日本の多くの市民には知られず、また信じがたいことだと思いますが、「唯一の被爆国」として核兵器廃絶を主張しているはずの日本の政府は、核兵器廃絶禁止条約締結の足を引っ張り続けています。
2014年末に開かれた国連総会は12月2日、軍縮・国際安全保障問題を扱う第1委員会に付託された63本の決議を採択しました。このうち32本は無投票で採択され、残りが採決に付されました。核軍縮関連は21本で、そのうち主な決議の採決状況は冒頭の表の通りです。
驚くべきことに、「唯一の被爆国」を旗印にかかげ核兵器の廃絶を目指しているはずの日本が、アジアの核保有国である中国・北朝鮮・インド・パキスタンが賛成した核兵器使用禁止条約に棄権していることがわかります。
NPT再検討会議2015
そればかりか、同じくこの4か国が賛成している国際司法裁判所の勧告的意見の後追いにも棄権しています。
この国際司法裁判所の勧告的意見とは、国際人道法の見地から見て核兵器による威嚇・核兵器の使用は一般的に見て国際法違反であるという内容の勧告です。
これら、非同盟諸国を中心に提出された「国際司法裁判所の勧告的意見の後追い」「核兵器使用禁止条約」「2013年国連総会核軍縮ハイレベル会合の後追い」の決議はいずれも、核兵器禁止条約の国際交渉開始を求めています。
この3つの決議に、核保有国の米英仏ロはそろって反対ないし棄権しました。
つまり、日本がこの3つの決議に棄権するということは、日本はアメリカに追随して、核兵器を禁止すべきではないという立場を取っていることを意味しています。
ちなみに、日本はこの国連総会でも毎年のように出している「核兵器の全面廃絶に向けた共同行動」決議を提案し、賛成多数で採択されましたが、同決議は核兵器をいずれ廃絶しようというだけで、核兵器禁止条約の交渉開始を求めていません。
これは日本国民の期待を裏切る恐るべき事態ではないでしょうか。
2015年4月から5月にかけて開かれていたNPT条約(核拡散防止条約)の再検討会議について、日本のマスコミは最終文書に日本政府が入れることを希望していた広島・長崎に各国首脳が訪れるように要望するという条項が、中国の反対で入らなかったということばかり報道していました。
しかし、最終文書素案には入っていたのに最終文書原案で削られてしまった最重要の項目は核兵器禁止条約の締結でした。
そして、それにはやはり日本も反対して削除に一役買っているのです。
そもそも、この核兵器禁止条約の締結への呼びかけは、2014年12月の核兵器の非人道性に関する第3回国際会議を受けて、核兵器の禁止に向けて行動することを呼びかける「オーストリアの誓約(プレッジ)」に基づくものです。
この提案には100か国以上が賛成しました。
ところが、再検討会議を翌月に控えた2015年3月18日の参議院予算委員会で、安倍首相は
「いたずらに核保有国との関係に溝を作り、一歩も理想に近づくことにならないアプローチは取らない」
と述べて、この決議案に賛同しないという立場を明らかにしたのです。そして、これを受けて日本は今回のNPT再検討会議でも核兵器禁止条約に反対したのです。
にもかかわらず、日本政府が広島・長崎への訪問を世界に呼びかけても説得力がないのです。
NPT再検討会議が開かれている国連のあるニューヨークで核廃絶をアピールする被爆者と市民の方々
この再検討会議で、広島、長崎両市長はそれぞれスピーチしました。
松井一実広島市長はその中で
「私は、核兵器のない世界の実現には核兵器禁止条約もしくは同様の目的を持った法的枠組みが必要であると確信しています。核不拡散条約(NPT)の第6条は、核兵器保有国だけでなく、全ての締約国に対し、誠実に核軍縮交渉を行うことを求めています。
しかし、NPT発効から45年経った今もまだ、核兵器の全面禁止には大きな法的隔たりがあります。今まさに、一刻も早く、NPT締約国がこの法的隔たりを埋めるための交渉、特に核兵器禁止条約に関する交渉を始めるべき時が来ているのです。」
として、核兵器禁止条約を締結するように求めました。
田上富久長崎市長は
「「核の傘」ではなく非核兵器地帯という「非核の傘」を拡大する必要があります。私たちが住む北東アジア地域でも、北朝鮮の核をめぐる緊張があります。
日本政府におかれましては、北東アジアの安定のためにも韓国や北朝鮮に働きかけ、「北東アジア非核兵器地帯」の創設に向け努力するよう求めます。」
と北東アジア非核地帯条約を作れと日本政府に迫りました。
広島市 松井一実市長 スピーチ全文 長崎市 田上富久市長 スピーチ全文
会議でスピーチする松井広島市長(左)と田上長崎市長
これに対して日本の外務省はアメリカの核の傘について、
「国際社会においては、依然として核戦力を含む大規模な軍事力が存在している中で、日本の安全に万全を期すためには、核を含む米国の抑止力の提供が引き続き重要」
としており、アメリカの核兵器が必要だとしています。
しかし、先にも述べたように、驚くべきことに核兵器禁止条約には中国も北朝鮮も賛成しています。つまり、これら両国はアメリカに対する抑止力として保有していることがわかります。また、両国は世界に一万数千発残る核弾頭のうちあわせて数百発しか核を保有していません。
ですから、北東アジアで核兵器を禁止する条約が締結され、アメリカも核を手放すことになれば、核兵器を自らも手放すことに反対はしないという構えなのです。
したがって、日本は北東アジア非核地帯条約締結のために努力し、段階的にアメリカの核も含めて削減していけばいいのです。
ちなみに、外務省によると全世界で非核地帯条約が締結されており、地球の南半球では非核地帯になっていない地域がないのです。
その中でも、アジアではASEAN加盟全10か国が批准して発効している東南アジア非核地帯条約があり、
締約国による核兵器の開発・製造・取得・所有・管理・配置・運搬・実験、領域内(公海を含む)における放射性物質の投棄、大気中への放出を禁止するとともに、自国領域内において他国がこれらの行動(核兵器の運搬を除く)をとること
を許してはならないとしているのです。
日本も核保有国ではないのですから、同じ内容の北東アジア非核地帯条約ができればこれに越したことはないはずです。
核兵器廃絶条約に向けて、まず核兵器使用禁止条約を締結する。これには全世界を非核地帯条約で覆い尽くしていく段階を踏むなどの道筋も精密に提案されています。
「唯一の被爆国」(本当は戦争で被ばくした唯一の国と表現するのが正確)である日本は、核非保有国約180か国で核兵器禁止条約を先に締結し、あとから核保有国に加盟を呼び掛けていく先頭に立つこともできるはずなのです。
しかし、日本はアメリカの核政策に追随して、北東アジア非核地帯条約にも努力せず、核兵器の使用にさえ反対しようとしていないのが現状です。
確かに、上の図にあるように中国・北朝鮮、そしてロシアの核兵器まである北東アジアの核兵器を廃絶するのは容易なことではありません。
しかし、中国と北朝鮮が核兵器禁止条約に賛成しているように、彼らの核兵器保有は主にアメリカに核攻撃されないためのものですから、アメリカに対してアジアに核兵器を持ち込ませず使用もしない交渉をして、米・露・中・朝が核を漸減していく交渉は可能です。
そのためには、いずれはこの地域の核をなくす中で、アメリカの核の傘で守られる必要はないと言わなければなりません。
この核廃絶について、安倍首相は2014年8月の広島、長崎での原爆犠牲者を慰霊する式典で
「人類史上唯一の戦争被爆国として核兵器の惨禍を体験したわが国には、確実に『核兵器のない世界』を実現していく責務がある」
と誓いましたが、日本政府はずっと国内では核廃絶を誓い、国際社会では核兵器禁止条約に反対するという二枚舌を使っているのです。
日本に住むすべての人がこのような現状を知り、アメリカに加担する戦争法制とは逆の、真に核兵器を廃絶する努力をするよう政府に求めていくべきだと思います。
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来月ニューヨークで開幕する核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向け、オーストリアが核兵器禁止を呼び掛け国連全加盟国に配布した文書について、日本政府が賛同を見送る方針を固めたことが12日、分かった。米国が「核の傘」への影響を理由に日本を含む同盟国などに不賛同を働き掛けていた。複数の日本政府当局者や外交筋が明らかにした。
オーストリアは昨年末の「核兵器の非人道性に関する国際会議」の議長国。同会議で文書を発表、再検討会議にも文書を提出し、核禁止の論議を本格化させる狙いがある。
政府は核の傘に頼る安全保障政策との整合性から、オーストリアの文書が「核兵器を禁止、廃絶する」条約の必要性を訴えている点を問題視、不賛同が適切と判断した。
日本は毎年、国連総会で核兵器廃絶決議案の採択を主導。しかし禁止条約については「交渉の機は熟していない」と否定的な立場だ。
米国務省当局者も文書に不支持を表明し「有望なのはNPT加盟国の総意を反映した、より現実的なアプローチだ」と語った。
日本は、文書を通じ核兵器禁止条約への態度表明を迫られた格好だったが、日米同盟を重視し「ノー」で応じる展開となった。再検討会議の場では広島や長崎の被爆者らが禁止条約制定を訴える予定で、反発と落胆が広がりそうだ。
オーストリアは1月中旬、文書への賛同を各国に要請した。日本は外務省が精査し「レッドライン(譲れない線)を越えている」と判断。賛同しない一方、再検討会議成功と核軍縮促進へ向け、協力していく考えを伝えることを検討している。
米政府高官が2月に訪日し不賛同を促していた。米国は核の非人道性をめぐる問題に熱心なノルウェーなど一部の北大西洋条約機構(NATO)加盟国にも同様の働き掛けをしている。
文書にはこれまで40~50カ国が賛同を表明。オーストリア外務省は「核保有国や、核の傘の下にある国からの賛同はない」としている。(ワシントン、ウィーン、東京共同)
2015年5月23日13時49分 朝日新聞
私たちが生きている間に核兵器廃絶はできないのか――。核不拡散条約(NPT)再検討会議が決裂した。核保有国の反対で「核兵器禁止条約」の文言などが削除された最終文書案さえも採択できず、被爆者に失望や憤りが広がった。
特集:核といのちを考える
参加国に核兵器廃絶の願いを届けようと渡米した広島県原爆被害者団体協議会(坪井直理事長)の箕牧智之(みまきとしゆき)副理事長(73)=同県北広島町=は「がっかりだ。この怒りをどこにぶつければいいのか」と憤った。
現地で被爆体験を証言し、市民には思いが伝わったという感触はあった。だが、最終文書案から核兵器禁止条約の文言が削られるなどし、「核保有国との溝は予想以上だ」と感じていた。その文書案も米国などの反対で採択されず、「5年に1度の人類の生き残りをかけた会議のはずなのに。オバマ大統領がノーベル平和賞をもらった米国がどういうことなのか。私たち被爆者の命も残りわずか。生きている間に核兵器廃絶はできないのだろうか」と失望した。
日本政府が提案した「世界の政治指導者らの被爆地・広島長崎訪問」を弱めた、核兵器の被害者らとの交流を呼びかける文言も消え去った。「採択されず悲しいが、我々が粘り強く証言して訴えていきたい」と語った。
寝屋川市原爆被爆者の会(大阪府寝屋川市)の山川美英会長も「けしからんとしか言いようがない」と話した。4月末から4日間、寝屋川の会からも被爆者4人がニューヨークに行き、議論を見守ったという。
22日に同市内で開いた報告集会では、再検討会議で被爆地訪問や核兵器禁止条約などの文言が消えていく中、「それでもなんとか合意するのでは」と参加者らは望みを捨てていなかったという。山川さんは「これまでの議論を10年分は後退させるような結末。核保有国の横暴にどう向き合えばいいのか」と話した。
会議で「核兵器は絶対悪」と演説し、速やかに核兵器禁止条約の交渉を始めるよう求めた広島市の松井一実(かずみ)市長は「極めて残念だ」とコメントを出した。
一方、オーストリアが提出した核兵器禁止条約の制定をめざす宣言に100を超える国が賛同したとして、「核兵器禁止に向けた法的枠組みの必要性の認識が広がったことを評価したい」と述べた。今後も「市として被爆の実相を『守り、広め、伝える』取り組みを強化する」とし、国際世論に働きかけるという。
渡米して会議にも参加したNGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」国際運営委員の川崎哲さんは「NPTの信頼性が大きく傷つけられた。4週間圧倒的多数の国が核兵器廃絶に向けて取り組んだプロセスを一握りの核保有国がつぶした」と批判する。会議中盤から被爆地訪問を求める文言を最終文書案に盛り込むことに力を注いだ日本政府について、「被爆地訪問は大切なことだが、核兵器の法的禁止や非人道性が会議の本質だった。国際合意を得るための役割は日本政府は果たせていない」と指摘した。
「核兵器禁止」日本は賛同せず 被爆国なのにどうして?【NPT再検討会議】
生物兵器、化学兵器、地雷、クラスター爆弾、これら非人道兵器は、国際的に使用が禁止されている条約がある。しかし、核兵器を禁止する条約は、未だ存在しない――4月下旬からニューヨークの国連本部で開催された核拡散防止条約(NPT)再検討会議では、核兵器の非人道性が中心議題の一つとなり、107の国々がオーストリアの提唱した核兵器禁止文書に賛同した。しかし、アメリカの「核の傘」の下にある日本は、アメリカに配慮して賛同せず、被爆国として核の恐ろしさを訴えながらも核を否定できないという「二面性」を見せた。
この文書は核兵器の廃絶・禁止に向けた法整備の必要性にも触れている。2月18日朝刊の中国新聞によると、外務省の関係者はこれまで、文書に賛同しない理由について「核の非人道性の議論が、核軍縮のプロセスを分断するものになってはならない」と説明したという。
外務省幹部の言う“核軍縮のプロセス”とは、「段階的なアプローチが唯一の現実的な選択肢」とするアメリカやイギリスなど核保有5大国のやり方を指す。これに対して、急速に核軍縮を目指す国も存在する。その一つがエジプトを中心とするアラブ諸国だ。
エジプトは1974年に「中東非核地帯構想」を提唱して以来国是としており、2010年には、「(中東の)いかなる国も、大量破壊兵器を保有することで安全が保障されることはない。安全保障は、公正で包括的な平和合意によってのみ確保される」と、自国の立場を明らかにした。
中東非核地帯構想にアラブ諸国は賛同するが、NPTに参加せず、核兵器を事実上保有するイスラエルは、「まず、イランなどに対して適用したあとで、イスラエルに適用すべき」というような趣旨の、アラブ諸国とは異なる立場を取る。
核の存在によって、中東地域でイスラエルが覇権を握ることを警戒するエジプトなどアラブ諸国は、2010年に開かれたNPT再検討会議で、中東の非核化を協議する国際会議を2012年に開催することを勧告する内容を条約に盛り込むことを条件に、NPTの無期限延長を受け入れた。しかし、会議が開かれれば、イスラエルの核保有が問題視されるため、結局国際会議が開かれていない。
今回のNPT再検討会議でも、エジプトらは2016年に中東非核化国際会議を開催することをNPTに盛り込もうと提案。しかし、アメリカがイスラエルを擁護して反発し、国際会議を開催する時期について検討期間がないことや、中東各国が平等の立場で、開催合意に至るプロセスが明確化されていない点などをあげ、国際会議の開催を強引に進めるとしてエジプトを名指しで非難。会議は決裂した。
約4週間にわたって行われた再検討会議の実りのない結末に、広島1区選出の岸田文雄外務相は「大変残念」と発言。しかし、核兵器を保有する中国や北朝鮮が身近にあることもあり、外務省は核の傘について、「社会においては、依然として核戦力を含む大規模な軍事力が存在している中で、日本の安全に万全を期すためには、核を含む米国の抑止力の提供が引き続き重要」としており、アメリカの核抑止力が必要だと説明している。
今回の日本政府の対応について国際NGOネットワークの核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)は、「核兵器の恐怖を経験しているにもかかわらず、日本は核軍縮に向けた現実的なビジョンを説明することに失敗した」と指摘した。
<社説>核禁止日本不賛同 二枚舌やめ、廃絶実現を
2015年3月14日 琉球新聞
オーストリアが核兵器禁止を呼び掛け、国連全加盟国に配布した文書について、日本政府が賛同を見送る方針を固めた。米国が「核の傘」への影響を理由に同盟国などに不賛同を働き掛けた動きに応じたようだ。世界唯一の被爆国の日本が核兵器禁止の呼び掛けに賛同しない姿勢は許し難い。
オーストリアは来月ニューヨークで開幕する核拡散防止条約(NPT)再検討会議で文書を提出し、核禁止の議論を本格化させる狙いがある。文書では「いかなる状況でも核兵器が二度と使用されないことが人類の利益」などと記されている。まさに正論ではないか。賛同しない理由は見当たらない。
日本政府は核の傘に頼る安全保障政策との整合性から日米同盟を重視し、文書に「ノー」で応じることにした。70年前の8月6日と9日、広島と長崎に原爆を投下したのは米国だ。それによって21万人余の国民の命が奪われた。日米同盟を優先して核兵器を「必要悪」と是認する政府は犠牲者にどう顔向けできるというのか。
安倍晋三首相は昨年8月の広島、長崎での原爆犠牲者を慰霊する式典で「人類史上唯一の戦争被爆国として核兵器の惨禍を体験したわが国には、確実に『核兵器のない世界』を実現していく責務がある」と誓った。不賛同を示した今回の政府の姿勢は、明らかに安倍首相の決意と相いれないものだ。二枚舌と批判されても仕方ない。
現在、世界には約1万6400発の核弾頭が残り、うち9割超は米国とロシアの2国が保有している。一方、非保有国が中心となって昨年開かれた「核兵器の非人道性に関する国際会議」には150カ国以上が参加した。核兵器禁止を求める声こそ世界の潮流だ。日本はこれらの国々と共に行動すべきだ。
核戦争防止国際医師会議(IPPNW)などがまとめた報告書は、インドとパキスタンの核戦争が起きれば、世界の20億人超が飢餓に陥る地球規模の気候変動と食料危機が発生すると警鐘を鳴らした。
核兵器は地球規模の脅威であり続けている。唯一の被爆国日本は戦後70年を機に「核の傘」という核兵器に頼りながら核兵器廃絶を叫ぶ二枚舌政策をやめるべきだ。「核兵器なき世界」を掲げるオバマ米大統領を説得してでも、真の核兵器廃絶の道を歩む必要がある。
核兵器禁止条約求める声強まる
国連総会決議や国際会議
第69回国連総会は今月初め、非同盟諸国などが提案した核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議を圧倒的な賛成多数で採択しました。9月26日には、初めての「核兵器全面廃絶国際デー」の記念式典が国連本部で開催。「核兵器の人道的影響に関する国際会議」は昨年のノルウェーに続き、メキシコとオーストリアで開かれ、核兵器禁止条約の国際交渉の速やかな開始を求める声が世界の主流であることを改めて示しました。
日本は棄権
国連総会は12月2日、軍縮・国際安全保障問題を扱う第1委員会に付託された63本の決議を採択しました。このうち32本は無投票で採択され、残りが採決に付されました。核軍縮関連は21本で、そのうち主な決議の採決状況は別表の通りです。
非同盟諸国を中心に提出された「国際司法裁判所の勧告的意見の後追い」「核兵器使用禁止条約」「2013年国連総会核軍縮ハイレベル会合の後追い」の決議はいずれも、核兵器禁止条約の国際交渉開始を求めています。
これらの決議に、核保有国の米英仏ロはそろって反対ないし棄権しました。
一方日本は、核兵器禁止条約の交渉開始を求める内容の決議に、昨年に続いて棄権。今年も提出した「核兵器の全面廃絶に向けた共同行動」決議は賛成多数で採択されましたが、同決議は核兵器禁止条約の交渉開始を求めていません。
昨年の国連総会で非同盟諸国が提案して採択された決議に盛り込まれた「核兵器全面廃絶国際デー」の記念行事が今年初めて各地で行われました。
国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は同デーについてのメッセージ(9月25日)で核兵器を包括的に禁止する国際条約の交渉を始めるよう世界各国に呼び掛けました。
国連本部での式典では、非同盟諸国を代表して発言したイランのザリフ外相が「核兵器の使用は国連憲章違反であり、人類に対する犯罪だ」と指摘。「包括的な核兵器禁止条約の交渉の即時開始」を訴えました。
「核兵器の人道上の影響に関する国際会議」は2月にメキシコ、12月にオーストリアで開かれました。いずれの会議も議長総括で、核兵器禁止の実現が重要であることを強調しています。
これが何を意味するか。
簡単です。印パはNPTが提案された当時から、五大国だけを核兵器国と認める不平等条約であると非難しているのです。だから参加していない。
インドはこれに加えて原子力供給国グループの例外的一員であることにも注意すべきです。
イランだってイスラエルに対抗してるんですが、国連では熱烈な核兵器廃絶演説をしています。
そこら辺のこじれたのをうまく解きほぐすと核兵器廃絶は可能だと思います。
○面白いのは、核保有大国である中国が核兵器禁止条約に賛成だという事でしょうか。
○フランスが核兵器を保有している理由に、それが安上がりだからというのがあったと思いますが、中国なら核兵器が禁止されたとしても、そのウンカの如き大軍で他国を圧倒できると考えているのでしょうね。
○嘗て、生物・化学兵器は貧者の核兵器と言われていましたが、今日、北朝鮮でも核開発が可能である事が証明されて、アメリカとしては核兵器禁止にメリットがあるようにも見えるけれど、もしそうなれば数で圧倒している中国に対抗できなくなる訳ですね。
○オバマが核廃絶を唱えても、戦略家などは賛成できないのは分かるような気がします。