~ 閑さや岩にしみ入る蝉の声 ~
松尾芭蕉が出羽の国(山形県)立石寺(りっしゃくじ)で詠んだのが元禄2年5月27日とある
(1689年7月13日)もう325年も前の事になる、『奥の細道』の中でも、好きな句である
関連を調べていて面白い≪論争≫のコーナーがあったので紹介しておこう
1926年、歌人の斉藤茂吉はこの句に出てくる蝉は「アブラゼミ」と断定し雑誌『改造』に発表
これが切っ掛けで、蝉の種類について文学論争が起こったそうなのだ
翌年、岩波書店の岩波茂雄は、この件で議論すべく、神田の小料理屋で一席を設ける
そこには、茂吉をはじめ、阿倍能成、小宮豊隆、中勘助、等、名のある文人を集めた
中でも小宮の「閑さ、岩にしみ入る、・・・・・の語にアブラゼミは合わない」こと、
「この時期にはまだアブラゼミは鳴いていない」事を理由にニイニイゼミであると主張し
大きく対立したが決着がつかず、持ち越しとなったが、その後茂吉は実地調査などの結果
1932年6月、誤りを認め、芭蕉の詠んだ蝉はニイニイゼミであったと結論付けた
《イメージ写真です・・・・・山形まで行ってまへん、立石寺と芭蕉像と今回の主役の蝉です》
さて蝉の声論争でしたが、・・・・・蝉の国籍はと言うタイトルでしたね・・・・・
ちょっと、恥ずかしいのですが、私も斉藤茂吉先生に負けない、蝉の声理論です
色んな鳴き声がありますが、一番オーソドックスなのが「ミーン、ミーン、ミーン」
この鳴き声を、漢字で鳴いてもらうと「眠、眠、眠」私には眠々の餃子に聞こえる
もう一つは・・・「シャー、シャー」の声が「シェ~イ、シェ~イ、シェ~イ」に聞こえませんか
自分の声が騒音である事を申し訳なく思い、「シェイシェイ、シェイシェイ」と詫びている声です
以上の蝉の声から、国籍は中国となりましたが?・・・茂吉先生の時のように神田の小料理屋・・・
いやいや吾が輩は京都であるので、祇園の料亭にで・・・・・・「そんな事・・あるかいな~」
大変、失礼を致しました・・・・・ 最後に我が吟道松流の教本から「蝉」を
私が作譜した中国の有名な書道家、虞世南(ぐせいなん)の「蝉」です