八百津町の土砂崩れ現場-。「バキバキと木の折れるような音がして、一帯に土煙が立ち込めた」。近くに住む介護福祉士の安藤伸祥さん(30)は斜面から土砂が流れ込んだ直後に目撃した。「大雨でこんな恐怖を感じたのは初めて」。こわばった表情だった。
土砂で倒壊した民家の家族3人は不明のまま。付近は投光器で照らされ、夜間も捜索が行われ、家のがれきを取り除くパワーショベルの音が山あいに響いた。
市道が冠水した可児市の現場では、運送会社のトラック約10台が名古屋鉄道の高架橋に引っ掛かり、折り重なるように横倒しとなっていた。駐車場に止めた二十数台のトラックのうち約10台が氾濫した可児川の水で約100メートル先まで流されたようだ。
会社取締役の三浦正典さん(49)は「こんな状態は見たことがない。早く引き上げなければいけないが…」と途方に暮れた。