7月19日(水)アラン・ギルバート 指揮 東京都交響楽団
第979回定期演奏会Aシリーズ
東京文化会館
【曲目】
1.ウェーベルン/夏風の中で―大管弦楽のための牧歌
2.モーツァルト/ホルン協奏曲第4番変ホ長調 K.495
Hrn:シュテファン・ドール
3.R.シュトラウス/アルプス交響曲 Op.64
今夜の演奏会のお目当ては、ドールのホルンとアルペンシンフォニー。最初のウェーベルンの「夏風の中で」は、後期ロマン派様式で書かれた音楽ではあるが、精緻なオーケストレーションからは12音になってからのウェーベルンの筆致も感じることが出来た。音楽は劇伴のように様々な情景が目に浮かんでくるが、オケの響きが淡白で、もう少し詩情や色気が欲しいと感じた。
次は「ホルン王」ドールを迎えてのモーツァルトのコンチェルト。ドールは期待通りの演奏を聴かせてくれた。滑らかで自由自在に歌い、軽々と躍動する。素晴らしいことは確かだけれど、ライブならではの醍醐味を感じるまでは行かない。オケも溌剌として活きは良いが、ウェーベルンと同様に香りや色気が乏しく、ちょっと味気ない気がした。これがドールへの刺激不足になったのかも知れない。こうなるとアルペンシンフォニーへの期待が萎みかけたのだが、そんな思いを大きな感動が打ち破る演奏が待っていた。
冒頭の夜の情景の張り詰めた、ただならぬ空気が、底抜けに輝かしくパワフルなサウンドで打ち破られ、眩しい光で満ち溢れた。力任せの爆音ではなく、奥行きと拡がりのある圧巻の響き。総勢20名のバンダ演奏も高らかに加勢した。ステージ上のホルンセクションも見事!と、3階席から目を凝らすと、えっ、一番を吹いてるのはドール?ここにドールが加わることは知らず大サプライズ。モーツァルトのあとにアンコールがなかったが、これは大きなプレゼントだ。
ここでのドールは、ホルンの魅力を存分に伝えてくれた。アルプスの大自然の様々な情景や表情を雄弁に、力強く、またあるときは神秘的なほど繊細で美しく伝えてホレボレ。ドールは、この曲の演奏効果を飛躍的に高めたが、ドールの独り舞台にはならず、都響のホルンセクションにも刺激と勇気を与えたことは、全てのプレイヤーが大健闘して、セクションとして素晴らしいアンサンブルを聴かせたことからも明らか。トランペットやトロンボーン、チューバといった他の金管も見事な演奏で、これがオケ全体に波及し、ギルバートのイニシアチブも大きく働いたと思うが、壮大で雄弁でリアルな圧巻の演奏を繰り広げた。艶やかな音色で雄々しく歌う弦も頼もしい。
アンサンブルとしての素晴らしさに加え、各プレイヤーのソロも耳を引いた。オーボエの溢れる叙情と香り高さ、滑らかにドールとデュオを奏でたトランペット、嵐でのウィンドマシンの尋常ならざる気合いも耳を引いた。前半の曲では色気が足りず物足りなかったオケが、ここでは色彩豊かで輝かしいサウンドを聴かせ、ガルミッシュの雄大な山岳風景が時間と共に変化する情景には神々しさが宿っていた。ギルバートは都響から、引き締まった勢いのある濃い演奏を引き出し、随所でトリハダが立った。このブログを始めて初めて接した生のアルプス交響曲は、忘れえぬ感動をもたらしてくれた。
アラン・ギルバート指揮 NHK交響楽団 2005.11.2 サントリーホール
シュテファン・ドール&紀尾井シンフォニエッタ東京2016.2.12 紀尾井ホール
草津夏期国際音楽アカデミー&フェス(Hrn:シュテファン・ドール)2008.8.28 草津音楽の森国際コンサートホール
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今夜の演奏会のお目当ては、ドールのホルンとアルペンシンフォニー。最初のウェーベルンの「夏風の中で」は、後期ロマン派様式で書かれた音楽ではあるが、精緻なオーケストレーションからは12音になってからのウェーベルンの筆致も感じることが出来た。音楽は劇伴のように様々な情景が目に浮かんでくるが、オケの響きが淡白で、もう少し詩情や色気が欲しいと感じた。
次は「ホルン王」ドールを迎えてのモーツァルトのコンチェルト。ドールは期待通りの演奏を聴かせてくれた。滑らかで自由自在に歌い、軽々と躍動する。素晴らしいことは確かだけれど、ライブならではの醍醐味を感じるまでは行かない。オケも溌剌として活きは良いが、ウェーベルンと同様に香りや色気が乏しく、ちょっと味気ない気がした。これがドールへの刺激不足になったのかも知れない。こうなるとアルペンシンフォニーへの期待が萎みかけたのだが、そんな思いを大きな感動が打ち破る演奏が待っていた。
冒頭の夜の情景の張り詰めた、ただならぬ空気が、底抜けに輝かしくパワフルなサウンドで打ち破られ、眩しい光で満ち溢れた。力任せの爆音ではなく、奥行きと拡がりのある圧巻の響き。総勢20名のバンダ演奏も高らかに加勢した。ステージ上のホルンセクションも見事!と、3階席から目を凝らすと、えっ、一番を吹いてるのはドール?ここにドールが加わることは知らず大サプライズ。モーツァルトのあとにアンコールがなかったが、これは大きなプレゼントだ。
ここでのドールは、ホルンの魅力を存分に伝えてくれた。アルプスの大自然の様々な情景や表情を雄弁に、力強く、またあるときは神秘的なほど繊細で美しく伝えてホレボレ。ドールは、この曲の演奏効果を飛躍的に高めたが、ドールの独り舞台にはならず、都響のホルンセクションにも刺激と勇気を与えたことは、全てのプレイヤーが大健闘して、セクションとして素晴らしいアンサンブルを聴かせたことからも明らか。トランペットやトロンボーン、チューバといった他の金管も見事な演奏で、これがオケ全体に波及し、ギルバートのイニシアチブも大きく働いたと思うが、壮大で雄弁でリアルな圧巻の演奏を繰り広げた。艶やかな音色で雄々しく歌う弦も頼もしい。
アンサンブルとしての素晴らしさに加え、各プレイヤーのソロも耳を引いた。オーボエの溢れる叙情と香り高さ、滑らかにドールとデュオを奏でたトランペット、嵐でのウィンドマシンの尋常ならざる気合いも耳を引いた。前半の曲では色気が足りず物足りなかったオケが、ここでは色彩豊かで輝かしいサウンドを聴かせ、ガルミッシュの雄大な山岳風景が時間と共に変化する情景には神々しさが宿っていた。ギルバートは都響から、引き締まった勢いのある濃い演奏を引き出し、随所でトリハダが立った。このブログを始めて初めて接した生のアルプス交響曲は、忘れえぬ感動をもたらしてくれた。
アラン・ギルバート指揮 NHK交響楽団 2005.11.2 サントリーホール
シュテファン・ドール&紀尾井シンフォニエッタ東京2016.2.12 紀尾井ホール
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