日日是好日

「アナザー・カントリー」について、実に主観的に書き散らしてます。
たまに身辺の雑記も。

ピク

2013-09-20 22:41:33 | ぼくの地球を守って
6巻178ページ。
一成の「ピク」

迅八→ありすラブの時は、エンジュとしてありすに嫉妬した。
この「ピク」は、一成が1ランク上がった証。
「ピク」で済ませるのが凄い。
並みのマンガ家なら、一成の心の変化を、
何ページにもわたって(モノローグか何か使って)
説明しちゃうとこ。

「ぼくの地球を守って」は、とにかく情報量が凄いのです。
そして、情報の解読は読者まかせ。
お蔭で読者は、20ページのマンガを、50ページぶん楽しめちゃう。

情報量の多さという点では、
今市子やカイユキコも同じだけど、
この二人は読者にもっと親切です。
カメラワークで魅せて、
ほら、ここ、ここと、ちゃんと導いてくれる。

「ぼくたま」は……そう、ゲームに近いのかもしれない。
コントローラーは、読む人間の手の中にある。

ある一節

2013-09-19 23:15:01 | ほんをよんであふれたもの
私は九月十七日の生まれで……その頃は、町中がよれよれになり、疲れ切って、怒りっぽくなっている。


曽野綾子  海辺の殺人

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つまり、いまごろです。

雑記の方にも書きましたが、私は秋と相性が悪く、
さすがに「秋眠したい」と祈ることはなくなったけど、
まともに目を合わせたい相手じゃない。

(読書の)秋、(スポーツの)秋、(芸術の)秋、(食欲の)秋。
カッコの中とはじゅーぶんに付き合っているから、
それでいいじゃないと、誤魔化してしまいます。

この小説には、心揺るがすもう一行があって、

****

「わたしの大切なお兄様あ!」

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「海辺の殺人」は(短編だからかえって書いちゃってもいいと思うけど)、
幼い兄妹の仲があまりに良いので、
それを不条理に思った男が、
兄妹を殺してしまうという話。

いま、ふと思いました。
殺人犯には、この兄妹を主人公にして小説を書くという方法はなかったのかと。
「海辺の殺人」の作者の方は、それが出来たから、殺人には走らずにすんだのかも。

フィクションは、
ノンフィクションの世界と折り合うためには、
とても良い手段です。

「自殺する前に、海外脱出という手段があることを思い出してほしい」
あるジャーナリストの言葉ですが、それにならって、
「殺す前に、小説を書くという道があることを知っていてくれ」
と言って終わる。

小さいのも見たくない

2013-09-19 10:12:58 | 日日雑記
秋欝の季節がやってまいりました。
私は昔から、秋になると気がふさぎまして。

これって割と一般的?
芸術の秋、読書の秋と世間が煽るのも、
秋そのものと目を合わせたくないからだとおもっとります。

秋は(いつにも増して)「これではない何か」に焦点を合わせるように心掛けていますが、
運転中だけはそうはいかん。
天井と床以外のすべて、まさしく四方からから、
小さい秋も大きな秋も飛び込んできます。
目をつぶるわけにはいかんし。
ああ、しんど。

土地柄もあるのでしょうか。
「秋」というより、
「くたびれた夏」なんですよね。

勝手に思うに、北国の秋というのは、
なかなか壮麗なのではなかろうか。
一年くらい休暇をとって、
暮らしてみたいものです。

7人分の想い

2013-09-18 22:31:25 | ぼくの地球を守って
*以下の巻数と頁数は、すべてHC(花とゆめコミックス)です*

三巻の109ページ。
「きみがモクレンを汚したからだ」に続く、
110、111の2ページの輪の表情。

マンガは数あれど、
これほどの情報量を含んだキャラの顔は、
そうそうないと思う。


読者はこの回で、
シオンのレイプ事件を初めて知ります。
だから読者は、絵の通り、雷が落ちたように驚く。

7歳の子供が「レイプの加害者」であるミスマッチがまずある

そして輪のこの顔は何を言っているのでしょうか。

モクレンへの罪悪感。
あるいは、あれは決してレイプではなかったのにという怒り?
シュウカイドウのモクレンへの愛。そのことへの驚き? 軽蔑? 共感?
あるいはレイプだと思っているのなら、
そのことへの罪の重さが今にして身に染みた?
あるいは、不当に重い罰だと思った?
その他、色々、色々、色々。

このシュウカイドウの言い分が正当か否かに、
「ぼくたま」のすべてがかかっていると言っても、
過言ではない。


重い見開きです。


それにつけても、リアルタイムで読みたかったマンガだなあ。