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室内楽シリーズNo.15「ピアノ三重奏の夕べ」 ~都民芸術フェスティバル~

2016年02月10日 | pocknのコンサート感想録2016
2月10日(水)Pf:菊池洋子/Vn:徳永ニ男/Vc:毛利伯郎
東京文化会館小ホール

【曲目】
1. ハイドン/ピアノ三重奏曲ハ長調 Hob.XV-27
2.ラヴェル/ピアノ三重奏曲イ短調
3. ブラームス/ピアノ三重奏曲第1番ロ長調 Op.8
【アンコール】
ラヴェル/ピアノ三重奏曲イ短調から 第2楽章


毎年この時期に行われる都民芸術フェスティバルでは、室内楽でも興味を引かれるコンサートが行われる。今回は、奥さんがファンの徳永さんが出演するこのピアノ・トリオの演奏会に夫婦で出かけた。

最初のハイドンは、曲の性質もあってピアノの菊池さんの独壇場。菊池さんのピアノはとても雄弁におしゃべりする。明るく闊達で機転が利き、ちょっとした楽想の変化にもサッと表情を変えて自然に反応しつつ、美しいフォームで縦横に行き交う。フィナーレでは、果敢に攻める徳永さんのヴァイオリンと、全体を大きく滑らかにまとめる毛利さんのチェロも存在感を発揮して、嬉々として、時にスリリングにアンサンブルが疾走した。

次のラヴェル、そしてその後のブラームスでは、各パートがそれぞれの持ち味を発揮して、聴き応えのあるアンサンブルを繰り広げた。徳永さんのヴァイオリンは、活きが良くて野太さを感じるほど逞しい反面、勇み足気味になったり、少々一本調子的に聴こえるところもあるが、常に「攻め」の姿勢で存在感を示し、アンサンブル全体に生気をもたらす。毛利さんのチェロは、殆どピアノの左手のバスラインをなぞっていたハイドンの時から発揮していたアンサンブルの頼もしい下支えの役を演じつつ、アピール度的には控えめながら、深いニュアンスに富み、要所では味と落ち着きのある歌を聴かせた。

それでも最も存在感を示したのは、やはり菊池洋子のピアノ。実に雄弁でテンションが高く、とりわけ感心したことは、ハイドン、ラヴェル、ブラームスという全く異なる音楽の、それぞれのボリューム感、色合い、そこから漂う香りなどを見事に弾き分け、それぞれの作曲家の「顔」が見えてくるところ。ブラームスではロマンティシズムと情熱が濃厚に溢れ出る演奏で、徳永さんの能動的な姿勢がこの曲ではとてもしっくり来たこともあり、ライブ演奏ならではのワクワクした感覚を味わった。

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