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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

中居正広性加害疑惑事件について、この期に及んでも港社長が閉鎖的な記者会見しかせず、まだ正式な第三者委員会も立ち上げないフジテレビ。旧ジャニーズと同じで経営陣の一掃と会社組織の抜本的改変が必要不可欠だ。

2025年01月19日 | ジェンダーフリーと性的マイノリティの人権

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 フジテレビの港浩一社長らが、中居正広の性加害疑惑事件についてフジテレビの女子社員が被害者ではないか、幹部が事件に関与していたのではないかという点について、2025年1月17日に緊急会見を開きました。

 そのお粗末な態様については後述するとして、1番驚いたのは港社長が会見で、この事件を2023年6月の発生直後に認識していたと説明したことです。

 それで今まで放置して中居も番組に出演させていたとは、この人権感覚の乏しさ、危機感の無さには唖然としました。

 1月18日からトヨタ、日本生命、アフラック生命、明治安田生命などが続々とフジテレビで放映しているCMを当面差し止めると発表しだしているのは当然です。

 港社長の記者会見の大失敗、いやそこでフジテレビの人権軽視の体質が露呈したことから、この流れはもう止められないでしょう。

2023年に事案認識」 フジテレビ港社長の冒頭発言要旨 - 日本経済新聞

 TBSのNスタは終始フジテレビが第三者委員会を設置と誤報。

 

 

 さらに弁護士として驚いたのは、フジテレビの持ち株会社は第2位の大株主である米投資ファンドと関連会社から、正式な第三者委員会の調査を求められてたのに、港社長が今後は新たに設置する「調査委員会」に調査を委ねるとしたものの、この調査委員会は

「現時点で日弁連のガイドラインに基づく第三者委員会ではない」

としたことです。

 外部の弁護士も交えてそれが中心となるが、その他の社内の人間も入れようとしてるようで、全く話になりません。

 港社長は

「なぜ第三者委員会ではないのか、立ち上げ時にお話しできると思います」

とも言ったのですが、合理的な理由があるわけがありません。

 これでは第三者委員会を設置したら都合の悪いことまで調べられるからできないと自白しているようなもの。

フジテレビ港浩一社長が会見、中居正広の女性トラブル巡る騒動「現在まで説明できていなかった」 第三者入れた調査委設置 - サンスポ

村野瀬代表のおっしゃる通り。

参考記事

 
 

 

 

 わたくし、記者会見前日の1月16日に

【#フジテレビに騙されるな】中居正広性加害疑惑関与について物言う大株主から突き上げられて、フジテレビが「外部の弁護士を入れて調査済み」と言い出したが、求められている第三者委員会とは似て非なるもの!

という記事を書いた時点で、さすがに港社長の記者会見では第三者委員会を新たに設置しますと言うと思っていたんですよ。

 私の人が良すぎるのかもしれませんが、港社長は記者会見では設置しないと言ったけれども、今でもこれは絶対撤回して、日弁連のガイドラインに従った第三者委員会にしますとすぐになると思ってます。

 だって、この絶体絶命のピンチにまだそんないい加減な調査と処理をしていたら、スポンサー企業がさらに撤退しまくることは必至。

 もしそうならなかったら、フジテレビだけではなく日本のマスコミ全体、いや日本の企業社会全体のコーポレートガバナンスやコンプライアンス意識の低さに対して絶望するしかありません。

 

 

 日本弁護士連合会では、これまで起きた様々な企業の違法行為や事件の経験を踏まえて、もう15年も前に

企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン

を策定して公表しています。
 
 企業で不祥事が起きた際に、その企業が信用を取り戻すためには何よりも事実を確実に明らかにしたうえで公表するのが大事なのは誰もがわかっているでしょう。
 
 その際に、一番大事なのは調査のあり方として、日弁連(日本弁護士連合会)のガイドラインを受けたうえでの第三者委員会です。
 
 そもそも、近代法の大原則に「Due process of law」(デュー・プロセス・オブ・ロー 適正手続)という考え方があって、適正な手続きを確保することが人権保障につながるとされています。
 
 これは英米法から国際法に広がった考え方で、日本国憲法でも憲法31条以下の刑事手続きに関する規定にその思想が表れているのですが、企業運営の適法性を確保するための不祥事が起きたときの第三者委員会の設置、これも今では企業統治における適正手続の常識です。
 
 
 
 
 
 日弁連のガイドラインが言う第三者委員会は完全に独立性が担保されるので、不祥事が起きた会社も調査内容についてこの調査に全面的に協力しなければなりません。
 
 今回の問題の焦点の一つは、フジテレビが有力なタレントや事務所などに社員を奉仕させるいわゆる「上納システム」があったのかです。
 
 ですから第三者委員会を立ち上げればそこに参集した弁護士たちは、中居正広事件そのものについてだけではなく、フジの体質全体についてフジテレビ内外で広範囲にアンケートをすることになります。
 
 また、港社長や幹部も含めたLINEやメールやサーバーに残ったデータについて、デジタルフォレンジックで明らかにしていき、フジテレビにとって都合のいいことも悪いこともすべて事実関係を明らかにしていくことになるのです。
 
 もちろん、第三者委員会が調査結果を公表する時にも、フジががこのように言ってほしいという意向とは全く関係なく、調査結果公表の方法も内容も全部委員会で決定して行なうことになります。
 
 
テレビ朝日もTBSも日本テレビも、フジテレビの言う「調査委員会」と本来の第三者委員会が全くの別物だということに気づかず?混同して?「誤報」
 
 
 
 
 よくあるように、この第三者委員会は根っからの弁護士だけではなく、元検察官や裁判官の経歴がある人を加えることが多いのです。
 
 もちろん今回は女性の権利に関する事件ですから、女性弁護士が入るべきは当然です。本来ならば委員長にすべきでしょう。
 
 フジテレビが再生しうるとしたら、せめて今の段階の調査からはもう常識になっている以上のような第三者委員会方式によるべきです。
 
 港社長が今言っている第三者委員会もどきの調査委員会と日弁連のガイドラインに従った第三者委員会では、社会的な信頼性が全く違います。
 
 大株主から突き上げられ、スポンサーが続々と離れようとしている今、自分勝手で独りよがりな調査委員会なるものでお茶を濁そうとしている港社長とフジテレビの取締役会の態度は本当に信じがたいです。
 
 会社を潰す気かとしかいいようがありません。
 
それはあなたの希望的感想でしょ。
 
 
 
 

 それにしても、港社長の記者会見は酷かった。

 記者会見は前日の1月16日に開催が決まったのです、原則として記者クラブ加盟社の記者のみが参加できる「定例記者会見」の前倒しとして設定されたという建前から、出席できるのは全国紙やスポーツ紙が加盟する「ラジオ・テレビ記者会」や、参加が認められたNHKと民放テレビ局などに限定されました。

 なので19社33人しか参加できていなくて、これは元ジャニーズの記者会見にもはるかに劣るもの。

 もちろん、今回の問題に火をつけていまだに報道中の週刊ポストや文春など雑誌記者は一切排除、当然のごとくフリー記者も出席できませんでした。

 そして、フジは記者会見が終わるまで記者会見の内容を報道すること自体を許しませんでした。

 報道機関の社長が専制国家も真っ青の報道制限をする。

 まさにテレビ局の自殺です。

 

 

 おまけに、テレビ会社の社長が緊急記者会見をするというのに冒頭以外の撮影禁止、その後テレビカメラなどによる動画撮影は一切禁止、中継も許されず各社のニュースは静止画だけがずっと映し出される、という状況だったそうですね。

 それでなくても経営的にも追い詰められつつあるテレビ局が自分で自分の首を絞める行為で、この1月17日は阪神淡路大震災の日であると同時に、そしてオールドメディアが死んだ日、として記憶されるかもしれません。

 先ほどデュー・プロセス・オブ・ローの原則のご紹介をしましたが、記者会見という手続きが適正に行われるかどうかでその者の人権保障に関する感覚はおのずと示されます。

 フジテレビが報道の自由を筆頭とする人権をいかに軽視してきたかが如実に表れた港社長の記者会見であり、遅かれ早かれこの会社の経営陣は刷新・一掃され、この会社は買収されるなど全社的な根本的出直しをしないといけなくなるでしょう。

 

 

参考記事
 
 
 
 
 
 
 
NHK
 

 

 

編集後記

この港社長の記者会見を受けて、フジッコ三羽烏の橋下徹弁護士が何とコメントするのかと思っていたのですが、テレビの前でいずれ説明すべきだと言うだけで、日弁連のガイドラインに従った第三者委員会を拒否していることには一切触れずじまいです。

まあ、彼は自分も弁護士なのに日弁連のガイドラインの存在も知らなくて、そもそも社長の言っている調査委員会と正式な第三者委員会が違うということにも気が付いていない様子。

フジテレビは社長からコメンテーターまで腐りきっています。

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2010年 7月15日
改訂 2010年12月17日
日本弁護士連合会

本ガイドラインについて

企業や官公庁、地方自治体、独立行政法人あるいは大学、病院等の法人組織(以下、「企業等」という)において、犯罪行為、法令違反、社会的非難を招くような不正・不適切な行為等(以下、「不祥事」という)が発生した場合、最近では、外部者を交えた委員会を設けて調査を依頼するケースが増えています。

日弁連では、そのような委員会のうち、企業等から独立した委員のみをもって構成され、徹底した調査を実施した上で、専門家としての知見と経験に基づいて原因を分析し、必要に応じて具体的な再発防止策等を提言するタイプの委員会(以下、「第三者委員会」という)を対象として、本ガイドラインを策定しました。

これは、第三者委員会が設置される場合、弁護士がその主要なメンバーとなるのが通例であることから、第三者委員会の活動がより一層社会の期待に応え得るものとなるように、当連合会が自主的なガイドラインとして定めたものです。

本ガイドラインは第三者委員会があまねく遵守すべき規範を定めたものではなく、現時点でのベスト・プラクティスを取りまとめたものですが、ここに1つのモデルが示されることで第三者委員会に対する社会の理解が一層深まることを願うものです。

また、今後第三者委員会の実務に携わる弁護士には、各種のステークホルダーの期待に応えつつ、さらなるベスト・プラクティスの構築に尽力されることを期待します。

(※本文はPDFファイルをご覧下さい)

 

 

トヨタや日本生命、フジCM差し止め 中居正広さん問題

ビジネス
2025年1月18日 19:42 日本経済新聞

日本生命保険やトヨタ自動車は18日、フジテレビで放映しているCMを当面差し止めると明らかにした。日生はタレントの中居正広さん(52)と女性とのトラブルを巡り、フジテレビ社員の関与が報道されていることなどを総合的に判断したと説明している。

明治安田生命保険やアフラック生命保険も同様の対応を取ると表明し、企業の間でフジテレビへのCM対応を見直す動きが広がってきた。

日生は19日から当面、「千鳥の鬼レンチャン」と「Mr.サンデー」のCMをACジャパンに差し替える。20日からは「めざましテレビ」でも変更する。明治安田も「当面の間、放映するCMを差し止める」としている。〔共同〕

 

 

フジテレビ CM撤退ラッシュ…18日は1割以上が「ACジャパン」に差し替え 根幹揺るがす一大事

[ 2025年1月19日 04:10 ] スポニチ

フジテレビの港浩一社長
Photo By スポニチ

 スポニチ本紙の調べでは、この日午後4時までに、番組CMなどを除いた全393枠のうち40本がACに変更。1割以上が差し替わった。中でも午前6時から放送された情報番組「めざましどようび」では、14本が替わった。特に番組内で午前6時44分から同局の会見について報じた後は全41枠のうち約3割に当たる12本が差し替わった。

 トヨタ自動車は18日、フジで放映しているCMを当面差し止めると明らかにした。中居のトラブルを巡り、フジテレビ社員の関与が報道されていることなどを総合的に判断したと説明している。NTT東日本や明治安田生命保険、アフラック生命保険も同様の対応を表明した。

 日本生命保険は19日の「千鳥の鬼レンチャン」と「Mr.サンデー」、20日以降の「めざましテレビ」のCMを差し止める。代理店関係者は「大手企業が撤退の動きを見せたことで他の企業も追随するようなことになれば、民放テレビ局にとって一大事」と話した。

 なぜ一気にスポンサー離れが起きたのか。代理店関係者は「前日にあったフジの港浩一社長の会見がまずかった」と指摘。会見ではメディアを限った上に、トラブルに関わる質問には「回答を控える」と応じなかった。

 加えて、会見前日の16日に浮上した女性アナウンサー上納接待疑惑も引き金となった。組織ぐるみでそのような会食が常習化しているのではないかという疑惑はフジの体質そのものが問われることとなったが、会見では「ないと信じたい」などと煮え切らない回答に終始。「今回の問題は中居さん個人のトラブルだけでなく、フジテレビ自体の問題があるのではないかと、いつでもCMを差し止められるよう構えていた。会見内容を受けて判断した」(代理店関係者)という。

 放送業界はスポンサーからの広告収入が年々減っている。トヨタなどの巨大スポンサーが相次いでCM出稿を止めることになったことは「フジ開局以来の痛恨事になるかもしれない」(同局関係者)。港社長が改めてオープンな会見を開き、信用を取り戻す対応をすること以外、窮地を脱するのは難しいかもしれない。

 ≪WOWOWが“凄いタイミング”で中居主演「私は貝になりたい」放送≫WOWOWはこの日、中居が主演した映画「私は貝になりたい」(08年)を放送した。戦時中に上官の命令で米兵を傷つけた男が、戦犯として裁かれる物語。フジテレビの会見などトラブルが連日大きく報じられている中での放送に、視聴者はSNSで「凄いタイミング」と驚き。「今“貝になりたい”と思ってるのは中居くん本人だろうな」などの声が相次いだ。

タレントの中居正広さんと女性とのトラブルにフジテレビの社員が関与していたなどと週刊誌で報じられたことをめぐり、フジテレビは外部の弁護士を入れて調査を進めていることを明らかにしました。

週刊誌でタレントの中居正広さんと女性とのトラブルが報じられたことをめぐり、フジテレビは「当初このトラブルにフジテレビ社員が関与していたとも報道されましたが、フジテレビは否定するコメントを発表しています。昨年来、事実確認を含め対応を継続しています」としていました。

これについてフジテレビは15日、外部の弁護士を入れて、去年から調査を進めていることを明らかにしました。

会社は「今後の調査結果を踏まえて適切に対応していく」としています。

これに関連して、フジテレビを傘下にもつ「フジ・メディア・ホールディングス」に対し、アメリカの投資ファンド、「ダルトン・インベストメンツ」が14日、騒動への対応に企業統治の観点から欠陥があるなどとして、第三者委員会の設置を求める書簡を送ったことを明らかにしています。

このファンドは、フジ・メディア・ホールディングスの株式の7%あまりを保有しているとしています。

日本テレビ 中居さんが番組降板と発表

一方、日本テレビは15日に中居正広さんが出演する番組「ザ!世界仰天ニュース」について、中居さんが降板すると発表しました。

この中で日本テレビは「中居さんサイドと対話を続けてまいりましたが、様々なニュースを扱う番組の司会という役割などを鑑み、総合的に判断して、降板していただくことにいたしました」などとしています。

 

週刊誌締め出したフジ会見 記者クラブ幹事社「残念な形」 撮影制限も

記者会見するフジテレビの港浩一社長=東京都港区で2025年1月17日午後3時6分、西本龍太朗撮影

 タレント・中居正広さん(52)の女性トラブルについて、17日に開かれたフジテレビの港浩一社長の記者会見は、出席できるメディアが原則、記者クラブ加盟社に限定され、週刊誌などは締め出された。記者クラブ側から、より開かれた形で実施するよう求められたフジテレビは、今後検討する考えを示した。

 「今回の記者会見は残念な形だった」。約1時間40分にわたった記者会見の最後。「ラジオ・テレビ記者会」の幹事社を務める東京新聞の記者は、港社長らに訴えた。

 記者会見は前日の16日に開催が決まり、原則として記者クラブ加盟社の記者のみが参加できる「定例記者会見」の前倒しとして設定された。このため、出席できるのは全国紙やスポーツ紙が加盟する「ラジオ・テレビ記者会」や、参加が認められたNHKと民放テレビ局などに限定された。

 これに対し、記者会はネットメディアや週刊誌なども参加できるオープンな形での開催を要望したが実現せず、19社の33人が出席した。

 東京新聞の記者は「(記者会見の)開催を優先したが、(フジテレビに)押しきられたという感じがする。改めて、週刊誌やネットメディアも参加できるより開かれたオープンな会見になるべきだ」と述べた。フジテレビ側は「重要な指摘だと受け止めた。検討したい」と答えた。

 また、この日の記者会見は、記者クラブ加盟社でも出席できるのは1社2人まで、写真撮影も冒頭の約10分に制限され、動画撮影のほか、記者会見が終わるまで内容を報じるのも禁止された。

 

 

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1 コメント

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Unknown (茶碗)
2025-01-19 15:36:36
宝塚歌劇団の事件と同じですね。劇団側は最初、外部弁護士調査といいながら、親会社関係の弁護士に劇団寄りの報告をさせました。
ご遺族が意を決してお願いした川人さんという弁護士さんがついて、ようやく劇団は、おのが罪と向き合わざるを得なくなりました。
ただ、いまだ劇団は、人の命の重さ、夢の舞台を愛して人生の全てを宝塚に捧げたであろう彼女を追悼も顕彰もせず、彼女という団員の存在をなかったものにしています。芸能界のしきたりなのか、OG、現役ジェンヌさんも口をつぐんだまま。
大企業の傲慢、芸能界のしきたりがセットになると、闇から闇への世界なんでしょうか。
心ある弁護士さん、第三者委員会の方々のご奮闘を。
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