angeli dall'opera "La forza del destino"
【アンコール】
♪ 久石譲/スタンド・アローン
♪ 命の歌
♪ ロマーニャ・ミア
♪ Non ti scordar di me
【出演】
S:齋藤ひろこ/Pf:田中梢/お話し:井内美香

長年に渡りボローニャを拠点に音楽活動を続けているソプラノの齋藤ひろこさんが、昨年に続いて一時帰国してサロンコンサートを開催した。ピアノはひろこさんのリサイタルには欠かせない存在の田中梢さん。下北沢の洋館風の素敵な会場に、素晴らしい歌声が響いた。

「安らぎ」と題した第1部にはイタリア歌曲が並んだ。ひろこさんは、控え目ながら音楽の核心を捉え、磨かれた品のある美しい声で、大切なメッセージを丁寧に、確実に、ときにチャーミングな表情も湛えた歌を聴かせてくれた。イタリア歌曲はあまり聴く機会がないが、色香があり、オペラとはまた異なり細やかな内面が伝わってくる曲が多いと感じたのは、演奏に拠るところも大きいのだろう。歌詞が逐語的にわかれば、更に歌の奥深くへ入っていけたかも。

第2部は「祈り」と題して井内さんの解説とともに、神さまへの祈りを扱ったオペラのアリアが取り上げられた。ひろこさんの熱い思いがこもったお話しや詩の朗読が、歌となって羽ばたいた。歌い進むほどに歌はパワー全開となり、艶やかで力強い声でドラマチックに「祈り」を届けた。

原曲はオーケストラだが、ピアノからはオーケストラの多彩な響きが聴こえてきた。田中さんのピアノにはいつもながら人間的な味わいがあり、ハートがある。会場のオーナーがコバケンさんから譲り受けたという年代物のヤマハグランドは、硬質で艶やかな深い音がして、田中さんはこの音色を生かして歌をエスコートした。ひろこさんの声にこのピアノの音色がよく合っていた。

アンコールでは日本語の歌も披露してくれた。心の底から歌い上げ、陰影に富んだ深い味わいを湛え、言葉が心にじわっと入ってきた。ひろこさんが活動するエミリア・ロマーニャ地方の人気ナンバー「ロマーニャ・ミア」。田中さんのピアノも冴えまくり、手拍子を入れたくなる陽気で楽しいエンディングと思いきや、更にもう1曲!しっとりと「忘れな草」でカームダウンとなり、リサイタル全体が美しくまとまった。

ドニゼッティ《アンナ・ボレーナ》の世界 ~齋藤ひろこリサイタル~ 2022.7.23 Studio Waves 西麻布
きらめきのカンパネラ ~田中梢 ピアノリサイタル~ 2019.8.31 王子ホール
♪ブログ管理人の作曲のYouTubeチャンネル♪
最新アップロード:「かなりや」(詩:西條八十)

拡散希望記事!
コロナ禍とは何だったのか? ~徹底的な検証と総括を求める~
やめよう!エスカレーターの片側空け

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Wiener Klang ~ウィーンの調... | トップ | チョン・ミョンフン指揮 東フ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

pocknのコンサート感想録2023」カテゴリの最新記事