今回は,息子の就学前に療育に使った絵本を紹介したいと思います。
長くなるので2回に分けて紹介していきます。
前回のブログ「絵本を聞かない息子が絵本を聞くようになったきっかけ」でも述べましたが,息子がひとたび絵本を聞くようになってからは,本は新しい概念や考え方を伝えるのに非常に強力なツールになりました。
それらの絵本を大別すると,
1. 言語理解などに役立つもの
2. ソーシャルスキルトレーニング用
3. 自閉症児の苦手な考え方を変えるもの
に分けられます。
それぞれについて,息子に使い始めたおおよその実年齢を記載しておきますが,難しい内容のものもあり,ご自身のお子さんが理解できるかどうかの判断は,過去ブログ「発達検査の略歴」にある息子の発達年齢が参考になるかもしれません。
リンクはできるだけ出版元のを貼りました。
1. 言語理解などに役立つもの
・歌になっている絵本シリーズ
「はらぺこあおむし」エリック・カール作,偕成社
「できるかな? あたまからつまさきまで」エリック・カール作,偕成社
「月ようびはなにたべる」エリック・カール作,偕成社
音楽CDは別売りで,「CD エリック・カール絵本うた」として発売されています。
(すべて4歳4カ月〜)
息子は話を聞くことは苦手でしたが,歌は好きで,歌を繰り返し歌うことで歌詞や内容を覚えられるので,本文が歌になっているこれらの絵本を利用しました。
このなかでも有名な絵本「はらぺこあおむし」は,ちっぽけなあおむしが蝶に成長するまでのあいだにいろんな食べ物を食べまくる,というストーリーが読んでいて楽しいだけでなく,数や曜日の概念が含まれているので,絵本を見ながら繰り返し歌うことを通じて多くのことを教えられます。
息子ははらぺこあおむしの絵本と歌をすごく気に入ってくれたので,はらぺこあおむしを題材にした数を数えるアプリ(「Counting with the Very Hungry Caterpillar」,現在は配信されていないようです)をipadに入れたところ,かなりはまってやっていました。
「できるかな? あたまからつまさきまで」は,動物の真似をしながら体の各部位を動かす内容なので,リトミックとしても使えます。体の各部位の名称を理解し,指示通りに動かす練習に役立ちました。
「月ようびはなにたべる」はアメリカのわらべうたがベースになっていて,月曜日から日曜日までそれぞれ違った食べ物を食べる,というだけの内容で,ストーリー性はありませんが,曜日を順番に繰り替えし歌うので,各曜日を覚えるのに役立ちました。
・マグネットになった絵を貼って使うマグネットブック
「マグネットブック アニマルワールド」,リーバン
(4歳11カ月〜)
この本には特にストーリーはなく,19匹の動物のマグネットと,それらの動物がどこにいるかという説明文があるのみ。場所を説明しながら動物マグネットを貼ることで位置関係を表す言葉(〜の上,〜の前など)を教えらえるのでは,と期待して購入しましたが,息子はあまり動物に興味を示してくれず,ほとんど活用できませんでした。息子の好きな飛行機のシリーズがあったらよかったのですが……。
なお,このマグネットブックは現在1歳の下の子には受けがよく,下の子に言葉を教えるのに利用しています。本文通りでなくても,動物の名前+「走ってる〜」「飛んでちゃった」などの簡単な動詞を教えたりと,マグネットを動かすことでいろいろな使い方ができます。
マグネットブックはずらしたり繰り返し貼ったりすることができる点でシールブックよりずっと便利です。ほかの出版社からもいろんなマグネットブックが出ているので,この本以外にもお子様が興味を持っているジャンルのマグネットブックを使ってみるといいかもしれません。
2. ソーシャルスキルトレーニング用
・「こんなとききみならどうする?」,「こんなとききみならどうするどうする?」,スギヤマカナヨ作, ひかりのくに
(4歳〜)
服を汚してしまったとき,友だちのクレヨンを折ってしまったとき,など,子どもの日常生活であるあるのトラブルを,ただ○×で正解を教えるのではなく,みんなであれこれ考えて一緒に解決していくストーリー。説教くさくないので息子の食いつきが非常によく,保育園などで社会生活を送る上での問題と対策を自分で考える訓練に使いました。
さらに,このシリーズの話の持っていき方が非常に効果的だったので,イラストの得意な私の父に頼んで息子の苦手な問題を網羅したオリジナルストーリーの絵本を作ってもらい,友達と遊ぶ時のマナーなどを教えました(内容と絵がまったくのパクリなので,家庭内でのみ使っており,これ以上ブログにアップできません。ご了承ください)。
こういったソーシャルスキル的なことをあらかじめ理解し,心構えができていると,保育園などで実際にトラブルがあった時に解決がスムーズになり,トラブルが起きて怒られて終わり,という失敗体験を重ねることを減らせます。この療育が効いたのか,息子が保育園の年中年長でほかの友達とトラブルを起こすことはほとんどありませんでした。
「療育に役立った絵本2」に続きます。