チューリップス・シスター第20話 真理への伝令
教会の中にあるザンゲをする小さな部屋の中で真理自身の告白によって、世界の神々ゼラトウスと心の神ゼウスは真理を許され「聖霊の能力」「妖精の能力」「天使の能力」「女神の聖母マリアの能力」が真理の心に与えられる。
「神と聖霊の元、あなたは許されました」
教会の中にある小さな部屋で、全ての罪の許しのザンゲをした事で真理に神父の勇介は世界の神々の伝令によって勇介の伝道師の能力を透して許された。
そして本当の姿と感情と能力、更に勇介が持つ「自己犠牲」「信仰心」「慈悲」が真理の心の感情と運命の中に植えつけられる。
勇介が心に抱く3つの感情は、この時はまだ美咲へ植えつける事はしてはいないが、この先にある隔離室に移動する美咲の感情と運命の中に植えつける事になる。
教会の中で神父である勇介に告白した事で、真理にのしかかっていた重い苦痛と、悪魔ゼブロス・地獄ヘル・死神デッドが創り出した魔性世界の魔物や呪いの邪悪な邪気から、勇介の心の中にある「自己犠牲」「信仰心」「慈悲」の感情を受け止める事で逃れる事が出来た。
勇介が導き真理が聖人として認められると「自己犠牲」「信仰心」「慈悲」「覚悟」「運命」の心の準備だけが整った。
真理は自分の予兆能力と感情と美咲の予兆能力の「怒り」「憎悪」「復讐」美咲の感情の「苦痛」「悲痛」共通する「喜び」の他に、聖霊の能力・妖精の能力・天使の能力・女神の聖母マリアの能力が与えられた。
しかし、真理が今すぐに自分の感情と能力をコントロールするには、自らの予兆能力を前兆能力という段階から全ての能力が開化しなければならない。
真理の能力が開化する為には、勇介の「信仰心の眼」を持ち、まだ今後も「自己犠牲」「覚悟」「運命」としての段階を踏み歩き、勇介の伝道師の導きではなく、直接的に世界の神々ゼラトウスからの伝令によって様々な出来事の試練を乗り越えなければならない。
魔性世界の魔物や呪いの邪悪な邪気は未だに現実の世界と次元を超えた仮想空間の幻想世界に存在しているからだ。
真理は勇介の抱く感情と能力の中にある女神の聖母マリアの暖かく包み込むシールドの能力と角と翼のあるフェニックスの戦闘能力と共に歩いて行く事になる。
「時の煌子と共に歩く女神よ、そなたの能力で更なる出来事の全てを受け入れよ」
世界の神々ゼラトウスからの真理の心の神ゼウスへ転成の伝令が降臨した。
現実の世界にいる真理自身が次元を超えた仮想空間の幻想世界の存在と行き来できる事に気付かなければならかった。
神々ゼラトウスからの伝令によって、この時の勇介は伝道師ではなく結界師として大結界を創り出し絶対空間の中で幻想世界を真理に観せる。
幻想世界は9つに分けられ9人の神々の世界によって繋がり現実の世界とは全く違う。
宇宙の銀河系の地球は1つの星に過ぎない、しかし幻想世界は永遠に消える事なく、地球のように科学や化学物質でのエネルギー太陽光などのエネルギー源は現実の世界にあるものはない。
しかし、オーロラと虹の世界があり緑の森とと青く見える透明な水源、水平線や蜃気楼があっても地球のように丸い世界ではない。
エネルギー源は、幻想世界に存在する者達の心の生命の魂や神への信仰心、慈悲・覚悟・運命という心の持ち方しだいでエネルギーを創る。
人類の魂・誓い・祈りによってエネルギーを創造し9つの神の世界アースガルズと呼ばれる世界で大自然が成り立っている、幻想世界のアースガルズでは、人類が大自然を創り出す、全てが聖霊によって選別され選ばれたものではない、人類の一人一人が何を思い考え生きているのか、心の生命の魂や神への信仰心、慈悲・覚悟・運命に誓いと祈りを捧げる事が出来る者達であれば、浄土と安堵の世界のアースガルズの世界に生かされる。
アースガルズの世界では戦争はない、だたブラックホールの向こう側で、悪魔ゼブロス・地獄ヘル・死神デッドが創り出した魔性世界の魔物や呪いの邪悪な邪気がアースガルズの世界に入ろうと渦巻いている。
しかし、騎士や戦士がブラックホールの扉の番人によって幸福の毎日を送れるのがアースガルズの世界なのだ。
信じる信じないではなく、全ての出来事を心で受け入れ自分だけではなく誰かの為に生きるという事である。
現実の世界の人類は大自然の中で自然を利用し科学の世界の中で生きている、いつまでも何処でも戦争が起きているのが証である。
科学に頼り最期を送ろうとすればアースガルズの世界ではなく、悪魔ゼブロス・地獄ヘル・死神デッドが創り出した魔性世界の魔物や呪いの邪悪な邪気の世界で炎に塗れて、死を迎えても生涯にかけて呪われながら生きる事になるだろう。
もしもだが、アースガルズの世界で現実の世界の住人と同じような事があれば、アースガルズの神々と聖霊によって悪魔ゼブロスの魂として魔性の世界の地獄ヘルに送られ死神デッドとして炎のマグマの中で苦痛を与えられる。
しかし、死神デッドの中には悪魔ゼブロスのしもべになる事によって、現実の世界や次元の違う仮想空間の幻想世界に送られる事がある。
現実の世界には死神デッドは浮遊し彷徨い人類に害を及ぼすが、アースガルズの世界では特異的な能力者によって出入り口の扉で番人によって守られている。
神父の勇介が創り出した大結界の絶対空間は勇介が消し、次元の違う仮想空間の幻想世界は世界の神々ゼラトウスによって消された。
真理は教会の中で正面に立ちながら、瞳を閉じて幻想世界を観ていたが、大結界と幻想世界が消えると気絶し膝をつき倒れこんだ。
神父の勇介は真理を腕で抱えながら、別室へと向かいベットの上に寝かせる。
ベッドの横で勇介は椅子に座り聖書を読みながら美咲の事も考えながら、真理が目覚めるのを待った。
勇介は美咲の事を考えていると、病院の部屋のベットで眠る美咲の姿が瞳に映し出され、10畳程の広い部屋の大結界の「ヒビ」がどれくらいなのかを確認していた。
聖域である教会から病院まで30キロメートル、聖域外でも特異的な能力で人の感情や建物内の光景が勇介には見えてくる。
病院の入口から待合室を通りエレベーターに乗り5階で降りて、美咲の部屋までの廊下を歩き、ナースステーションで看護師に声をかけ扉を開けてもらう。
そして勇介は立ち入り禁止区域の廊下を歩き病室の前で病室のドアを開ける、その部屋にはコナン・グレードとセラピスト、眠りについている美咲の姿が見えるのだ。
しばらくするとベッドに横になっている真理の瞬きをして起き上がろうと姿を勇介は見ていた。
「やあ真理、やっと目覚めたね」
「ああ、良く眠れたぁ、え?ここって病院なの?」
「どうしてそう思う?」
「真っ白な部屋だから」
「それは違うよ、ここは病院じゃない教会の部屋だよ」
「教会の部屋?」
「そうさ、今は真っ白に見えてるだけなんだ、美咲の部屋のようにね、真理は美咲の部屋の夢を見ていたんだ」
「何かね、奇妙な夢をみてた感じだったんだけど」
「その夢は今後にわかると思う、瞳を閉じてみて」
真理は目をつぶった、勇介は真理の手の平に十字架を持たせた。
「え、何、十字架?のネックレス?」
「ああ、この十字架は君のものだ、部屋を見てごらん、この部屋は木造の部屋だろ」
「本当だ、どうして?」
「それは今は言えない、いつか美咲と会ってから話すよ」
神父の勇介の笑顔をはじめて見た真理は過去のように照れ笑いを浮かべる。
何事もなかったかのような真理の姿と笑みを見て、過去の外的からの苦痛を記憶と心の傷から消す事が出来たと勇介は思った。
「私は、なぜこの年になるまで、告白が出来なかったのですか?」
「それは、貴女自身の心にあります、しかし、美咲さんと生き方を変えた事で、更に強い絆が、今ここで産まれたのです」
勇介は神父としての自覚から言葉使いを変える。
「今ですか?ここで今?」
「これまで、真理さんは罪悪感ではなく、差別感を強くもっていたんです、差別感がなくなり、美咲さんを認めることができたのです」
当時、3才の真理と美咲は、間違いなく母への思いや姿を強く感じていた。
その頃の、真理は、美咲以上に、母への思いが強かった。
しかし、その母は、美咲を真理以上に、可愛がった。
それによって、嫉妬感と差別感が重なり、母の失踪で、真理は、叔父夫婦に預けられ、美咲には持つ事の出来ない愛情を手に入れた。
幼き頃の美咲の絵は、花畑に家族が一緒にいる絵だった。
農園で働く父と母、そこには真理と美咲もいた。
敷かれた、ござの上に座り遊ぶ姿、大きな木の下で4人で横になり昼寝をする姿、花畑を駆け巡る真理と美咲の姿、それを見つめる父と母の姿があった。
幼き頃の真理は、美咲との違いを周囲の人に見せるようになっていき、美咲の生き方を否定した。
否定することで、真理の心の奥底に、本当の「愛」をしまいこんでしまった。
そして、成長と共に、扉が開こうとしている自分に気づくことができなかったのだ。
銀行員男性殺人事件あとから10ヶ月間、美咲は絵を描くことはなかった。
この10ヶ月の間、絵を描かない空白は、事件に対して真理への美咲からのメッセージであった。
美咲の心は、母の失踪と共に、成長と共に、常に変化していた。
そのメッセージは、その時は伝わることなく、ある時まで、ゆっくりと真理に伝わっていくだろう。
そして、真理の告白の日に伝わった。
「真理さん、今度は、貴女が美咲さんを助ける事になります」
真理は、この日、教会で神父の勇介への告白によって、美咲の全てを受け入れる事が出来たのかもしれない。
炎の夢、太陽の夢、水が流れる夢を観る事もなくなった。
母は失踪後から、美咲が描きはじめた絵には人物の後ろ姿があったり、ただの風景画へと変わっていった。
ただ、誕生日の6月29日の絵はカラフルで家族と過ごす絵を描いていた。
教会で絵をみる真理は、自分の記憶をたどると、母失踪後の風景画は夢で見たことがあるような気がして、美咲と同じ風景を見ていたことがわかった。
当時、真理は全て夢の中として、美咲は現実ものとして、絵画として残していたのである。
全ての美咲が描いてきた絵画は、重大な意味を持っていたのだ。
勇介は、叔父の神父の遺言どおりに、真理と美咲を導きはじめた。
真理は、勇介に、事件現場へ行かなければならないということを話した。
真理や美咲だけが変化していたわけではなく、農園跡地にも変化した場所が、真理には見えていた。
教会で、勇介と真理は、美咲の描いた絵を観ている時、真理は電話の鳴る音を感じた。
「勇介さん、電話がかかってくる」
「そうですか、わかりました」真理は自分の予兆の能力を気付いてはいないが自然と能力を発揮していると思う勇介だった。
勇介は、教会にある電話のある場所へ向かった。
真理の言葉で、勇介は、真理の能力の存在を知った。
「プルルル、プルルル、プルルル、・・・」
真理の言うとおり、突然、電話が鳴った。
「はい、もしもし」
電話の相手は、先入観のない殺人事件の担当刑事「山本」からであった。
山本刑事は15分程で、これから教会へ来られるという事だったが、勇介は農園跡地へ行っていると伝えた。
真理と勇介は、農園跡地へ向かった。
真理と美咲が生まれた家は崩れかけ、農場跡地は荒れ野原になっていたが、勇介は、あの場所だけが気がかりになった。
真理と美咲の父母が育てていた、花畑が変わっている事を目にしたのだ。
チューリップだけが、綺麗に咲き乱れていた、まるで誰かが管理しているかのように。
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