Everyone says I love you !

弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

大阪万博チケットの購入で個人情報が流出の危険。氏名・住所・生年月日・位置情報・生体情報・医療情報・SNSのパスワード等々まで「外国政府、協賛企業や出展者等に個人情報が提供される場合があります」とも明記

2025年03月03日 | 野党でもゆ党でもなく第2自民党の悪党維新

上下ともクリックしてくださると大変うれしいです。

 

 

 

 大阪関西万博の2025年2月26日時点での累計販売枚数は7,960,098枚となっています。

 この販売数は万博協会が設定した前売り券の販売目標1400万枚の半数余りにとどまっています。

 てか、あと1か月余りで開幕なのに毎日数千枚しか増えていません。

 あの~~来場者予定数はチケット前売り予定数のさらに2倍の2800万人なんですが~(笑)

 私が

大阪万博開幕まで100日を切ったのにチケット前売り目標の6割も売れない中、日本維新の会代表の吉村洋文大阪府知事が『今年、万博イヤー。ド派手に行くぜ!』と能天気な投稿。ド派手に失敗した時どうすんの?

という記事を書いた時点で、

「大阪万博の運営費はチケット販売で基本的にまかなわれるのですが、前売り目標は1400万枚なのに昨年12月25日現在で740万枚しか売れておらず、まだ4割以上が売れ残っています。」

という状態だったのですが、今もまだ4割以上が売れ残っています。

 昨年12月25日から今年の2月26日というと64日間あるんですが、それで45万枚しか売れていないんですから、もう失敗確実です。

 

 ところが、チケットが売り切れていなくて本当によかった!と思う記事を読みました。

 あとでご紹介する弁護士ドットコムの

大阪万博チケット購入で「個人情報が流出する?」不安の声 弁護士は「さまざまな法的問題がある」と批判

という記事を読んだんですが、それを取得しないと来場日時を変更できなかったり、パビリオンやイベントなどの事前予約は不可となっている「万博ID」があるんですが、それが公式サイトに掲載されている「個人情報保護方針」に同意をしなければ、取得することができないんですよ、

 しかも恐ろしいことに、万博IDを取得するときに同意する「個人情報保護方針」には、氏名や生年月日、電話番号だけでなく、「位置情報」「生体情報」「所属先」「医療に関する情報」「SNSのアカウントやパスワード」などが含まれています。

 そしてなんと、「個人情報保護方針」に同意した場合には、「外国政府、協賛企業や出展者等に個人情報が提供される場合があります」とも明記されていて、だから

「自分の個人情報が海外に流出するのではないか」

と不安が広がっているんだそうです。

 この時点でもうこの大阪万博、終わってますね。

大阪万博の建設費だけで1250億円から2350億円になった上に、運営費が800億円から1000億円以上に。ところが大阪維新の会代表の吉村洋文大阪府知事が「もし赤字になっても大阪府市は負担しない」。

 

 

 しかも、氏名や生年月日や医療情報や位置情報や背板情報屋SNSのパスワードなど、取得した個人情報を万博協会が利用していい「利用目的」が膨大なんです。

 そして、万博協会はそれぞれの利用目的でどの情報項目を用いるのかを明らかにしていません。

 Ⅹでは

「個人情報保護方針がヤバ過ぎる」

「何が目的なん?怖すぎる」

「個人情報を吸い上げるための万博だ」

などの投稿が相ついでいます。

1.(2) 取得した個人情報の利用目的
当協会は、取得した個人情報を次の目的で利用します。 ・ユーザーの認証・本人確認を行うため
・ユーザーに対してチケット・商品販売・イベントの実施等の本サービスの提供を行うため
・ボランティアへの応募選考・登録のため
・ユーザーに対して本サービスのフィードバックを依頼するため
・ユーザーに対して本サービスや本サービスと関連するサービス及び当協会又は当協会の関連団体に関するプロモーション・マーケティングや広告・告知を行うため(取得した閲覧履歴や購買履歴等の情報を分析して最適化した広告を配信する場合を含みます。)
・ユーザーによる本サービスの利用状況を調査・分析し、本サービス等の維持、保護及び改善を行うため
・予約情報を登録し、イベントを安全かつ円滑に管理運営するため
・本サービスに関するお問合せ等への対応のため
・本サービスに関する当協会の規約等に違反する行為に対する対応のため
・本サービスに関する規約等の変更などを通知するため
・本サービスのシステム等の障害・不具合・事故等の発生防止や発生時の対応のため
・「2.個人情報の第三者への提供」に定める第三者提供を行うため
・本方針への同意に基づき、当協会の連携先が取得している個人情報又は個人関連情報の提供を受け、当協会が既に有しているユーザーの個人情報と結びつけて「1.(2)取得した個人情報の利用目的」記載の目的で利用するため。取得する個人関連情報又は個人情報には、以下の項目が含まれる場合があります。 端末の種類、OS、端末識別子、IPアドレス、ブラウザ種別その他のブラウザ情報、リファラー情報、Cookie ID、Cookie及びCookie類似技術を利用して取得する閲覧履歴・購入履歴等に関する情報、IDFAやGoogle Play広告ID等の広告識別子等

大阪万博には1兆円以上かかる。会場建設費2350億円、日本館建設など837億円、阪神高速整備費3000億円、交通インフラ整備費1000億円、土壌汚染・液状化対策費1554億円、そして地盤沈下対策費。

 

 

  大阪府教委によると、無料招待したおおさか府内の小中高校と支援学校の児童生徒計約88万人(計1841校)のうち、学校単位の来場希望は約58万人(1388校、1月時点)だったとする調査結果を発表しましたが、2024年7月時点では約68万人(1526校)が来場を希望しており、約半年で約10万人減った、ということです。

 参加が低調なのは、大阪だけではなく、兵庫県や京都府など大阪近郊の自治体も学校単位の無料招待事業をしているのですが、滋賀県では招待した小中高生15万8千人(407校)のうち、参加予定は1万5千人(57校)にとどまっていて、2023年11月の調査では220校が活用を予定または活用を検討するとしていたのに、そこから7割以上も減った計算で、担当者は「ここまで少なくなったのは驚きだ」と言っているそうです。

 この無料招待でも学校現場で不人気なのは、万博会場ではメタンガス爆発もありうるし、熱中症対策もおざなりだし、ということなんですが、そもそもこの大阪万博、国内や外国の企業が来場者の個人情報を集めるためのイベントでしょう。

 あらゆる意味で絶対行ってはダメ、大阪万博。

ど派手に爆発するんとちゃうやろな(-_-;)。

大阪万博でメタンガス爆発の危険。南海トラフ地震が起きたら脱出経路はたった2つ。でも吉村府知事は100万人の子どもを招待。大阪府の教職員組合「安全だと誰も言わない万博に子供を連れていくことはできない」

大阪万博メタンガス爆発事故、参加国から「聞いていない」の声相次ぐ。万博協会が、作業を行えない濃度のメタンガスの値を少なくとも76回検知、パビリオンが立ち並ぶエリアでも検知したことを自白。

 

 

参考記事 村野瀬玲奈の秘書課広報室さんより

帚木蓬生・著「ギャンブル脳」(新潮社)を読めば大阪維新カジノの失敗と有害性はやる前から明らか。早く維新を退場させ、維新に食い尽くされた大阪を立て直さないと。

維新支持者・維新議員は大阪関西万博にできるだけ多くカネを払って赤字の縮小に貢献すべきだと思うし、万博後に維新がやろうとしているカジノでも多額のカネを賭けて遊ぶべきだと思う。 #維新は最悪の選択肢

 

 

編集後記

維新の会押しの菅義偉前総理が大阪・関西万博についてUSJの4倍、半年で「2800万人が訪れるメガイベント」w。さらに自らが総理のときに「コロナ禍で観光資源の磨き上げに取り組んだ」とGOTOを自賛ww

 

このあとの記事をぜひ読んでほしいのですが、大阪万博IDの個人情報取扱って、日本の個人情報保護法にもこれでもかというくらい違反していますし、EUや英国、中国など海外の個人情報保護に関するルールにもめちゃくちゃ違反しているんですよ。

頭の先からつま先まですべて問題だらけ。

それが安倍・菅・橋下・松井が始めた大阪万博なのです。

上下ともクリックしてくださると大変うれしいです。

大阪万博チケット購入で「個人情報が流出する?」不安の声 弁護士は「さまざまな法的問題がある」と批判

 

4月13日に開幕が迫る大阪・関西万博だが、チケットを購入するために必要な「万博ID」に批判が高まっている。

主催者の博覧会協会では2月25日、「万博ID」を取得しなくても購入できる「簡単来場予約チケット」(仮称)を開幕日から導入すると発表した。しかし、来場日時を変更できなかったり、パビリオンやイベントなどの事前予約は不可となっているため、遠方からの来場者や本格的に万博を楽しもうという来場者にとって、やはり「万博ID」の取得は必要となる。

「万博ID」が批判されている理由の一つが、公式サイトに掲載されている「個人情報保護方針」に同意をしなければ、取得することができないシステムである(2025年3月3日現在)。

しかし、その「個人情報保護方針」には、氏名や生年月日、電話番号だけでなく、「位置情報」「生体情報」「所属先」「医療に関する情報」「SNSのアカウントやパスワード」などが含まれている。

また、「個人情報保護方針」に同意した場合、「外国政府、協賛企業や出展者等に個人情報が提供される場合があります」とも明記されていることから、「自分の個人情報が海外に流出するのではないか」と不安も広がっている。

「万博ID」は日本人だけでなく、海外から訪れる外国人も取得が必要となる。その際、こうした「個人情報保護方針」に問題はないのだろうか。個人情報保護法にくわしい板倉陽一郎弁護士に聞いた。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)

【この記事に書いてあること】

・「万博ID」を取得する際、「個人情報保護方針」に同意させられる。幅広い個人情報の取得自体に問題はないが、「医療に関する情報」の取得には注意が必要となる。

・「個人情報保護方針」に同意しなければ「万博ID」の取得ができず、チケットも買えないようになっているが、この同意についてもさまざまな法的な問題が含まれている。

・EUや英国、中国など海外の個人情報保護に関するルールに違反している。

●万博の「個人情報保護方針」は違法なのか?

——まず、日本の個人情報保護法では、このような幅広い情報を取得する「個人情報保護方針」を許しているのでしょうか。

個人情報保護方針というのは法令用語ではなく、一般的には、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法または法)において、「公表」(法21条1項等)や「明示」(法21条2項等)、「容易に知り得る状態に置く」(法27条2項)ことが求められている事項をまとめた文書をいうことが多いです。

「個人情報の保護に関する基本方針」(平成16年4月2日閣議決定、令和4年4月1日一部変更)では、「個人情報取扱事業者等は・・・民間部門ガイドライン及び認定個人情報保護団体の個人情報保護指針等に則し、例えば、プライバシーを含む個人の権利利益を一層保護する観点から、個人情報保護を推進する上での考え方や方針(いわゆる、プライバシーポリシー、プライバシーステートメント等)を対外的に明確化するなど、個人情報の保護及び適正かつ効果的な活用について自主的に取り組むことが期待されているところであり、体制の整備等に積極的に取り組んでいくことが求められている」などとされています。

この「基本方針」は閣議決定に過ぎませんので、民間事業者である個人情報取扱事業者への拘束力はありませんが、プライバシーポリシーや個人情報保護方針という名称で、上記の法定公表事項等を含む、個人情報の取扱いについての文書が公表されることは一般的です。今回の公益社団法人2025年日本国際博覧会協会も、個人情報保護方針という形で、法定公表事項等を示しています(万博PP)。

ご指摘のとおり、万博PPは、極めて広い範囲の情報を取得するとしています。該当箇所は以下のとおりです。

1.(1)当協会が取得する個人情報
当協会が収集する個人情報には、以下のものが含まれます。 ・ユーザーの基本情報(氏名、ニックネーム、性別、生年月日、住所(郵便番号、都道府県名、市町村)、電話番号、メールアドレス、パスポート番号、国籍又は居住国に関する情報等)
・支払い及び決済に関する情報(クレジットカード番号等)
・位置情報
・生体情報(顔画像、音声、指紋等)
・所属先に関する情報(企業名、団体名、部署名、役職等)
・医療に関する情報(障がい者認定の有無等)
・SNSに関する情報(LINE、X、Facebook、Instagram又はGoogle等のアカウントやプロフィール、パスワードに関する情報等)
・入力情報(言語設定、メール配信設定、既婚・未婚の別、子どもの有無、趣味嗜好その他当協会の入力フォーム等の当協会が定める方法を通じてユーザーが入力又は送信する情報等(上記に含まれる情報を除く。))
・ユーザーの端末等から取得する情報(端末の種類、OS、端末識別子、IPアドレス、ブラウザ種別その他のブラウザ情報、リファラー情報、Cookie ID、Cookie及びCookie類似技術を利用して取得する閲覧履歴・購入履歴等に関する情報、IDFAやGoogle Play広告ID等の広告識別子等)

まず、単に、取得する情報の項目が多いというだけで、問題になるわけではありません。

一方で、万博PPで取得されるとされている情報には「医療に関する情報(障がい者認定の有無等)」があり、これは明らかに要配慮個人情報(法2条3項)に該当する情報が含まれています(法2条3項「病歴」個人情報の保護に関する法律施行令2条1号~3号、個人情報の保護に関する法律施行規則5条)。

要配慮個人情報は、通常の個人情報と異なり、取得に本人の同意が必要(法20条2項)ですので、この同意が適法に得られていなければ、要配慮個人情報に該当する項目については取得が違法であるということになります。この点はあとに述べましょう。

——万博PPが掲げている利用目的に問題はないのでしょうか。

万博PPは、取得する情報の範囲が極めて広いだけではなく、極めて多数の利用目的を掲げています。該当箇所は以下のとおりです。

1.(2) 取得した個人情報の利用目的
当協会は、取得した個人情報を次の目的で利用します。 ・ユーザーの認証・本人確認を行うため
・ユーザーに対してチケット・商品販売・イベントの実施等の本サービスの提供を行うため
・ボランティアへの応募選考・登録のため
・ユーザーに対して本サービスのフィードバックを依頼するため
・ユーザーに対して本サービスや本サービスと関連するサービス及び当協会又は当協会の関連団体に関するプロモーション・マーケティングや広告・告知を行うため(取得した閲覧履歴や購買履歴等の情報を分析して最適化した広告を配信する場合を含みます。)
・ユーザーによる本サービスの利用状況を調査・分析し、本サービス等の維持、保護及び改善を行うため
・予約情報を登録し、イベントを安全かつ円滑に管理運営するため
・本サービスに関するお問合せ等への対応のため
・本サービスに関する当協会の規約等に違反する行為に対する対応のため
・本サービスに関する規約等の変更などを通知するため
・本サービスのシステム等の障害・不具合・事故等の発生防止や発生時の対応のため
・「2.個人情報の第三者への提供」に定める第三者提供を行うため
・本方針への同意に基づき、当協会の連携先が取得している個人情報又は個人関連情報の提供を受け、当協会が既に有しているユーザーの個人情報と結びつけて「1.(2)取得した個人情報の利用目的」記載の目的で利用するため。取得する個人関連情報又は個人情報には、以下の項目が含まれる場合があります。 端末の種類、OS、端末識別子、IPアドレス、ブラウザ種別その他のブラウザ情報、リファラー情報、Cookie ID、Cookie及びCookie類似技術を利用して取得する閲覧履歴・購入履歴等に関する情報、IDFAやGoogle Play広告ID等の広告識別子等

万博PPは、それぞれの利用目的で、どの情報項目を用いるのかを明らかにしていません。

とはいえ、たとえば、「ユーザーに対して本サービスのフィードバックを依頼するため」に「医療に関する情報」(障がい者認定の有無など)が必要とは到底思えませんので(メールアドレスがあれば十分でしょうし、アプリのユーザーであればそれも不要でしょう)、すべての利用目的で、すべての情報項目を用いるわけではないのでしょう。

個人情報保護法は、利用目的と、個人情報の項目を対比させて示すことを求めているわけではありません。

そもそも、取得する個人情報の項目を示すことは法律上の義務ではないのです(オプトアウト(法27条2項)や共同利用(法27条5項3号)の場合などには「個人データの項目」が通知または容易に知り得る状態にすべき内容に含まれていますが、例外的です)。

もちろん、わざわざ取得する個人情報の項目を示すのであれば、利用目的別に記載するのが親切ですし、すべての利用目的にすべての項目を用いるのかという誤解も招くでしょうから、センスのない書き方だとは思いますが、万博PPの記載「それ自体が」違法とまではいえません。

●「同意しなければチケット購入できない」のは違法?

——要配慮情報を取得するにもかかわらず同意しなければチケットの購入ができないシステムになっています。これは、日本の個人情報保護法では適法なのでしょうか。

いくつかの問題があります。

(1)そもそも適法な同意が取得できていないこと

まず、万博PPが果たそうとしているであろう「本人に通知」や「本人の同意」について、法令上は定義がありませんが、個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)(平成28年個人情報保護委員会告示第6号、以下、「GL通則編」)では、「事業の性質及び個人情報の取扱状況に応じ、内容が本人に認識される合理的かつ適切な方法によらなければならない」(「本人に通知」、GL通則編2-14)、「事業の性質及び個人情報の取扱状況に応じ、本人が同意に係る判断を行うために必要と考えられる合理的かつ適切な方法によらなければならない」(「本人の同意」、GL通則編2-16)とされています。

万博PPは、万博のウェブサイトの下部、わかりやすいところからリンクが貼られており、チケットを買う際にほとんどの人が見ることができると思われますので、「本人に通知」する方法としては、特段問題はないでしょう。

一方で、要配慮個人情報の取得(法20条2項)と、個人データの第三者提供(法27条1項)には、基本的に同意が必要であり、万博PPは、これを本人の同意に基づいておこなおうとしていると読めます。

そうすると、「本人が同意に係る判断を行うために必要と考えられる合理的かつ適切な方法」を取らなければなりませんが、そもそも、要配慮個人情報である「医療に関する情報」を広範な利用目的すべてで用いたり、広範な個人情報の項目を以下のような極めて広い範囲で提供したりすることになっています。

「2.(2) 当協会は、前項にかかわらず、本方針へのユーザーの同意に基づき、次に掲げる第三者にユーザーの個人情報を提供する場合があります。
(1)政府(博覧会に関係する規制当局、外国政府や地方自治体を含みます。)、博覧会国際事務局(BIE)、博覧会への協賛企業、パビリオン出展者等の博覧会の関係者 (2)SNS事業者、広告関係会社、広告配信事業者、データ分析事業者、DMP事業者、媒体社その他当協会が業務を提携する事業者」

この第三者提供の範囲はまったく特定されておらず、「パビリオン出展者等の博覧会の関係者」や「当協会が業務を提携する事業者」として、協会がほぼ自由に決められるようになっており、このような範囲での提供についてし「本人が同意に係る判断を行うために必要と考えられる合理的かつ適切な方法」はまったくとられていません。

本人の同意は、その同意にどのようなリスクがあるのかを本人が理解できないのであれば無効であり、協会はまったく説明していません。したがって、そもそも、万博PPの記載では、要配慮個人情報の取得(法20条2項)も、個人データの第三者提供(法27条1項)も、有効な同意は取得できていません。

(2)外国にある第三者への提供の問題

加えて、万博PPが、同意に基づいて、個人データを提供しようとしている先には、「外国政府」や「博覧会国際事務局(BIE)」(条約に基づいて設置され、パリに所在する機関)、「博覧会への協賛企業」、「パビリオン出展者等の博覧会の関係者」が含まれており、外国にある第三者(28条1項)が明らかに含まれます。

そうすると、協会は「個人情報保護委員会規則で定めるところにより、あらかじめ、当該外国における個人情報の保護に関する制度、当該第三者が講ずる個人情報の保護のための措置その他当該本人に参考となるべき情報を当該本人に提供しなければならない」(28条2項)のですが、施行規則17条2項所定の「当該外国の名称」(1号)「適切かつ合理的な方法により得られた当該外国における個人情報の保護に関する制度に関する情報」(2号)「当該第三者が講ずる個人情報の保護のための措置に関する情報」(3号)はいずれも記載されておらず、提供先の外国にある第三者の外国が特定できない場合の、施行規則17条3項所定の、外国の名称が特定できない旨及びその理由(1号)及び外国の名称に代わる本人に参考となるべき情報がある場合には、当該情報(2号)についても記載がありませんから、外国にある第三者への提供のための情報が本人に提供されておらず、法28条1項にも違反し、同意は取得できていません。

(3)不適正利用ないし、優越的地位の濫用

このように、万博PPに形式的に同意したとしても、そもそも法20条2項・27条1項の同意も、28条1項の同意も得られていませんから、「要配慮情報を取得するにもかかわらず同意しなければチケットの購入ができない」という以前の問題です。

仮に同意があったとしても、万博に参加するためには、万博PPに同意するしかないとすれば、かつて、リクナビ事件で問題となったように、極めて広い範囲の個人データを、外国にある第三者を含めてほぼ不特定多数といってよい範囲に提供する同意を取得しようとすることは、不適正利用(法19条)にあたる典型例とすら言えると思います。

万博は単なる遊園地ではなく、特別措置法(「令和七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律」(平成31年法律第18号)まで制定している、「国家的に特に重要な意義を有する」博覧会です。

本人の選択を抑圧し、極めて広い範囲の個人データを、外国にある第三者を含めてほぼ不特定多数といってよい範囲に提供する同意を取得しようとすることは許されないでしょう。

同様の問題意識は、公正取引委員会「デジタル・プラットフォーム事業者と個人情報等を提供する消費者との取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」(令和元年12月17日)にもみられます。

協会がデジタル・プラットフォーム事業者であるわけではないですが、選択の余地なく情報を収集提供するとすれば、独禁法上の問題も検討の余地があるでしょう。

「国家的に特に重要な意義を有する」博覧会における個人情報保護方針及びそれに基づく取扱いなのですから、他の事業者の模範となるようなものを期待したいところですが、いまの万博PPに基づいて同意を取得しようとすることは明らかに違法であって、とても世界に示せるようなものではないといえます。

●海外の個人情報保護に関するルールに抵触する可能性

——英語版のページでもやはり、プライバシーポリシーへの同意をしなければ万博IDの取得はできません。 また、プライバシーポリシーへの同意を求めているにもかかわらず、プライバシーポリシー2条で定める「取り扱いの法的根拠」として同意の他に契約履行と正当な利益も指定しています。 こうした仕組みは、EUのGDPRや英国のGDPR違反となる可能性はあるでしょうか。

GDPR上、処理の法的根拠は、処理の目的ごとに、事前に、一つ選んでおかなければならないものです。GDPR上の同意に関するEDPBのガイドラインである”Guidelines 05/2020 on consent under Regulation 2016/679 Version 1.1”は、取扱いの法的根拠としてどれを選ぶかは「処理活動に先立ち、特定の目的との関連で確立されなければならない」「管理者は同意から他の適法な根拠に切り替えることはできない。たとえば、同意の有効性に関して問題が生じている場合に、処理を正当化するために遡及的に正当な利益の根拠を利用することは認められない」としています。

要するに、GDPR6条の法的根拠は、「これかこれかこれ」という形で適当に並べてよいものではないのです。現状の記載は、GDPRおよび英国GDPR13条に違反していると思われます。

——違反した場合に、EUや英国から課徴金や処罰を受ける可能性はあるでしょうか。

EUや英国ですら、処理の法的根拠を適切に書けていないプライバシーポリシーはいくらでもありますから、わざわざEUや英国のデータ保護機関が指摘したり、制裁金を課そうなどというのはおよそ考えられないと思います。

ただし、前述のとおり、「国家的に特に重要な意義を有する」博覧会における個人情報保護方針なのですから、恥ずかしくないように、きちんと定めてほしいところです。

——中文版のページでもやはりプライバシーポリシーに同意しなければ万博IDの取得はできません。 また、プライバシーポリシーへの同意を求めているにもかかわらず、プライバシーポリシー2条で定める「取り扱いの法的根拠」として同意の他に契約履行と正当な利益も指定しています。 中国の個人情報保護法では「正当な利益」は法的根拠になりません。 こうした仕組みは、違反になる可能性はあるでしょうか。

中国個人情報保護法の解釈はGDPRほど明確ではないので、複数の法的根拠の列挙について同様になるのかはわかりませんが、少なくとも、存在しない法的根拠を記載して、これに基づいて処理したとすれば、当然に違法なのではないでしょうか。

——違反した場合、中国から課徴金や処罰を受ける可能性はあるでしょうか。

中国の個人情報保護法も、GDPR同様、域外適用の条文を有していますが、実際には域外適用により処分されたという例は聞かないので、現実的なリスクは低いと思いますが、とにかく恥ずかしいので、早めの修正を期待したいところです。

 

 

 万博チケット購入で「指紋・顔画像を第三者に提供も」個人情報規約が波紋…協会が修正を検討

 
 大阪・関西万博の電子チケット購入時、画面に表示される「顔画像や指紋などの生体情報を第三者に提供する場合がある」といった個人情報の取り扱いに関する規約が波紋を呼んでいる。SNS上では「個人情報が売り飛ばされるのか」などと問題視する投稿が相次ぎ、運営する日本国際博覧会協会(万博協会)は7日、規約の修正を検討していると明らかにした。

 問題の規約は、電子チケット購入やパビリオン予約に必要な「万博ID」を登録する際、申請者が同意を求められる個人情報保護に関する方針。協会側が取得する個人情報として、氏名や生年月日のほか、▽顔画像や音声、指紋といった生体情報▽LINEやX(旧ツイッター)のアカウントやパスワードに関する情報▽既婚・未婚、子どもの有無、趣味 嗜好しこう ――などが列挙され、国や協賛企業、外国政府に「提供する場合がある」としている。

 先月以降、X上では「個人情報保護方針がヤバ過ぎる」「何が目的なん?怖すぎる」「個人情報を吸い上げるための万博だ」などの投稿が相次ぎ、拡散された。

 国会でも今月5日、野党議員が「個人情報の取られ方が異常。これは何に使うのか」と指摘し、伊東万博相らが釈明に追われた。

 万博協会幹部によると、こうした記述は、会場で勤務する国内外のスタッフや関係者を含めたID登録を想定し、網羅的な記載になっているためだという。チケット購入で、スマートフォンによる顔認証や指紋認証を設定している場合は生体情報が必要だが、SNSのパスワードなどを求めることはないという。

 幹部は7日、記者団に「誤解を呼ばない明確な形にしていこうと考えている」と述べ、今後、修正する考えを示した。

 伊東万博相も同日、記者団に「不安の声が上がっていることは承知している。万博と関係ない目的で利用を許す趣旨ではない」と説明。万博協会にわかりやすく情報提供するよう指示したことを明らかにした。

 

 

してくださると大変うれしいです。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 申 惠丰(シン・ヘボン)先生... | トップ |   
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

野党でもゆ党でもなく第2自民党の悪党維新」カテゴリの最新記事