しばらくの間は無言状態で直也の様子を見守る仲間達でした。沢村一騎を知る涼一は真一に声をかけます。他の仲間達も真一を見つめます。「しっかしアイツはいったい何者だ真一よ20人もいる四学の方が押されてんじゃんか何とかなるのかな?」と直也の仲間達は思っていました。20人の四谷学園の学生を直也は1人で遊んでいるかのようで喫茶店で見ている仲間達は誰もが喧嘩になるのではないかと思っていたのです。四谷学園の学生達20人は直也の行動を、きっと「うざい」と思っていたのか。他に何か目的があって駅前に集まっていたのか沢村一騎を待っているのかわかりません。ただ笑いながら直也は四谷学園の学生1人に何かを渡していました。
「あいつドリームキャッチャー渡してっぞ、いいのかよ仲間にでもなるつもりか?」
真一は直也の行動は、これから起こりえる問題を考えての行動のような気がしました。直也はその問題に先手を打っているようにも思えたのです。しばらくすると四谷学園の学生達は駅のほうに向かい始めます。
「また、来いよー、また会おうなー」喫茶店まで聞こえるくらいの声で直也は四学の学生達に手を振りながら見送っていた。四谷学園の学生達は切れやすいという情報は間違いなのか。しかし情報では尊王寺学園や松陰高等学校や崔高等学校の学生達が数人が私立四谷学園の学生達に襲われたという話もあり直也は彼らを見送ったあと駅前のベンチに座り何かを考えていた。「春樹お前だったらこの問題どうする?まともにやるか、それとも何かあるか」と直也は頭の中で思います。喫茶店で水だけで居座る仲間達が席を立ち直也の元へ行こうとした時に直也の横には典子の姉「玲子」が座っていました。
「おぉーちょっとまてぃあれ須藤のねぇちゃんでねぇか?」
「何で直也のとこにいるんだぁ?」
「まさか付き合ってるとか?嘘だろうー、あの野郎!直也のやろう!」
「須藤のねぇちゃんって綺麗というか可愛いというか3つ上だっけな」
「ホテル近くにあるよなと想像すると・・・あ~ん。だめだめだめ」
喫茶店内で迷惑な男達は大騒ぎの男子学生達でありました。須藤典子の姉の「玲子」は通りすがりに四谷学園20人を相手にカラかってる直也の姿をみていたのです。玲子は仲間のような感じで接してる直也に春樹を重ね合わせます。直也は四学の情報をとる事をしていました。20人もの学生がいるのに何故直也を嫌がりながらも喧嘩を仕掛けないのか?「沢村一騎」がいないからだと考え四学20人の学生達は心の中では喧嘩をしたくない気持ちがあるが沢村一騎の言う事が絶対的なのかもしれないと直也は思います。
「沢村一騎が居ない時は静かなものなんだな」
「直也君、何してたの?」
「いや、何もしてないよ」
「四谷学園の沢村一騎くんの情報、教えてあげようか?誰も知らないこと情報をとろうとしてたんでしょ無茶してさ。無茶してるのわかってるのよ」
「えっ、知ってるの?沢村一騎ってヤツのこと」
「んっ、昔から噂どおりの子じゃーなかったんだよね変わったのは春樹が死んでからなんだよ」
直也は私立四谷学園の沢村一騎は春樹の仲の良い友達だった事を典子の姉の玲子から聞きます。松陰高等学校は小学校から高校まで無試験で進学できた。3人は同じ学校へ通いながら春樹と一騎で焼肉店で働く篤志は小学校から年の差は関係なく仲の良い友達だった。篤志が中学へ進学すると暴走族へ入ってしまったのは篤志の家庭環境に問題があり無免許で特攻服を着てバイクを走らせていた。一騎は篤志が孤独になるのを黙ってみていられなくなり同じ暴走族へはいり3人の中で一番年下の春樹は年上の篤志や一騎と一緒にいたかった。春樹は、それだけの理由で暴走族へ入り一緒に走れる事を喜んでいた。ただ走るだけなら良かった。篤志は苛立っていて「シンナー」を始めるようになり常にいつも蛇行運転になっていた。後ろを走る2人は篤志に何度もシンナーをやめるよう接していたが止める事は出来なかった。ある時期に交通安全強化と暴走運転防止強化期間があり、そんな時は普段なら走らないコースを3人はバイクを走らせた。篤志が一番前を走り春樹と一騎は左右に後ろを走っていた。目の前からパトカーが来ているのに篤志はスピードを上げて突っ込むつもりだったのかはわからないが2人との距離があいた。パトカーはハンドルを右にきり避け切れずそのパトカーに突っ込んだのは「春樹」の乗ったバイクでパトカーの後方約10m飛ばされ即死した。葬儀には警察官や学生達で春樹の仲間達は春樹の噂だけで寄ってくる学生達もいて花束がたくさん置かれていた。その中には従兄弟の大島直也とその両親の姿もあった。あの頃の直也はもう何も失いたくなかったが久美子や春樹がいなくなってから直也は変わってしまった。
「きっと楽しかったんだろうね、3人で走るのがさ、直也君」玲子は馬鹿でやんちゃな3人の事を良く知っていた。そして従兄弟の大島直也の事も春樹から聞いていたようです。「まさか会えると思わなかったよ典子には内緒ね」と過去の話をする玲子はの表情は少しだけ悲しい笑みを浮かべ直也に話していきます。2つ上の篤志11つ上の一騎は半年停学処分で澄んだのだが篤志は最初は春樹の家で更生する事になっていた。
「最初は春樹の父親のもとでね、きっと耐えられなかったと思うよ。いくら叔父さんや叔母さんが許してくれてもね」
篤志はもう行き場がなくなって玲子の両親が経営する焼肉店で働きながら更生していく事になったのです。停学処分であったが学校にいられなくなり篤志は退学。一騎は停学中に教師1人と同級生2人に暴力をふるい教師は軽傷で同級生2人は入院しその後学校を退学し私立四谷学園へ転校した。
「一騎も耐えきれなかったと思うよ、松陰には、いられなかったんだよね」
「そうだったんだ」
「ところでさ直也君はどうして春樹の部屋にいるの?典子に聞いた」
「同じ思いをしたくなくて逃げてきたんだ、でも同じだったよ」
「ごめん変な事聞いちゃったよね、ごめんね」玲子は直也のとる行動で直也の気持ちが理解できるような気がしていました。「そういうことか命かけるなってか!」直也は叔父の言葉を思い出しその言葉の意味を理解する事が出来たのです。篤志は仕事で償い気を紛らわしているが一騎はそうではなかったのです。直也が中学で苦しんだ事と同じ思い怒りと憎しみがあったのです。直也は心の内に抑える事が出来たが一騎は思いを表に出しそこから抜け出す事が出来なかったのです。一騎は転校先の四学で喧嘩が強い学生達相手に喧嘩三昧の毎日でした。そして私立四谷学園で一騎に喧嘩を売る学生達はいなくなったようです。1年生から3年生までを後輩や先輩達を相手にしていたのです。
「それできっとさ尊学、松校、崔校の噂を聞いてこっちで暴れようとしてると思うよきっと孤独なんだと思う仲間だと思える存在をなくしちゃったからね。篤志が何を言っても聞き入れる事はなかったんだってさぁ」
直也は一騎の思いやそんな孤独さを良く知る様になり中学生の時の宇治木大地の気持ちと一緒だ自分とも同じだと思ったのです。宇治木大地は家庭環境が悪く苛立ちの中で暴走族に入り苛立ちや孤独感から逃れようと走った。命をかけて仲間から離れて全てを失い覚悟を決めて少年院なら同じ思いを持ったものがいると信じようと思っていた。
ブログにコメントありがとうございます。
寒暖差のある季節の変わり目
ご自愛ください。
いつもありがとうございます♪
今後とも宜しくお願い致します。