鏡を直視すると知らない男がいる。
脱ニートすると、まるでSFのような現象ばかりが起こる。
間違いなく自分なのだけど、こんなにおかしな顔をしていただろうかと。
白髪や肌の張りは分かる。そういう年齢だからいい。物理的な顔部品の位置は一年前と変わってはいない。
なのに他人。
目つきが違う。目元が違う。口角が違う。頬のくぼみが違う。表情が違う。
ニートは、現実と直面することから逃げ出した者をいう。ニートが現実と直面すると、そのニート期間の分量の「時の流れ」もまた解放される。十数年分の時の流れは重い。一気に表情を持っていく。
半身不随になった父が酒を飲んでは暴れていた時にみた顔に、似ているんだ。
父は、時をねじ曲げられた。進もうとして作っていた道を壊され、過ごそうとしていた時間を失い、一切予期していなかった時間を生きた。その悔しさもあっただろう。よく暴れた。時間に囚われた者は同じ表情をするのだろうか。
父は、強い父だった。
父とは、足し算すると十数年、不仲だった。不仲等という簡単な単語では片付かないのだけど分かりやすくいえば、そうなる。数年前、亡くなった。解放感があったことは否めない。一方で尊敬していたことにも気付いた。俺たちの為にどれほど頑張ってくれていたのか、気付いた。知っていて無視をしていたことに気付いた。
ありがとうと呟いても届かない。あの世でみてくれているとかそういうのは、今はいらない。もしそれを受け入れたら、死にたくなるじゃあないか。今の人生の、その後があるのなら、さ。
生きている今しかない。人に何かを伝えるのも人と何かを作るのも、笑うのも怒るのも。そう思うから、自業自得とはいえこれだけどうにもならない日々をどうにかしようと頑張っている。
いつかは死ぬさ。
もしそっち側があるならその時分かる。父にぶん殴られる覚悟で黄泉路を歩くよ。
今はただ、ありがとう、と思う。
ただやっぱり鏡を覗くと、いやな顔がある。
そのたび、脳が収縮する。きゅうと音がする、気がする。
脱ニートすると、まるでSFのような現象ばかりが起こる。
間違いなく自分なのだけど、こんなにおかしな顔をしていただろうかと。
白髪や肌の張りは分かる。そういう年齢だからいい。物理的な顔部品の位置は一年前と変わってはいない。
なのに他人。
目つきが違う。目元が違う。口角が違う。頬のくぼみが違う。表情が違う。
ニートは、現実と直面することから逃げ出した者をいう。ニートが現実と直面すると、そのニート期間の分量の「時の流れ」もまた解放される。十数年分の時の流れは重い。一気に表情を持っていく。
半身不随になった父が酒を飲んでは暴れていた時にみた顔に、似ているんだ。
父は、時をねじ曲げられた。進もうとして作っていた道を壊され、過ごそうとしていた時間を失い、一切予期していなかった時間を生きた。その悔しさもあっただろう。よく暴れた。時間に囚われた者は同じ表情をするのだろうか。
父は、強い父だった。
父とは、足し算すると十数年、不仲だった。不仲等という簡単な単語では片付かないのだけど分かりやすくいえば、そうなる。数年前、亡くなった。解放感があったことは否めない。一方で尊敬していたことにも気付いた。俺たちの為にどれほど頑張ってくれていたのか、気付いた。知っていて無視をしていたことに気付いた。
ありがとうと呟いても届かない。あの世でみてくれているとかそういうのは、今はいらない。もしそれを受け入れたら、死にたくなるじゃあないか。今の人生の、その後があるのなら、さ。
生きている今しかない。人に何かを伝えるのも人と何かを作るのも、笑うのも怒るのも。そう思うから、自業自得とはいえこれだけどうにもならない日々をどうにかしようと頑張っている。
いつかは死ぬさ。
もしそっち側があるならその時分かる。父にぶん殴られる覚悟で黄泉路を歩くよ。
今はただ、ありがとう、と思う。
ただやっぱり鏡を覗くと、いやな顔がある。
そのたび、脳が収縮する。きゅうと音がする、気がする。
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