インフル発症対応、世界標準は「検査も治療も必要ない」
インフルエンザにかかっても検査も薬も必要ないと言われたら、あなたは信じるか?

なんでも流行の最先端を行っときたい!というオシャレな紳士淑女の皆様もこればっかりは流行にのらない方が良いのでは?というのが、毎冬に猛威を振るうインフルエンザの流行ですね。それでも時代の最先端を行くことになってしまった敏感な方、つまりインフルエンザにかかってしまった不運な方は、本当にお気の毒です(「リスク対策.com」誌2016年1月25日号(Vol.53)掲載の連載を、Web記事として再掲したものです)。

「インフルエンザにかかっても検査も薬も必要ない!?」

 驚かれるかもしれませんが、実は本当です。日本の多くの医療機関では流行時期にインフルエンザのような症状があって受診された患者に検査を行い、抗ウイルス薬(タミフルなど)が処方されているでしょう。一時期のマスコミやTV のワイドショー番組の過熱報道の影響か?すっかりインフルエンザにはタミフルが特効薬というイメージが定着しているようです。しかし、世界標準の治療指針では、入院が必要なほどの重症でなければ、リスクのない65才未満の成人には、検査も治療も必要ないと言われています。

「検査も治療も必要ない」と言うと少しビックリされるかもしれませんが、インフルエンザとはいえ、風邪と同じウイルスによる病気です。放っておいても自然に治る病気(Self Limited Disease)であり、必ず自分の体力で治ってしまう病気なのです(本連載第24回「カゼには薬より「おばあちゃんの言い伝え」が一番な理由」参照)。ゆえに治療方針は、食事や水分を摂って休養を取ることです。ですから、検査をしてインフルエンザの診断がついたところでこの治療方針には変更がありません。だから「検査も必要ない」となるわけです。