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第2弾:蒼い時のドリームキャッチャー34話

2023-02-08 12:23:42 | 第2弾:蒼い時のドリームキャッチャー


叔母の嬉しそうな声と笑顔で春樹の代わりに直也は本当の家族のようになっていました。
「典子、お前は降りてこなくていいからな、お守り作ってろ」
直也は典子に声をかけ急な階段おりたくねぇと思いながらも静かにゆっくり階段を降りていきます。
「おぉぉぉぉぉ、直也ー元気になったんかー?」と真一は直也に店の仕事着の白衣姿で声をかけます。
「あぁ、死んじゃいねぇから、元気なのかもなー、けど真一、お前何やってんの?」
「元気で良かったよ、この夏休みはゆっくりするんだな、あとは俺に任せろ!」
「馬鹿か、お前、任せろって何を?」
「この姿を見てわからねぇのか?直也」
「はぁ?」
叔父と叔母は直也と真一の言葉のやりとりの姿を見てクスクスと笑っていました。直也は叔父が笑うところを見た事がなかったので驚きます。叔父の笑う顔つきは春樹の照れ笑いする時と同じように直也には見えたのです。
「ちっ!ふざけんなよ、お前バイトでもしてんの?」
「もうしょうがねぇんだよ、お前に会いに来てんのによ、これ(白衣)渡されてよ」
「なるほどね」
「まだまだ、動けるには時間がかかりそうだなぁ」
「あぁ、まだ、いてぇんだよ」
真一は直也の事を心配して毎日のように店に来るようになり叔母は毎日来れるなら出前の手伝いをするよう声をかけていました。声をかけたはいいが返事にはっきりしない真一に叔父は言ったようです。
「この野郎ラーメンただにしてやっから、すべこべ言わずにやれ!」
叔父のドスの聞いた言葉で真一は出前のアルバイトをする事になります。
「はいっ!やらせていただきます」
この素直な返事をする真一は叔父夫婦の気にられた学生の一人になっていました。真一は帰れと言われても帰らず店に入りカウンター席で水一杯をゆっくり飲んで、いつも帰っていたようです。
「直也、あの子達も友達かい?」と祖母は直也に言います。叔母の言葉で直也は店内を見回してみます。
「あいつら確か、あの時に見た顔だぁ、てめぇら!まだやりたんねぇのか!」
直也は痛みをこらえながら店内に響くくらいの声で叫びます。一般のお客はビックリした顔して直也のほうを一瞬振り向きますが顔を合わせまいとしていました。
「元気になれてよかったなー、直也!」
「はぁ、うるせぇよ!馬鹿どもめ、へへへ」
声をかけてきた連中に直也は照れるように笑いながら小さな声で答えます。松校や崔校の学生達も何故か直也を心配して真一に住まいを聞きラーメンを時々食べにくるようになっていたのです。
「心配って、お前らなんだよ」と直也は仲間達に言います。店にいた学生達は大笑いをしながら直也に声をかけていました。「ごめんな、ごめんな、本当にごめん」学生達の話を聞いた直也は困った顔をして店内を見て謝ります。早とちりした直也は困った顔をし胸を押さえながら2階に戻っていきます。その場には居られない気持ちで直也は嬉しかったのでしょう。素直に謝る姿を見て2階に戻る途中で学生達とお客の大笑い声が聞こえました。
「あっはははー、元気のいい兄ちゃんだねぇ」
「そうなんですよー元気だけの取柄(とりえ)しかなくてねー」
カウンターに座りラーメンを食べていたお客と叔母の声は直也に聞こえていました。直也は馬鹿にされたような気がしても何故か嬉しかったのです。店には尊学の仲間達以外に他の2つの高校の学生も食べに来るようになります。
「毎日繁盛だねぇ、あんた、いつも商売繁盛が良いねぇー」と叔母は直也にニコニコして言うのです。
叔母は嬉しかったのでしょう調子にのった叔母は学生達に言います。
「あんたたち直也の事心配するならもっと連れてきな!学割100円引きだよ」
「350円だから250円か」
「紹介して連れてきたら更に50円引いてくれる?」
「はぁー、あんたたち商売人になれるねー、どうしようかね」
仲間達と情報屋達は叔母と何やら交渉をはじめています。
「お前ら仲間連れて食べに来るなら200円でいいぞ、お前ら3人だけな」
叔父はラーメンを作りながら情報屋の仲間に言います。叔父と叔母の言葉に直也は自分と店は関係ないだろと思いながらも直也を気にする仲間達は素直に学割の話を他の仲間達にも伝えていきます。この頃には他のラーメン店では350円から450円でした。
「それから一人で5人連れてきたら小遣い250円やるぞ」
「マジっすか?」
叔父は笑いながら仲間達や情報屋達に冗談まじりに言います。まともに聞いた仲間達や情報屋達は実行あるのみと5人を連れて食べにくるようになりました。叔父はその行動から直也の多くの仲間達の存在に気づき安心したようでした。そしてまだまだ喧嘩上等で喧嘩をしている学生達はいるがラーメン店に来る学生は突っ張っていても些細な事で喧嘩をするのをやめていたのです。松校や崔校の学生達の中には1年生だけではありません。ラーメンを食べに来る連中の中には噂を聞きつけ松校や崔校の2年生や3年生も含まれていました。店に食べに来る理由は直也の事だけではなくラーメン屋には春樹の事もあったのです。春樹の英雄的存在で亡くなった後は伝説をつくっていました。ただの暴走族ではなく「英雄」的存在として喧嘩をする学生達の中で心の中に置かれ伝えられています。血だらけでも立ちはだかる姿は直也と崔校の学生達との喧嘩の争いで春樹の言葉と行動を直也に映し出していたのです。春樹は堂々と暴力をする為に命をかけてでも仲間を守るという思いから仲間のため暴走族に入ります。しかし春樹は直也とは違い喧嘩を止めるのに勝っても負けても「暴力」という手段だけをとっていました。この時の春樹は宇治木大地が暴走族に入るのと同じ頃でした。
「二年も三年も関係ねぇ、皆同じ人間だ、やるなら命かけろや!」
まだ幼さを残し小さな身体で春樹は言葉を残してこの世を永遠に去っていました。あの崔校との争いで直也からの言葉はなく直也は行動で示し殴られ続け何かを伝えていたのかもしれません。争いに関わった学生達は直也を通して春樹の言葉を思い出していたのでしょうか暴力の意味するものに気づいたのかはわからない。ただ直也と同じようにしていたいと思っていたのです。伝説に残される春樹の家に直也が居る事を知った学生達は、とにかく寄っていきたかったのでしょう。この狭い地域では誰もが知る春樹の命をかけた暴力事件と命の重さを考えさせられた出来事でした。叔父が保護士の役割を持ったのは春樹を失くしてからです。春樹を失くし二度と同じ事が起きないように出来る事から始め暴力団を解散し店を持ち何人もの学生を叔父は更生させていたのです。暴力の影には色々なものが心の中で動いているのです。家庭の問題や精神的な問題や社会的な環境問題などが入り混じり暴力というものに身を置き抜け出したくても抜け出せないくなっているのです。この頃の喧嘩は仲間作りの役割もありましたが心深くにある感情を持っている学生達は、ただの喧嘩ではなく暴力によって相手を傷つけます。生きる意味や死ぬ事の意味や大切なものなど考える事はなく孤独感などを暴力に変えてしまうのです。直也は怒りと憎しみというものを持っていましたがボクシングや仲間達で学んだ事が自分を支える事がありました。
叔父は直也の知る何人もの学生達の相談にのりながら道を導ていました。直也と春樹の2人の関わりを良く知っています。直也が来る事で何かが変わるような気がしていたのです。そして直也の両親や中学の担任教師の話を聞いていて春樹の存在を大きく感じていたようです。幼い頃から春樹と直也の性格は良く似ていました。電話をすると長話になるが2人で色々なできごとを話し合いながら決めたりもしていたのです。叔父は春樹が直也と会って話をしたりした事を全て知っていたようです。春樹は常に父親のアドバイスをもらいながら直也と話していました。多くの仲間がいましたが父親と直也は別格であったり電話で話をする時の春樹が唯一生き生きとしてた時だったのかもしれません。父と子の関係は春樹の素直さから作られていたようです。ですが地元の仲間の事になると冷静さを失っていたのです。
「繁盛だねぇあんた、いつも繁盛が良いねぇあんたたち皆つれてきなよ」
この夏休みの叔母の口癖になっていきます。ラーメンを食べながら突っ張り学生達は顔見知りになり年は関係なく色々な事を話し悩みがあれば叔父が相手をしていました。店では学生達の笑顔は耐える事はありません。春樹の父親と話しもできる直也もいる安心できる場所であったのでしょう。店から一歩出れば緊張感を持つ仲間達でした。


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