執筆 カバタ・ボル
カロベイエイの難民居住区で、小規模ビジネスの難民オーナーが命に関わる脅迫を受けている。
カロベイエイで小売商を営むファーハン・モハメドは、周知の仲の人々から命に関わる脅迫を受けている。9月10日、ファーハンは国連世界食料計画(WFP)のカロベイエイ市場管理当局者に、彼がどんな脅迫を受けているかを語った。脅迫は彼のビジネス上のライバルである地元の人々からのものだという。ファーハンはKANEREに「ビジネス経営で成功したが故の脅迫でした」と語った。
カロベイエイ居住区は、ケニアのトゥルカナ郡に位置し、2015年にケニア政府と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)との合意のもと、難民と地元村落の双方に利益をもたらすよう計画されたセンターである。ここの市場を監督しているのが国連世界食糧計画(WFP)で、市場の日常の管理運営、販売場所の割り当て、ローンの付与、ケニアのリフトバレー地溝帯周辺の地元ビジネスとのパイプ役を任されている。
居住区は、カクマ難民キャンプから30キロのカロベイエイの地元民居住区に隣接し、南スーダンとの国境近くのロキチョキオとロドワーを結ぶ幹線道路に面している。砂漠の中に位置する辺境の地で、カロベイエイのビジネスは、地元民がこじんまりと経営しているものがほとんどだ。
【写真】カロベイエイで小売店を営んでいるファーハン・モハメドとフェリシア
2013年に、UNHCRはカクマ難民キャンプの密集状態を緩和するため、カロベイエイに居住区を作る企画案を作成し、2015年には、郡政府を通してケニア政府から承認を受けた。難民問題に関する会議の席上、トゥルカナ州知事のナノク氏は、「難民に土地を明け渡す目的は、難民と地元民の統合または責任の共有という側面があります」と述べている。カロベイエイ居住区は、難民と地元民の市場共有を進め、両者が仲良く共存することを目的に設立された。ところが実際は両者の間の軋轢がもとで、人命が失われ土地の奪い合いが発生している。第一の要因は、土地が少ないことだ。州知事のナノク氏は世界難民の日のスピーチで、「土地をどう配分するかが大きな問題だが、我々は難民と地元社会の平穏な共存を実現するよう固く決心しなければなりません」と述べている。
UNHCRはカロベエイを統合のモデルと考えているが、中央政府の協力を得るのに苦慮している。法律上、難民キャンプの政策として、ケニア在住の難民は30年前にやってきた難民を含め、全員キャンプ内に住まなければならず、働く事も許されない。難民に働く権利とビジネスや農業に土地を使用する権利を与える「難民法案」は議会の第三回目の最終決議を通過したものの、11月にケニアのウフル・ケニアッタ大統領により、一部の国民のためでしかないとして、却下された。現在、議会は大統領に考え直してもらうのが先だとして、法案再提出は予定していない。
法的根拠を持たない難民ビジネスマンは、嫌がらせの対象になりやすい。ファーランの共同経営者であるフェリシアも、地元警察とWFPにこうした苦情を訴えたが、どちらも彼らの不安に取り合ってくれなかったという。「市場で地元の女性(トゥルカナ族)に、理由もなしに暴力を振るわれました。こんな目に遭うのは、私たちのカロベイエイでのビジネスがうまくいっているからに決まっています。私たちは命の危険に怯えているんです」とフェリシアはKANEREに語った。
【写真】カロベイエイで小売業に成功しているファーラン・モハメドとチームのメンバー
カロベエイの難民コミュニティーのリーダーも地元のビジネス市場について同様の見方をしている。皆同じ土俵で商売をしているにもかかわらず、地元でビジネスをしている人々は難民との競争を脅威と感じているのだという。「私の観察によると、トゥルカナの人々は競争を恐れています。難民がビジネスで自分たちを上回るのは許せないのでしょう」とピーターはカロベイエイでKANEREに語った。さらに「これは市場競争であり、私たちはすべての人にベストを尽くすよう励ましています。平穏に共存することが重要なんです」と付け加えた。
公式には、カロベエイの市場では卸売業が規制されているので、すべてのビジネスは小売業として登録される。
ファーハンは、カロベイエイ居住区のキジジ村3で2軒の小売店を経営している。店内にはたくさんの商品がある。主に食料品で、倉庫には大量の在庫があるが、瞬く間に売り切れるので、地元の卸売り商人とのつながりを通して、頻繁に補充をしなければならない。「平均して月に150万シリングの売り上げがあり、私にとってとても良いビジネスです」とファーハンはKANEREに語った。
ファーハンは、日中は店内で超多忙のビネスマンとして働いているが、夜になると身の安全が心配になる。11月にKANEREの記者に懸念を打ち明け、「命の危険を感じているんです。自分のビジネスにどう向き合っていったらいいのかわかりません」と語った。
11月下旬までにカロベイエイは、主に南スーダンとコンゴ民主共和国から、4万人の難民と難民認定申請者を受け入れた。居住区設立以来、住民は身の危険、水不足、食料不足など差し迫った問題に遭遇している。
ファーハンも、繰り返される身の危険をケニア警察と地元の村長らに報告しているが、依然として地元住民による命とビジネスの危険にさらされている。「私には権力がありません。権力のある者が私の身の安全のために立ち上がってくれるのを待つしかありません」とファーハンはKANEREに語った。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます