■ 聖剣伝説VISIONS OF MANA002 ストーリーについて
※.ネタバレを多分に含みます
簡単に全体のストーリーを言うと、世界中から選ばれたマナの御子がマナの女神に魂を捧げに行く旅なんだけど、それに反発したのが土の御子ライザの結婚相手オーリン。だが、御子としての使命から逃れよう死したからか土の呪いにてライザは石化。オーリンは御子が魂を捧げなくてもいい世界を作ろうとする。その過程で犠牲になるのが火の御子であるヒナ。聖剣を手に入れるためには御子の魂石が必要という事で実質的にオーリンによって魂石化してしまう。そして聖剣を抜きかけたところで、過去の英雄ディロフォロスが登場。ディロフォロスもまた世界のために神獣討伐している最中に恋人を無くしている(食料目的の押し込み強盗にやられたっぽい)。オーリンはディロフォロスに聖剣を奪わた。マナの女神を倒して世界を崩壊させようというディロフォロス。
いずれも現世界の理にさからう両者だが、それに対してあくまでもヒナの意思を含め御子としての使命を全うしようという主人公。果たして…みたいな。
僕には一つだけ言える事がある『オーリンだけは絶対に許されない』。ディロフォロスは主人公及びヒナに対して直接手を下されたわけではないから、まだ同情的にはなれるんだけどね。騙してヒナを魂石化=実質56したオーリンだけは絶対に許さん(怒
そもそもこの世界が御子=生贄を受け入れている所からして本当にそれでいいのか?と思った。物語の最初にオーリンがライザを御子の使命から救おうと下あたりオーリンが主人公だったっけ?と勘違いしそうだった。世界の秩序を保つために御子が魂をマナの女神にささげるために旅をする…。お前ら死ぬことになるんだが判ってるのか?ってリアルの常識から言えば思ってしまう。だがこの世界の常識的にはそうする事が名誉で何も悲しくないらしい。
藤子不二雄のSF作品に似たような話があったのを思い出した。主人公が生贄にされる少女に怖くないのか?と聞いたら、少女は怖いと答えた。だがそれ以上に生贄になる名誉を失う事が怖いという…。そういう考え方も判らなくはないが、プレイするゲームの世界でこれは違和感があった。一応物語の序盤でヒナと一緒に、ヴァル(主人公)と一緒に生きていきたいという風なセリフはあったけど、それならばマナの女神の元へ向かうのはおかしいと思うし、結局は運命や使命には逆らわない考えらしい。
僕的にはオーリンは許されないけど、この御子という流れに逆らおうとした点のみ評価できる。
カリナの村の人々の物言いにも違和感があった。一方的にカリナに対してフェアリーを呼ぶための風染めという行為を強要してくるんだが、カリナの事はまったく考えてないというね。ある意味リアルにもこんな奴おるよなと思った。考えが凝り固まってる老害多いし、これが地方の村社会か…。なんかこのゲーム全体主義的で個人が重視されてないような気がするね。中華出資のスタジオが作ったからというのもあるかもしれん。
ストーリー前半の最後にて退場してしまうこのお方(ヒナ)。オーリンに嵌められて、主人公と火の御子ヒナがレナスの祭壇に連れ出され、オーリンが怪しげな術で主人公の力を引き出しヒナを魂石化。僕はこの時点ではまだヒナは魂石を戻せばよみがえるのではないかと思っていました。この後の主人公もそういう望みを捨てていないような口ぶりだったり。
だが、物語が進むにつれて主人公の意識が、魂石をオーリンから取り戻してヒナを蘇らせるというより、魂石を取り戻して当初のヒナの目的通りマナの女神にささげようという風に変わっていた。このあたりでもうヒナが復活する事は無いのかなと思った。少し残念な感じだったが、聖剣伝説は(少なくとも1~3は)仲間の内誰かしらいなくなりますよね。そういう悲しい、しかし目的を達するには仕方ない…というを含んだ物語なんだなと再認識。
ディロフォロスとの戦いが終わり、マナの女神に世界の行く末をゆだねられた主人公。この画像はEDの最後のシーンだけど見た目はマナの女神のよう。ヒナは次代のマナの女神となったのだろうか。
僕がちょっとストーリーで不可解だったのがEDに入るあたりのシーン。主人公に選択が委ねられた後、主人公はなにも声を発する事なくスタッフロールへといってしまう。そしてその後に主人公が自然死を迎えるシーン。主人公は守り人であると同時に光の御子でもあるから、魂を捧げる事を継続する選択をしていればここにはいないはず。ということは、どういう事だろう…。御子が魂を捧げなくていいという風に聖剣の力か何かで願って実現したのだろうか。もしかしたらディロフォロスに変わってマナの女神をやっちま(ry それによって次代のマナの女神にヒナが就いていたとしたらまた悲しい物語が続いていくことになりそうな気がする。
本当にどういう選択をしたのか明確に描いて欲しかった。プレイヤーそれぞれの想像に任せるというか、僕的には開発の責任逃れにしか見えないんだがね。こういうの好きじゃない。きちんと物語を完結させるべきだと僕は思います。ちなみに他の御子のその後についても何も描かれていない。魂を捧げてしまったのか、そういう制度はやめる何か対策を講じたのか。
■ボリューム的な話
今のゲームソフトとしてはちょっと物足りない所がありましたね。別に壁になるようなボスがいたわけではなく、憎いと感情移入できるオーリンは直接戦う事が無かったので敵としては物足りない。ディロフォロスの恋人、ライザ、ヒナと3人の重要人物を物語中で56しているのにも関わらずこの程度の重厚さでは物足りないです。長さ的にはもう1章2章、さらに物語の厚さの部分でももう1枚は欲しかったです。
■聖剣伝説的なストーリー
良くも悪くも聖剣伝説的なストーリーは守られていたと思います。上にも書いたけど目的は達成しつつも、仲間サイドの全員が全員幸せにならない所です。ストーリーは点数を付けるなら60点くらいかなという感じです。