核保有国と非保有国の協力が大事だと言って、核保有国の言うことばかり聞いていたら、核兵器の禁止・廃絶など何世紀経ってもできない。
軍縮などを話し合う国連総会第1委員会は2016年10月27日、「核兵器禁止条約」の交渉を来年開始することを柱にした決議案を賛成123カ国、反対38、棄権16の圧倒的多数で可決しました。
ところが、日本は米国やロシアなどの核保有国とともに、予想通り反対票を投じました。
日本の佐野利男軍縮大使は投票後、記者団に
「実効的に核軍縮を進めるには核保有国と、非核保有国の協力が必要。我が国は決議案に、国際社会の総意が必要と主張してきたが、反映されなかった」
と反対した理由を述べました。
私もこの決議案が作られる過程を側聞して見守ってきたのですが、それはそれは大国ばかりの核保有国の圧力を受けて大変でした。
非同盟諸国ばかりか、米国は自らが主導する北大西洋条約機構(NATO)の同盟国に対し、棄権ではなく反対するよう文書で要求したことからも、いかにすごい圧力を各国にかけたかが想像できるでしょう。
しかし、この核兵器禁止決議案はメキシコやオーストリアなどが主導し、核兵器の使用などを禁じる「法的措置」について2017年の交渉開始を決定すると宣言。
核保有国が核軍縮の義務を負うと明記されている核不拡散条約(NPT)体制下で、20年以上も足踏み状況が続く核廃絶の停滞に業を煮やし、193の国連加盟国の多数を占める途上国の大半が核保有国のごまかしにNO!を突きつけたわけです。
ちなみに、日本が主導して毎年提案している「核廃絶決議案」もこの日、賛成多数で採択されました。採択は23年連続で、今年はアメリカまで賛成するという腑抜け決議案です。その存在意義は真の核兵器廃絶を目指す決議案を邪魔することにしかありません。
これから締結交渉が始まる核兵器を禁止する条約に反対する道理など、日本にもアメリカにも一片たりともありません。
核兵器禁止に反対し続けるような政権は交代させるべきなのです。
広島まで来て核なき世界を語ったオバマ大統領と、それを宣伝に使った安倍首相の実態はこれです。
実に醜い。
よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!
核兵器禁止条約 決議案が国連の委員会で採択 日本は反対
10月28日 10時18分 NHK
動画を再生する
核兵器を法的に禁止する初めての条約の制定を目指す決議案が国連総会の委員会で採決にかけられ、123か国の賛成多数で採択されましたが、アメリカなどの核兵器の保有国に加え、アメリカの核の傘に守られ、段階的な核軍縮を主張している日本も反対に回りました。
この決議はオーストリアなど核兵器を保有しない50か国以上が共同で提案したもので、核兵器を法的に禁止する初めての条約の制定を目指して、来年3月からニューヨークで交渉を始めるとしています。
決議案は、27日夕方(日本時間28日朝)、ニューヨークで開かれている国連総会の第1委員会で採決にかけられ、賛成123、反対38、棄権16の、賛成多数で採択されました。
採決では、核兵器の保有国のうちアメリカやロシアなどが反対したのに対し、中国やインドは棄権して対応が分かれました。
また、唯一の戦争被爆国として核兵器の廃絶を訴えながら、アメリカの核の傘に守られている日本は、核軍縮は核保有国と非保有国が協力して段階的に進めるべきだとして、反対に回りました。
決議の採択を受けて、オーストリアのクグリッツ軍縮大使は「核兵器の法的禁止に努力してきた国々や市民社会の勝利だ。長年にわたって核兵器の非人道性を訴える活動を続けてきた成果だ」と意義を強調しました。
今回の決議がことし12月に国連総会の本会議でも採択されれば、来年3月から核兵器禁止条約の制定に向けた交渉が始まることになり、世界の核軍縮の流れにどのような影響を及ぼすのか、注目されます。
日本 立場反映されなかったことが反対の理由
日本の佐野軍縮大使は、核兵器を禁止する条約の制定を目指す決議に反対したことについて、「核軍縮を実効的に進めるには、核保有国と非保有国の協力がなければならない。国際社会の総意で進められるべきだと強く求めたが、受け入れられなかった」と述べ、決議案に日本の立場が反映されなかったことを反対の理由に挙げました。
一方、日本が23年で連続して提出してきた、核廃絶を呼びかける決議について、ことしは、去年を上回る167か国が賛成し、去年反対したアメリカが共同提案国にもなったとして、「核軍縮を現実的に実践的に進めるという日本の考え方が幅広く支持された結果だ」と述べ、その意義を強調しました。
「被爆者の訴えで非人道的という認識広がった」
核兵器を法的に禁止する初めての条約の制定を目指す決議が採択されたことについて、主導的な役割を果たしたオーストリアのクグリッツ軍縮大使は「核兵器の被害の実態を知る被爆者が訴えてきたことで、核兵器が非人道的だという認識が国際社会の中で広がった」として、この間、広島や長崎の被爆者が果たした役割が大きかったという認識を示しました。
そのうえで、来年3月から始まる核兵器禁止条約の制定に向けた交渉について「交渉は今回の決議に賛成しなかった国にも開かれている。核保有国や核の傘の下にある国にも核兵器禁止条約に関わるよう促していきたい」と述べ、日本も含め決議に反対した国々にも交渉への参加を呼びかけました。
国際NGO 日本の反対に憤り
国際NGO、ICAN(アイキャン)の核兵器廃絶国際キャンペーンの川崎哲国際運営委員は、今回の決議案に日本政府が反対したことについて、「驚くとともに憤りを感じている。日本は核のない世界を目指すという目標を掲げておきながら、核兵器禁止条約の交渉を拒否した。日本政府はこれまで核兵器を持つ国と持たない国の橋渡しをすると言ってきたが、今回反対したことで、完全に軸足を核保有国側に移したと言える。国内でも理解されるとは思えないし、強く抗議をしていきたい」と述べました。
また、今後の核兵器禁止条約制定を目指す交渉について、「早く交渉が進み、核兵器の禁止が国際法になるよう働きかけていきたい」としたうえで、「日本政府にも考え方を改めて、交渉に参加してもらいたい」と述べました。
また、ICANの核兵器廃絶国際キャンペーンのベアトリス・フィン事務局長は、核兵器禁止条約の制定を目指す決議案が採択されたことについて、「歴史的なことで非常にうれしく感じている。核兵器をなくすための交渉がほとんど進まなかった20年がようやく終わることになり、国連にとっても極めて重要な瞬間だったと思う。多くの国が、反対を求める核保有国からの圧力を受けながら、賛成してくれた」と述べ、意義を強調しました。
そして、「核兵器による被害を最もよく知る被爆者の声が、決議の採択に至る過程でも非常に重要だったし、今後の交渉の過程でも重要になってくる」と述べ、広島や長崎の被爆者が条約の制定に向け重要な役割を果たすという認識を示しました。
その一方で、日本政府がアメリカなどに同調して決議に反対したことについては「非常に落胆させられた」と述べ、強い失望感を示しました。
世界の核軍縮停滞への不満と危機感が背景に
核兵器禁止条約をめぐる議論の背景には、世界の核軍縮が既存の国際法の枠組みの下で停滞していることへの各国の強い不満と危機感があり、核兵器の非人道性に焦点を当てて核兵器そのものの違法性を明確にすべきという、国際世論の高まりがありました。
これまで世界の核軍縮の枠組みとしては、核兵器の保有国と非保有国にそれぞれ異なった義務を課し、核兵器の廃絶を目指すNPT=核拡散防止条約がありましたが、段階的な核軍縮を主張する核保有国と速やかな廃絶を訴える非保有国の対立から交渉は停滞し、去年開かれた5年に1度の再検討会議でも議論が紛糾しました。
また、核実験を禁止するCTBT=包括的核実験禁止条約も、国連総会で採択されてから20年が経過したにもかかわらず、アメリカや中国が批准していないことから、いまだに発効していません。
今回の決議がことし12月に国連総会の本会議でも採択されれば、来年3月から核兵器禁止条約の制定に向けた交渉が始まります。しかし、アメリカなどは核抑止力に依存する世界の安全保障の現実を考慮せずに核軍縮は進められないとして決議に強く反対しており、条約の制定までには多くの曲折が予想されます。
日本は、アメリカの核の傘に守られている立場から核兵器の即時禁止に慎重な立場をとっていますが、広島や長崎の被爆者などは禁止条約の制定に強い期待を寄せています。
サーロー節子さん「核廃絶に向けた第一歩」
核兵器を法的に禁止する初めての条約の制定を目指す決議が採択されたことについて、国連などの国際会議で核兵器廃絶を訴えてきた広島市出身の被爆者、サーロー節子さんは、「NGOなどと協力しながら、何年もかかってようやくここまできた。核廃絶に向けた第一歩になった」と評価しました。
そのうえで、「核兵器禁止条約という目標が定まったので、今後の交渉に向けても核兵器がどれほど危険か被爆者として訴え、条約が早く制定されるよう促していきたい」と述べ、各国への働きかけを続けていく姿勢を示しました。
官房副長官「わが国の基本的考えと合致しない」
萩生田官房副長官は閣議のあとの記者会見で、「慎重な検討を重ねた結果、反対票を投じた。北朝鮮などの核、ミサイル開発への深刻化などに直面している中で、決議は、いたずらに核兵器国と非核兵器国の間の対立を一層助長するだけであり、具体的、実践的措置を積み重ね、核兵器のない世界を目指すというわが国の基本的考えと合致しないと判断した」と述べました。
一方、萩生田官房副長官は、日本が提出した核廃絶を呼びかける決議に、ことしは、去年を上回る167か国が賛成し、去年反対したアメリカが共同提案国になったことについて「わが国決議こそが、核兵器国と非核兵器国双方が、ともに目指すべき核兵器のない世界の道筋を示していることを表している」と述べました。
国連総会委、核禁止条約の交渉開始決議=日本は反対-保有国抜きで来年開催
決議はメキシコやオーストリアなどが主導し、55カ国以上が共同提案した。年内に総会本会議で採択され、正式な決議となる見通しだ。核兵器を法的に禁止する枠組みについて、国連で初めて本格的な議論が行われることになる。
決議は「国連総会は核兵器全廃に向け、核兵器を禁じる法的拘束力のある措置を交渉するため、2017年に国連会議を招集することを決定する」と明記。来年3月27~31日、6月15日~7月7日を会期とし、国連の全加盟国に参加を促している。
しかし、核保有国側は交渉には参加しない構えで、核軍縮をめぐる国際社会の分裂が一層鮮明になった。
日本の佐野利男軍縮大使は採決後、記者団に対し、「実効的な核軍縮は核保有国と非保有国の協力の下で進める必要がある」と強調。反対した理由について「意思決定のあり方に国際社会の総意を反映させてほしいと主張してきたが、(決議案には)反映されていなかった」と説明した。
決議は会議について、多数決による議決が可能な国連総会の手続き規則を用いるとしている。日本は、全会一致(コンセンサス)による意思決定とするよう提案国側に働き掛けていた。
日本外務省関係者は「安全保障を考慮しながら核軍縮を進めていくという記述が(決議案には)ない」とも指摘した。
日本と同様、米国から「核の傘」の提供を受ける北大西洋条約機構(NATO)加盟国など欧州諸国も軒並み決議に反対した。(時事通信 2016/10/28-11:30)
よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!
東京都なんか、「核兵器を持っていないと他国からナメられる。1日も早く核を持て」が持論の人を、常に圧倒的な得票数で本人が飽きるまで知事にしていたのですよ?
核兵器を法的に禁止するような条約に賛成なんかしてしまったら、日本人の多数を占める「本当は核兵器を持ちたい人達」の民意を損なうというもの。
……自民党や維新に投票している人達は、そういうことをしているのだと自覚すべきでしょうね。
唯一の被爆国なんて恥ずかしくて言えないですよ。核武装推進したい連中を、ずっと与党にしているのですから。
これ、「風邪が治るまで病院に行かない」ってのと同じ理屈。ここまで馬鹿な理屈が、それこそ国際社会で通るはずがない。しかもラジオニュースで聴くところによると、この決議には「あの」北朝鮮すら賛成したというではないですか。もちろん、北朝鮮自体は自ら核兵器をガンガン開発しているわけだから、単純に今回の賛成を信用するとしたら、それも馬鹿だと思いますが。
ディエス・イレさんの仰る
>……自民党や維新に投票している人達は、そういうことをしているのだと自覚すべきでしょうね。
は全くズバリその通りなのであって、その投票行動がいかに恥知らずであるかを自覚すべきです。
自分が日本人であることに、今日ほど嫌悪感を感じたことはありません。日本はもはや、世界に対する裏切り者になってしまいました。
実効性はないと思うがどうでしょうか。
仮に経済制裁をするにしても、反対している国だけでも経済が成立しそうですし。
当ブログへのコメント注意書きより
あまりお答えできませんがコメントを歓迎しています。 記事に批判的でも一向にかまいませんが、必ず記事を読んでからコメントしてください(笑)。 名誉毀損・プライバシー侵害・差別的・わいせつなど違法なもの、人を不愉快にする・品が悪いもの、感情的なもののみ承認しません(URLがある場合、そのリンク先を含む)。
コメントにはお一人お一つ必ず固定ハンドルネームをつけてください(このブログ限りの物でも結構です)。
「通行人」とか「通りすがり」とか「名無し」とか「匿名希望」などの無個性なものではなく、必ず個性的な素敵なのをお願いします。
以上のようなハンドルネームのないコメントは原則として承認いたしませんので、よろしくお願いいたします。
とはいえ、堅苦しいことは言いませんので、どんどんコメントをお願いいたします!
これで、「主権回復の日」なんていうことをやっていたのだからよけいに恥ずかしい。世界中から「まぬけ、カネだけ出しとけ」と嘲笑われていることでしょう。当然フィリピン大統領からも。
国会で「広島、長崎への原爆投下は残虐行為」ではないかと問われても、まともに答えられない無能が首相をやっている。アメリカを除く国際社会では、世界一残虐な行為と認識されているのに。
「核の傘」「抑止力」などという幻想に縛られる間抜け親米右翼とまったく同じのアベのスカスカ政権。彼らがやることは税金のネコババだけ。外国への資金供与や投資で、いったいどれだけアベの懐に税金が還流されたことか。沖縄での基地建設も、土建業者から裏金をもらうため。オリンピックもじゃぶじゃぶと税金を使えば使うほど、モリとアベに還流される。
これだけわかりやすい恥さらし、ネコババでも、次の選挙も大勝?
前者が眉唾物らしいということは分かるのですが、では具体的に何処がどう違うのか?
あちこち、新聞も含めお勉強しましたが、やっぱり???です。
簡潔に解説頂けたら嬉しいです。
TPPもそうですが、呪文みたいな条文は、長く世界を牛耳ってきた欧米諸国のリーサルウェポンなんじゃないか、思うこと頻りです。
その締結交渉を求める今回の決議は具体的に核兵器廃絶の道筋を含んでいると言えます。
日本の核兵器廃絶決議案は昔は究極的廃絶という言葉が入っていたくらいで、どうやって核兵器をなくすかという方法がないのが最大の弱点です。
えぇ~、つまりカッコ付けただけで「屁(お品の良くない言葉ですみません)のつっかい(色々用語は地方により異なるようですがこの辺りではこう表現することが多いらしいです)」にもならない決議案という理解は深まりました。
この決議の共同提案国が57か国。採決の結果は、賛成123、反対38、棄権16だった。
唯一の戦争被爆国である日本が、共同提案国57か国に加わっていない。
賛成123か国の中にもはいらなかった。
棄権ですらなく、少数派・反対グループ38国の一員となった。
北朝鮮ですら賛成している。
NPT体制における核保有5大国の一角である中国は棄権と、国際世論に配慮しているのに、日本は「反対」というのだ。
「法的拘束力をもつ核軍縮には反対」と明言する日本。
さらに噴飯物なのが、政府の反対理由である。岸田文雄外相・萩生田官房副長官が閣議のあとの記者会見で明らかにし、同旨をアベ首相も述べている。
「慎重な検討を重ねた結果、反対票を投じた。北朝鮮などの核、ミサイル開発への深刻化などに直面している中で、決議は、いたずらに核兵器国と非核兵器国の間の対立を一層助長するだけであり、具体的、実践的措置を積み重ね、核兵器のない世界を目指すというわが国の基本的考えと合致しないと判断した」
「核兵器のない世界を目指す」から、世界の潮流に断乎逆らって「法的拘束力をもつ核軍縮には反対」というのだ。誰がどう考えたところで、説明になってない。論理として成り立たない。「反対」の姿勢もさることながら、こんな理由しか言えないのだから情けない。とんでもない政府ではないか。・・・
以下、澤藤氏の皮肉が炸裂します。
いや、皮肉じゃなく本当に安倍一派が言いそうだから、コワイ。