ジャンケンに絶対に負けたくないGちゃん。
ジャンケンポンと出した瞬間に「Gちゃんの勝ち~!」と
興奮して勢いよく主張します。
ジャンケンのルールを理解する認知力は、あったのですが
どうしても負けを受け入れたくないようです。
お母さんと私がしてもお母さんの勝ちと言います。
その後も時々ジャンケンを取り入れること4ヶ月、興奮はしなくなったものの、
ジャンケンポンの結果をじっと見て時間をかけて
やはり「Gちゃんの勝ち」と声をしぼり出すように言います。
そこで、グー、チョキ、パーのそれぞれの絵カードを数枚ずつ用意しました。
カードを二山に分けて裏返し、カードでジャンケンを提案するも応じず、
何もしなくても、Gちゃんやお母さんの勝ちと言います。
そこで、私が1人で2枚めくって1人ジャンケン(これは許された)をして、
Gちゃんに「どっち勝った?」と聞くと、「こっち」と勝ったカードを指差すことが出来ました。
私が1人ジャンケンカードを始めて3回目の療育時に
Gちゃんにカードをめくることを提案すると応じてくれました。
そしてついに、認めたくないという表情をしながらも「先生の勝ち」と言い
自分の「負け」を認めることが出来ました。
この時に「こっちの勝ち」と言わず、「先生の勝ち」と言ったことに
Gちゃんの情緒の成長を感じた瞬間でした。
そして、その次の療育時には、カードではなく手でジャンケンをして、
「負け」を認めることが出来ました。
この時Gちゃんは、4歳3ヶ月、もうすぐ年中さんになろうとしていた時でした。
このエピソードは、ジャンケンがきっかけであっただけで、
ジャンケンを習得して欲しかったわけではありません。
集団生活が苦手で偏食も強く、少々こだわりのあるGちゃんの社会性の幅が
広がるといいなあという思いでした。
*しかしながら、ジャンケン絵カードは、ジャンケンのルールが理解しにくい場合や
ジャンケンに自信がないというお子さんにも有効ではありますので、ぜひ使ってみて下さい。
*ジャンケンカードは、立派な市販の物もあるようですが、手作りで充分だと思います。
下のように切る線の上に補助点(●)を書いてあげてみて下さい。
↑最初はこれぐらいの大きさの補助点と間隔で、上手になって来たら、
補助点を小さくしたり、間隔をあけるといいと思います。
上の写真は、例ですので、直線の一回切りから始めることをおすすめします。
スタート地点にしっかり補助点(●)をつけてあげることもポイントです。
「黒丸を見ながら切ってね」と声掛けして下さい。
太線でも点線でもない、この黒丸の補助点(●)がわかりやすいようです。
黒丸を目指すため、切るスピードが速くコントロールが苦手なお子さんも
それまでよりは、ゆっくりと丁寧に切ることが出来ているようです。
ハサミが上手に切れるようになるには、それまでの沢山の過程があってのことや
物の見え方なども関係しますが、今日のところは、工夫の1つとしてのご紹介です。
子どもの発達、療育に携わり始めて20年近くとなります。
多くのお子さんやお母さん、お父さんから沢山のことを学ばせて頂いています。
子どもの心理を有効に取り入れた心理士ならではの
療育の方法や教材を編み出しながら日々試行錯誤です。
そんな中、今までのエピソードや教材、方法などの話題を中心に投稿したいと思います。
お子さん一人一人、違いがあり、参考にならないかもしれませんが
療育に通われているお子さんにもそうでないお子さんにも
そして、保護者や療育に携わる方々にも少しでもヒントになることを願っています。
保護者におかれましては、出来そうなものがありましたら、
ぜひ「おうちで療育」してみて下さい。
*0才~10才ぐらいのお子さんの療育事例が主となります。
*エピソードに登場するお子さんは、
B君(男の子=BOY)、Gちゃん(女の子=GIRL)と表記します。
↑吸盤で出来たボール!?平面であればどこでも簡単にくっつきます。
↑このように装着して表側で吸盤ボールを受け止めます。
小学生以上のお子さんに適しているように思います。
ボールをうまく投げられない、受け止められないというお子さんにとって
手軽に楽しめるアイテムの1つです。
ボールのように遥か彼方へ跳んで行ったり、
転がって行かないので出来ない感が少なくて済みます。
室内でも比較的安全に遊べます。
受け止めるときにまるでグローブで野球のボールを受けるように
スパンッと音がしてとても気持ちが良く成功体験を味わえます。
自分がキャッチボールがうまくなったような錯覚に陥り気分爽快です。
軽く投げてもうまく飛び、吸着するので、力任せに投げることが減り、
力の調節の練習にもなっているようです。
来室して、すぐに着席して課題に取り組みたくないお子さんが、
この吸盤キャッチをしてから課題を始めたいと言いました。
その提案を取り入れ、課題に入る前に何回かこのキャッチボールをすると
いい気分で取り組むことが出来るようになりました。
また、課題が終わった後も気持ち良くキャッチボールをして、療育を終えていました。
軽く体を動かすことと成功体験がストレス解消になっているようです。
この吸盤キャッチは、100均です。
ずっと前に購入しました。
現在も販売されていますが吸盤ボールが写真のものより小さいです。
★就学前のお子さんや小学生以上でもキャッチボールが難しいお子さんは、
吸盤ボールをガラスに向かって投げて遊ぶといいですよ!
数字の好きなお子さんなら、ガラスのどの辺りにくっついたら
何点と決めてすると楽しいです。
ゲームとしても出来ます。