Kakuma News Reflector 日本語版

カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
著作権:REN(無断引用転載禁)

2020年6月号 グローバルな問題にローカルな解決策を

2020年09月30日 | ビジネスと経済発展
【写真】マスクを提供してコロナウイルスとの闘いに手を貸す難民デザイナーのサムソンさん

サントス・マドヒュー:KANERE スタッフライター 2020年5月

サムソンさんは22歳のコンゴ人デザイナー。2015年にカクマ難民キャンプにやってきた。現在、難民と地元の人向けに無料マスクを作ることを通して、コロナウイルスと闘っている。

「サムソン・アレックス・ムヒンディです。ファッションデザイナーをしています。両親とカクマキャンプに来た直後から、この仕事を始めました。コロナウイルスがケニアで確認されるまでは、この仕事でここにいる家族を支えていました」

世界でパンデミックが渦巻き、ケニアにもその波がやってきたのを見て、サムソンさんは予防対策のために自分に何ができるのか、考えを巡らせたのだと話す。

「今、世界が経験していることを見ると、胸が痛いです。だから、地域社会をこのウイルスから守るために、私の時間とスキルをささげたいと思いました。ここカクマにいる人たちに、私が作っている無料マスクを使ってくださいと伝えているんです。私はカクマ3ゾーン1ブロック4のリッザフア・マーケットにいます」


【写真】小規模ビジネスを営むデザイナーにとって、無料マスクの提供は大きな経済的負担になっている。撮影:KANERE

マスクを販売することも考えたが、キャンプ内の仲間たちが直面する経済的状況を思うと販売に踏み切ることはできなかった。

「マスクを売ることはできます。でも、このキャンプに暮らす多くの人が、マスク一枚を買うのが精一杯だということも知っているんです。だから私は、地域の人々に無料で提供することを選びました。マスクを買ってもらっても、私自身がなにかを得るということはないんです。だってお金はいつか無くなってしまうものでしょ。私が今、ただ一つ恐れているのは、国が完全にロックダウンしてしまうことです。材料を仕入れることができなくなれば、無料マスクを提供することも難しくなってしまいます。」

あくまで販売はしないというサムソンさんの決断は簡単なものではない。無償でマスクを提供し、地域に貢献し続けることは、金銭的負担が徐々に膨らんでいくことを意味する。

「今は無料で配布するマスク製作だけに力を注いでいるので、本業の方は立ち行かなくなってきています。それでも、私は地域社会への貢献を続けていきたいです」

サムソンさんは現在、一日あたり100個のマスクを作っており、他の仕立職人たちにも無料マスクの提供活動に参加してほしいと呼び掛けている。

「私はカクマでたった一人のデザイナーという訳ではありません。ここには多くの仕立職人やデザイナーがいます。みんなが手を取り合って協力すれば、マスクで地域社会を手助けすることができるのです。私一人ではすべての人を助けることは到底できませんが、より多くの人が一緒になれば、もっとマスクを作って、もっと多くの人の手助けができるはずです」

そのための課題の一つが、マスクを作るための材料の入手だ。

「マスクの材料を支援してくれるようなNGOがカクマにあれば、きっと他のデザイナーたちもマスクづくりに力を貸してくれるはずです。みんなで手を取り合って、一緒にコロナと闘いましょう」


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