２０１５・７・１５、戦争法案強行採決。これは「多数派」の横暴ではない。少数派のクーデターだ。

 

　２０１５年７月１５日、国民多数の反対意見を無視して、自民党・公明党は衆院特別委で戦争法案を強行採決しました。

　この時の国会内外の様子を知りたくて、久しぶりに夜９時からのNHKニュースを見ていたら、６０分のうち、わずか１７分しかこの問題をニュースにしない。しかも、安倍首相が先の大戦が間違っているかと何度聞かれても答えることができない姿など、安倍首相が狼狽したり興奮したりする場面は全く報道しない。

　NHKこそ、安倍政権と戦争法案を支える最大の共犯者の一人だということがよくわかりました。

　良い評判を聞く報道ステーションはNHKの倍以上の40分ほど、古館キャスターが戦争の１ミリでも近づくことは許せない」と力説しましたが、その割には、彼がそう言ったすぐ後にゴルフの全英オープン会場にいる松岡修三レポートに行ってしまうなど、全く熱が足らない！

　久しぶりに最初から最後まで見た私は、NHKと同じくらいに驚きました。

　このまま、集団的自衛権を行使することを容認してしまう戦争法案が成立してしまったら、戦争の危険性は１ミリ近づいてくるどころか、何メートルも何キロメートルも近づいてくるのですから。

 

7月１５日、強行採決の日の国会内外。

 

国会前。

 

大阪・梅田。

野党の議員さんたちには本当に申し訳ないが、同じようなプラカードを持っていても、国会外の市民たちと「熱量」が違いすぎる。

 

 

 

　また、報道ステーションにレギュラーコメンテーターとして出演していた中島岳史北大准教授は、

「民主主義は多数決ではない。多数派が少数派の意見に耳を傾けることだ」

と強調していましたが、それは一般論としてはいいのですが、今の状況を評するにはピントがずれていると思います。

　国会の議席数では、自民党・公明党の与党は３分の２で圧倒的な多数です。

　しかし、どの世論調査を見ても戦争法案に反対する国民は賛成する人の２倍です。

　つまり、逆に戦争法案に反対する人が３分の２で戦争法案に賛成する人を圧倒しているのです。

　自民党・公明党は、圧倒的少数派なのです。

　

明日７月１５日の「安保法案」＝戦争法案強行採決に備える。急速に広がる反対の声を圧倒的なものに！

 

 

 

　しかも、与党の議員が選ばれた衆議院選挙、参議院選挙は一票の価値が著しく不平等で、最高裁に言わせれば「違憲状態」、多くの高等裁判所に言わせれば端的に違憲です。

　つまり、ある有権者が別の有権者の２票分以上投票権を持っているのも同様の状態であり、民意はそもそも正確に議会に反映していないのです。

　そんな憲法違反の選挙で当選した人たちに、本当は権力を行使する正統性、正当性などないのです。

　このように民意が議席数に反映しないのは、議員定数不均衡で投票価値が不平等なだけでなく、小選挙区制のせいで議席に結びつかない「死票」が異常に多く出ることが原因です。

　この小選挙区制度では、各選挙区で最大得票の候補者１人しか当選できないため、それ以外の候補者の得票は議席に結びつかない死票になってしまうのです。

　ですから、小選挙区選挙では、比較的多数の政党が支持されたよりはるかに多い議席を得てしまいます。民主党が「政権交代」を最大争点にした２００９年総選挙、２００５年の小泉政権の「郵政選挙」でも、５割未満の得票で７割以上の議席となっています。

　ところが、安倍自民党が政権を奪取した２０１２年１２月の総選挙ではこれがさらに極端に出て、小選挙区での自民党の得票率は４３％でしたが、全３００小選挙区議席に占める割合（議席占有率）は７９％と倍近くになってしまったのです。

　

しんぶん赤旗　２０１２年総選挙　小選挙区制　害悪くっきり

 

 

 

　そして、今の議員が選ばれた２０１４年１２月の総選挙でも、自民党は投票価値の不平等と小選挙区マジックで、虚構の多数を得ています。

　自民党は小選挙区選挙での得票率は４８・１％なのに、議席は７５・６％、４７５議席中２９１議席取ってしまっています。

　さらに、この総選挙当日の全有権者数のうち、小選挙区で自民党候補に投票した有権者は４人に１人以下の２４・４９％です。これに対して、３人に１人は自民党以外の候補者に入れ、４７％以上が棄権でした。

　もし、あの日棄権した方々の中で、戦争法案には反対だなと思われた方は、ご自身の棄権という行動がいかに致命的な結果を招いてしまったか、肝に銘じて次の選挙では頑張っていただきたいと、切にお願いします。

 

自民は小選挙区で４０%台の得票率で７０%台の議席を得てきた。

 

今回は実に半分近い有権者が棄権して、自民党公明党の暴走を許した。

 

 

　さて、今回の総選挙の小選挙区で議席に結びつかなかった「死票」は、全３００選挙区の合計で約２５００万票。

　小選挙区候補の全得票に占める「死票」率は４８・０％にも及びました。

　つまり、ほとんど２票に１票は当選しなかった候補者に投じられており、無駄になっている計算です。

 

 

　政党名を投票用紙に記入する比例代表選挙の部分では、自公与党の得票率はさらに低く、自民党は33.1%、公明党は13.8%。

   今、自公与党はあわせて３２６議席も持っていますが、もし、衆議院選挙が得票率に完全に比例して議席を得る比例代表制だったとしたら、

自民党は４７５議席中、２９１議席から１５７議席

に１３４議席も激減します。

　４７５議席中の１５７議席ですよ。このどこが多数派なんですか。

　公明党は３５議席から６５議席に増えますが、それでも

自公合わせて与党は４７５議席中２２２議席。

　今の議席３２６より１００議席以上減るのです。

　２２２議席では、衆議院４７５議席の半数の２３８議席になど遠く及ばないではないですか。

　もう一度言いますが、このどこが多数派ですか。

 

 

　ちなみに、完全比例代表選挙なら、今回戦争法案に反対した主力だった

民主党は７３議席から８７議席、

共産党は２１議席から５４議席、

「生活の党」は２議席から９議席、

社民党は２議席から１２議席、

に増えます。

　最終的には他の野党と歩調を合わせた維新の党（当時は日本維新の会）も４１議席から７５議席に増えます。

　

　今回の戦争法案は、国民の３分の１しか支持していない法案を、半数にも足らない少数与党が、まさに強行採決したのです。

　3分の2の多数意見を、少数派がくつがえしたのです。

　彼らの見せかけの多数は、憲法違反の選挙で得たもの。

　法案の内容は憲法違反。

　これがクーデターでなくてなんなんですか。

 

 

 

何もかもが憲法違反だ。平和主義だけでなく、法の支配も、立憲主義も何もかもが踏みにじられた。

今日、私は国会前に行きます！

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