６月末から真夏日が続き、エアコンの生産と販売がにわかに活気づいている。
冷夏に泣かされた昨年から一転、家電量販では７月の販売台数が足元で前年比１・５倍前後と大幅に伸び、工場ではフル操業が続く。
前年の不振を取り返したい業界は「もっと暑い夏を」と期待をかける。
エディオンでは７月３、４日の土日、エアコンの注文が次々に舞い込んだ。２日間の販売台数は、前年の同じ週末より６割増。大阪市では６月２７日から７月２日まで６日連続で真夏日を記録、暑さに耐えかねた消費者がエアコンを買いに走ったとみられる。
上新電機でも７月の販売台数が前年同期の４～５割増で推移。「エアコンにエコポイントがつく最後の夏で、購入意欲の高い人は多いはず。もっと暑くなることを祈るばかりだ」（広報）と期待する。
８日報道陣に公開されたエアコン最大手ダイキン工業の滋賀製作所では、作業員が黙々とエアコンを組み立てていた。６月下旬以降の出荷は前年より約１割増え、１日５千台のフル生産体制。ここでは国内向けの高価格帯のエアコンを生産しているが、新興国の需要増も追い風に全社の２０１０年度生産台数を０９年度（２８５万台）から１６％増の約３３０万台とするという。
パナソニックも、国内向けに高価格帯の機種を生産する滋賀の工場が６月下旬からフル生産に入った。先週の販売は前年の約２倍になり、「冷夏の反動もあるが、かなり好調」（広報）という。
かつてメーカーは、３～４月からエアコンを作りだめして真夏のピーク時に出荷していた。しかし天候不順による売れ残りを避けるため、各社が売れる機種だけを素早く作る生産体制を工夫。ダイキンの場合、００年ごろからは６月前後に夏用エアコンの生産を始めている。流通も工夫し、完成から最短１週間で消費者の家に設置されるという。