
直也のいる街の尊学と松校と崔校の3校の学生達に緊張がはしりました。尊学と松校と崔校は距離的に歩って10分から15分の場所にあったが隣の街まで約一時間ほどかかる場所には手の付けられない荒れた高校があったのです。噂では周辺の学校を標的(まと)にして相手が引き下がるまで喧嘩し続けるしつこさもあり言葉で解決するのではなく暴力集団と言ってもいいかもしれません、巻き込まれた情報屋からは厄介な学生達が多く関わりは持たない方が言いとの話でした。直也と真一は自分達も同じように暴れてきた事を考えればこれまでの3校も同じ事です。そんなに騒ぎ立てる事もないと思っていました。隣街の私立四谷学園の通称四学(よつがく)の噂が広がり私立高校の中でも一番厄介な学校として見られるようになっていたようです。これまで3つの高校で喧嘩で争そいあっていた。しかしそれも収まりつつも「私立四谷学園」の学生達はここぞとばかりに遠征しているという事でした。「何故1時間もかけて今になって喧嘩の遠征してるのか?」と直也は疑問がありました。何故今頃になって遠征するなら3校で喧嘩をしていた時でも良かったのではないかと考えます。四学の制服の特徴は青の学生服で短ランに金ボタンでボタンをはずしている学生服の裏地には色んな刺しゅうがある姿でした。夏休みだというのに四学の学生は制服を着て直也達いる地域に時々姿を現すようになっていったのです。いつしか直也のいるラーメン店と典子のいる焼肉店は尊学と松校と崔校の学生達の溜まり場になっていて尊学と松校と崔校に通う学生達が四学の学生達の標的になって喧嘩を仕掛けてきている事を話し合っていました。喫茶店では仕切られた場所がなかった為に話し合いの場にはなりませんでした。そして話し合いの場に真一はいましたが直也の姿はありません。直也は馬鹿馬鹿しい事を話し合う事は意味の無い事だと思っていたのです。喧嘩を売られるのが嫌で家から出られない仲間達もいるという話もありました。この夏休みで四学の行動はしつこく付け回し喧嘩を仕掛ける闇討ちにする警棒やバットを使う等で手段は何でも目に余るものがあったのです。警棒でメッタメッタにのされ何人かが入院したり小さなナイフで刺されたり切られたりとあくまでも噂ですが広く伝わっていたようです。真一は話し合った事を直也に伝える役目でした。
松陰高等学校1年のリーダー格は「日向涼一(ひゅうがりょういち)」と「氷河仁矢(ひょうがじんや)」で崔高等学校1年のリーダー格は「安斉英二(あんざいえいじ)」と「加藤政次(かとうせいじ)」と言います。
松校と崔校のリーダー格で話し合いとりあえず情報屋から1人で歩くのは避けて必ず3人ぐらいで行動をするよう仲間達に伝えていました。尊学にはリーダー格という存在はなくなっていたが話し合いに無理に入れられるのは直也と真一でした。しかし直也は動きません。直也は病み上がりで静養が必要だったのです。面倒くさいと思いながらも仲間になった奴らが心配で仕方なく話しに入る真一でした。これは直也のあの出来事から3校の学生同士で自然と直也と真一をリーダー格として作られたものでありました。四学の話をしていて気になるのは以前の松校で問題を起こし退学し四学へ転校した四谷学園2年生の「沢村一騎(さわむらかずき)」の事でした。この学生は春樹との関わりもあったようです。沢村一騎はとにかく顔をあわせるだけで誰にでも喧嘩を売り相手を殴りつける事が当たり前だったのです。松校から四学へ転校後1年から3年生のトップ(頭)になり周囲の学校の生徒も沢村には手を出す事が出来なくなっていました。
「この夏休みで何とかしねぇと、また血の雨が降るよ」
松校の涼一は沢村の事を知ってるだけに言葉がつかえるくらい脅えていましたがラーメン店で話し合いをしていた時の直也は病み上がりの直也の姿がありました。
「涼一、脅えることはねぇよ昔も今も関係ない同じ高校生だろ噂は噂にしかない本当かどうかわからねぇじゃんか」
直也は表情一つ変えずに簡単に涼一に言い、その言葉で落ち着きを取り戻していた様な感じです。
「意味のない暴力からは何も生まれないって事だろ、なあ直也」
真一も直也の気持ちが良く分かるようになっていたようです。
「そういう事だ、とりあえずラーメンでも食って力付けとくか?叔母さんラーメン6つね」
直也の表情は、沈着冷静で覚めた目で脅える事なく叔母さんに注文します。
「お前ら、あれ持ってるだろ」
「あれって、ドリーム何とかって言うやつか?」
「そうだ、お守り代わりに持ってろよ」
真一は、どういう意味かを知っています。直也の言葉に不思議な感覚を抱いた4人でした。6人でラーメンを食べはじめた時に崔校の情報屋が店に入ってきました。
「あのっー駅の周辺に四学の連中が20人くらいいたよ、こんなに暑いのに制服着てさ」
「お前もラーメン食え俺の分食っといてくれよ」と直也は情報屋に言います。
「ちょっくら、様子みてくるから、待っててね」と直也は行って見に行きます。
直也は学生達の皆に声をかけ一人で駅に向かって歩いていきました。真一もついて行こうとしましたが真一の行動をとめます。直也は一人で様子を見に行きました。直也は4人に心配をかけまいと真一を店に残したのです。
「ほぉくそ暑いのに制服ちゃんときてるんだぁアイツらかぁちょっくら試してみっか」
直也は一人で四学の集団に声をかけていきます。
「お前ら何してんの?こんなくそ暑いのに制服着てさ夏服ないの?どこの高校生かな?」
直也の姿は上下白のスウェットを着て背中には龍と虎のデザインでポケットに手を入れ髪型は軽いパーマをかけたリーゼントで傍から見たらヤクザ風に見える格好でしょう。直也は冷めた目つきでニヤニヤしながら声をかけ一人一人の顔をなめるように見回していました。店に残された6人ただ様子を見にいく直也ではないような感じをうける真一でした。
喧嘩するならここでやれやと思いながら直也は四谷学園の学生達に喧嘩をけしかけていましたが様子がちょっと変である事を感じていたのです。直也は1人の学生の革靴の足をわざと踏んでみましたが反応はいまいちだなと直也は感じていました。「コイツら様子見に来ただけか?もしかして沢村がいねぇと何もできねぇのかも知れねぇ。沢村は独りぼっちかも。もしそうだとしたら?」情報屋の言うとおり四谷学園の学生達は20人で情報屋のいう事は間違いない事を直也は確認しどんな思いで駅前にいるのかを直也は見ていたのです。直也に見られると目をそらすもの学生や足元のアスファルトを見る学生や背を向ける学性もいて直也から少し離れ距離を置く学生もいて喧嘩の出来る様子ではなかった。直也の行動に気になったラーメンを食べ終えた仲間達は駅へ向かい駅前正面が見える喫茶店に入り直也の様子を見ています。
「アイツ普通に四学と話してるぞ。また何かが起こるような気がするな今度停学くらったら直也は留年か退学だろ」
直也の仲間達は気が気でなく心配になり直也の行動から目を離す事はありませんでした。まるで直也は四谷学園の学生達をからかい遊んでいるかのようでした。いいやまるで四学の仲間のようであるというべきかもしれません。
「涼一、あの中に、沢村っているの?」
真一が涼一にいるかどうかを確認したが20人の中には沢村一騎(さわむらかずき)はいませんでした。
「もしかすると喧嘩しに来てるんじゃねぇな」と沢村一騎がいない事で真一は直也と同じ思いを持ちながら目を話す事はありません。
「そういうことか直也はもしかしたら本当に喧嘩を売ってるかもな。でもアイツらは喧嘩はしないな」
「それってどういうことだ?」「まぁ見てればわかるって」
真一はアイスコーヒーを飲み腹の座った直也の姿を見つめていました。周囲の仲間達は不気味に笑う真一を見て鳥肌が立ちあれほど騒いでいた仲間達は静まり返ったのです。
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