Lupinus-ルピナス-

絵本のルピナスさんのように自分なりの「世の中を美しくすること」を見つけたいと思っています。

きつねの窓

2010年04月09日 | 本・絵本
何日か前に急に『きつねの窓』のことがふっと頭をよぎりました。
少し前に本屋の店頭で安房直子さんの本を見かけたからかもしれません。

きつねの窓はたしか小学校の国語の教科書に載っていたお話でした。
詳しいお話は忘れてしまったけれど、指をつゆくさの汁で青く染めて、親指と人差し指で菱形の窓を作ると、
その窓から自分の会いたい人が見える―というお話だったと記憶していました。
そして、昔妹が買っていた『りぼん』の太刀掛秀子さんの漫画のなかでも、両親を亡くしている主人公がきつねの窓を指で作ってのぞく、というシーンがあって、子ども心にもせつないものを感じたのをおぼえています。

ちょうど図書館から予約の本が届いたという連絡を受けたので、『きつねの窓』も読んでみたいと思い、
そちらも一緒に借りてきました。


お話は、あらすじを少しだけ。
猟師が山で道に迷ったときに青いききょうの花畑をみつけます。
そこには「染め物 ききょう屋」というお店と子どもの店員がいました。この店員はじつは子ぎつねでした。
子ぎつねはききょうの汁で青く染めた指で作った窓から、死んだ母ぎつねの姿を見せてくれました。
この窓からいつでも会いたい人の姿を見る事が出来るのです。
そして猟師も自分の指を染めてもらいました・・・

話はまだ続くのですが、最後が・・・せつないですね。
ああ、そう、たしかに人間の習慣って・・・無意識にそうしてしまうよね。

過去に一瞬でもつながってしまうと、奥底に眠っていたものを鮮明に思い出してしまうこと、
それがうれしかったり、切なかったり、悲しかったり。
でも、そのときのことは、思い出す事は出来るけれど、二度と取り戻せないものという事を
『きつねの窓』を読んで実感してしまいました・・・

そして、染めるのに使った花はつゆくさではなく、ききょうだったのですね・・・
私はずっとつゆくさと思ってました。
小さい頃、家の目の前にいつも咲いていて、身近な花だったからかなあ。

4月も過ぎて、気がつけば母の1周忌ももうすぐ。
本を読んでそのことを実感してしまいました。
もちろん、母の存在を忘れた事はないのですけれど、
「そうか、もう1年になるのか」という実感がまるでなかった・・・

私もきつねの染物屋さんに行って、指を染めてもらいたいと思ってしまいます。

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