広島、長崎に投下された原爆で被爆した7人が原爆症と認めない国に対し、認定申請を却下した処分の取り消しと1人あたり300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、大阪地裁であった。西田隆裕裁判長は4人の却下処分を取り消した。賠償請求は認めなかった。

 7人は国が「救済範囲を広げる」として2013年12月に改めた認定基準で退けられた被爆者。この基準で認定されなかった被爆者をめぐり、司法が原爆症と認めたのは4例目になる。

 7人は関西在住で、塚本郁男さん(当時82)=昨年死去、妻が訴訟を継承=ら3人は広島市で被爆。川上博夫さん(81)▽柴田幸枝さん(74)▽原野宣弘さん(70)ら4人は長崎市で被爆した。7人は原爆の放射線の影響で甲状腺機能低下症、心筋梗塞(こうそく)などを患ったとして10年12月までに認定申請したが、却下された。13年12月に改定された新基準でも認められず、訴訟では「爆心地から4キロ以内の屋外を歩き回り、放射性物質を含むすすやほこりを大量に吸い込んだ」などと主張していた。

 国側は「原告の症状と原爆放射線との因果関係は科学的に認められず、喫煙などが原因になった可能性がある」として請求を棄却するよう求めていた。(阿部峻介)

 

 

 広島市で7日、研究者ら約200人が参加した「原子爆弾後障害(こうしょうがい)研究会」が開かれた。広島大と長崎大のグループは、国が原爆症と積極認定する「爆心地から3.5キロ以内」の外にいた女性の肺がん組織から放射線の痕跡を確認したと報告した。

 広島大の鎌田七男・名誉教授によると、広島への原爆投下当時、女性宅は爆心地から4.1キロにあり、女性は1998年以降に肺や胃、大腸にがんを患って数年前に亡くなった。投下後の約2週間、出産で自宅から出ずに地元の野菜などを食べていたといい、鎌田名誉教授は「食べ物や大気を通じて放射性物質が体内に取り込まれる内部被曝(ひばく)を証明した」と述べた。

 島根大医学部の野宗(のそう)義博教授は、旧ソ連時代に核実験が繰り返されたセミパラチンスク(現・カザフスタン)の周辺住民について発表。カザフスタンのセメイ医科大の調査で、「周辺住民のがんの罹患(りかん)率は他の地域の約2倍」「消化器系のがんや肺がん、乳がんが多いと分かった」とした。野宗教授は核実験による内部被曝の可能性があると指摘し、「今後も健康調査を続けたい」と語った。

 

 

2015.1.30 11:44 産経新聞

新たに原爆症4人認定 新基準で救済 大阪地裁

 原爆症の認定申請を却下された京都、兵庫両府県の被爆者ら7人が、国に却下処分の取り消しなどを求めた訴訟の判決が30日、大阪地裁であった。西田隆裕裁判長は4人の処分を取り消した。1人当たり300万円の国家賠償請求は棄却した。

 原告側弁護団によると、原告らは平成25年12月に認定要件が緩和された新基準でも原爆症と認められなかった。新基準で認定されなかった被爆者を救済する司法判断は4例目という。

 原告は、兵庫県加東市の川上博夫さん(81)ら70~81歳の男女6人と、提訴後に亡くなった同県姫路市の塚本郁男さん=当時(82)=の遺族。

 0~14歳の時に広島、長崎の爆心地から約1・7~4キロ地点で被爆。放射線の影響で甲状腺機能低下症や狭心症、ケロイドなどを患ったとして19~21年に認定申請したが、いずれも却下された。

 原爆症認定の集団訴訟で被爆者側の勝訴が続いたため、国は20年に認定要件を緩和した基準を導入。25年末に疾病の条件を一部緩める基準に見直した。

 訴訟は現在、全国6地裁、2高裁で約100人が係争中。

 

 

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