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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

放射線漏れ警報をリセットして、施設内の線量を下げるため換気扇を回していた日本の原子力研究の安全レベル 

2013年05月26日 | 原発ゼロ社会を目指して

 

 安倍政権が成長戦略に盛り込むエネルギー政策の原案が2013年5月25日判明しました。政権与党の自民党と同じく、原子力規制委員会が安全と認めた原発は 「再稼働を進める」と明記し、立地自治体などの理解を得るため「政府一丸となって最大限取り組む」との姿勢を強調しています。

夏の参院選公約原案でTPP6項目放棄・原発再稼働を打ち出した安倍自民党

 そんな中、5月23日に茨城県東海村にある日本原子力研究開発機構(原子力機構)の実験施設で、想定を超える放射性物質が発生しました。この事故で少なくとも6人の研究者が被ばくしたのですが、周辺自治体などへの報告に事故から33時間もかかった理由がわかりました。当時、装置の異常を知らせる警報が作動したにもかかわらず、担当者がリセットして実験を続けていたというのです。

 この事故では装置が誤作動した異常を知らせる警報が鳴り、装置が自動停止しましたが、担当者は原因が分からないにもかかわらず警報をリセットし、実験を再開したということです。

 さらに、1時間半後には、施設内の放射線量が上昇したため装置の運転を停止しましたが、換気用のファンを回して放射線量を下げたうえで実験を続け、最終的に実験を中止したのは放射線量がさらに高くなった5時間後になってからでした。

 ところが、この時は周辺の放射線量を調べておらず、翌24日に隣の施設のモニタリングポストを調べた結果、事故後30時間近くたった午後5時半になって換気用のファンを回した時間帯に放射線量が上昇していたことが分かり、ようやく放射性物質の漏えいに気付いたということです。

 警報の作動にもかかわらず原因を調べず実験を継続したことや、換気扇を回したこと、周辺の放射線量の調査を怠っていたことなどなど。。。。しかも、施設の三十二カ所にある換気扇に、放射性物質を吸着するフィルターは取り付けられていない!

 日本の広い意味での原子力研究全体のレベルの低さ、福島事故後も変わらぬ安全性に対する意識の低さがあらわになった事件です。

 安倍政権は原発輸出政策を進め、冒頭にあるように、成長戦略のエネルギー部門で原発再稼働自体を成長戦略に位置付けることを決めましたが、福島原発事故が収束しないまま、こんな低レベルの現状で、原発再稼働など許されません。

福島第一原発から流出し続けているセシウム汚染水17兆ベクレル 拡散し続けている放射性物質

 そんな成長戦略など破たんするに決まっているでしょう。

 

 

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東海村事故 換気扇回し実験継続

2013年5月26日 07時01分

放射性物質漏れが起きた実験装置。右下の赤いコーン付近で2人が被ばくした=25日午後、茨城県東海村のJ-PARCで(清水祐樹撮影)

写真

 茨城県東海村の日本原子力研究開発機構(原子力機構)の敷地内にある加速器実験施設「J-PARC」の放射性物質漏れ事故で、事故当初、実験装置 の異常を検知して安全装置が働き、警報音が鳴ったにもかかわらず、担当者が警報をリセットして実験を続けていたことが二十五日、分かった。  新たに二十 三歳と四十五歳の男性二人の被ばくが確認され、事故当時、施設に出入りしていた五十五人のうち被ばくしたのは実験装置の付近で準備をしていた二十二~四十 五歳の男性六人となった。被ばく線量は一・六~〇・六ミリシーベルトだった。ほかに二十四人が被ばくした可能性があり、機構が精密測定を進めている。十四 人は被ばくしていないと判明、十一人はまだ検査を受けていない。茨城県は二十五日、原因や経緯を確認するため施設内を立ち入り調査した。調査には県のほ か、東海村、水戸市など周辺市町の職員も参加した。

 実験を実施していた高エネルギー加速器研究機構(KEK、同県つくば市)によると、二 十三日午前十一時五十五分、J-PARC内の原子核素粒子実験設備で金に陽子ビームを当てて素粒子を発生させる実験中、異常を検知して安全装置が作動、警 報音が鳴ったため、いったん実験装置を停止した。

 担当者は安全装置作動の原因が分からないまま午後零時八分に警報をリセットし、実験を再開した。その後、施設内で放射線量が上昇し再び運転を停止。午後三時十五分ごろ、排気ファンを作動させて施設内の線量が下がったため、また運転を再開していた。

◆報告進言も…却下 事故マニュアルなし

  放射性物質漏れ事故を起こした茨城県東海村の加速器実験施設「J-PARC」は、放射性物質を取り扱う施設でありながら、漏えいを想定した十分な対策が取 られていなかった。放射性物質を確信的に外部に放出して実験を続けるなど、研究者たちの安全意識の薄さも浮き彫りになった。

 施設は原子力機構とKEKが共同運営している。事故発生時、研究者たちは放射線量が通常時の十倍の毎時四マイクロシーベルトまで上がったのが分かると、施設内の線量を下げるため、換気扇を二度にわたって運転した。

 KEKは「大気に出ても迷惑はかからない数値だと思った」と説明。研究者たちが放射性物質の外部漏出を確認したのは、換気扇を回して二十六時間もたってからだった。

 現場では速やかに国に報告すべきだとの声も一部であったという。だが、原子力機構出身の池田裕二郎J-PARCセンター長らが「通報に該当する事象ではない」と判断。報告遅れにつながった。KEKの研究者は「センター長らの指示に従った」と語った。

  装置では実験時に素粒子とともに放射性物質が発生する。だが、KEKは「今回の事故のように大量に装置外に漏出する事態は考えていなかった」と釈明。施設 の三十二カ所にある換気扇に、放射性物質を吸着するフィルターは取り付けられていない。事故を想定した運用マニュアルも用意していなかった。

 現地調査に当たった茨城県原子力安全対策課の担当者は「フィルターが付けられていないのは驚き。外部に漏れたのは重大だ」と指摘した。 (永山陽平)

(東京新聞)

 

被ばく事故 警報作動後も実験継続

5月26日 5時57分 NHK
被ばく事故 警報作動後も実験継続
 

茨城県東海村にある日本原子力研究開発機構の実験施設で、装置の誤作動が原因で研究者が被ばくした事故で、当時、装置の異常を知らせる警報が作動したにもかかわらず、担当者がリセットして実験を続けていたことが分かりました。

この事故は今月23日に茨城県東海村にある原子力機構の実験施設で、金に特殊なビームを当てて素粒子を発生させる実験中に装置が誤作動し、想定を超える放射性物質が発生したもので、少なくとも6人の研究者が被ばくしたほか、一時、施設の外にも放射性物質が漏れ出しました。
この事故では装置が誤作動した午前11時55分に異常を知らせる警報が鳴り、装置が自動停止しましたが、担当者は原因が分からないにもかかわらず警報をリセットし、実験を再開したということです。
さらに、1時間半後の午後1時30分ごろには、施設内の放射線量が上昇したため装置の運転を停止しましたが、換気用のファンを回して放射線量を下げたうえで実験を続け、最終的に実験を中止したのは放射線量がさらに高くなった午後4時過ぎになってからでした。
ところが、この時は周辺の放射線量を調べておらず、翌24日に隣の施設のモニタリングポストを調べた結果、午後5時半になって換気用のファンを回した時間帯に放射線量が上昇していたことが分かり、ようやく放射性物質の漏えいに気付いたということです。
警報の作動にもかかわらず実験を継続したことや、周辺の放射線量の調査を怠っていたことについて、原子力機構は不適切な対応だったと認めたうえで、今後、検証を進めるとしています。
一方、事故当時、施設に出入りしていた55人のうち、これまでに6人の男性研究者の被ばくが判明しましたが、14人は被ばくしていなかったことが確認されました。
原子力機構は残る35人についても測定を急いでいて、被ばくした人はさらに増える可能性があります。

 

 安倍政権が成長戦略に盛り込むエネルギー政策の原案が25日判明した。原子力規制委員会が安全と認めた原発は 「再稼働を進める」と明記し、立地自治体などの理解を得るため「政府一丸となって最大限取り組む」との姿勢を強調した。早期再稼働を求める経済界や立地自 治体などに配慮したとみられる。

 政府は6月14日までに成長戦略をまとめ、閣議決定する方針。自民党も参院選の公約に原発再稼働方針を盛り込む見通しで、政府、与党が足並みをそろえて原発を活用する姿勢を明確にする形となる。

 安倍首相はこれまで国会答弁などで、規制委が安全性を確認した原発を再稼働する考えを示してきた。

2013/05/26 02:00   【共同通信】



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1 コメント

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シエスタ (くろねこ)
2013-05-26 15:44:31
モモやネバーエンディング・ストーリーの原作者で童話作家のミヒャエル・エンデの有名な話なので今更の感もありますが。
彼も原子力発電に反対でしたが、その理由が(福島原発事故の前です)人がこれ以上エネルギー(力)を手にすることは危険だ、との主旨でした。

私もそう思っています。
成長は必ず負の側面を持ち、其れは高度経済成長期の公害病であったり、被爆した研究者も、更に深刻なのは其の原料となるUranium採掘現場で働く労働者の被爆のように個人に全て背負わされます。成長を望む限り続く、豊かな社会と限定された苦しむ個人。

そろそろ世界は昼寝の時間がきたのでは無いでしょうか。
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