梗概小説/兄妹の秘密-夢幻- Vol.004

母親は聖子に、母の代わりに三十日間、

外国（イタリア）へ行きオークションをしてくるよう言うだけであった。

外国の何処で、同オークションをするのか聖子に話をする事なく、全ての事は付き人が手続きをする。

聖子が準備をしたのは、衣類と生活用品だけで、運転手と付き人の三人で空港へ向かった。

「どんなオークションをするの？」

聖子は付き人に声をかけ何をするのかと聞いたが、

全ての事は付き人と目的地の執事達がセッティングをして、

聖子は流れに任せて応対していく事だけであった。

これも、両親の敷いたレールの上での出来事であると聖子は思っていた。

聖子は何を売買するのかも、

どんな生活になるのかも何も知らされる事なく外国へ行く事になる。

空港へ着くまで聖子は窓の外を眺めているだけだった。

車を降りて空港内へ入ると、同じような容姿をした付き人が待っていた。

空港内を歩いて行くと空港内で待っていた付き人は彼に聖子を紹介したが、聖子に彼を紹介する事はなかった。

案内と聖子を彼に紹介した付き人は彼の付き人だった。

聖子は挨拶を交わそうとしたが、

彼は下を向き、付き人が聖子を紹介した事を聞いているのかもわからない状況である。

彼は、ただじっと静かに空港の床を見つめているだけであった。


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