初めて逢った日の夜。
涼しげな目元。静かな笑みを浮かべて。
あの日はあなたの面影がずっと去らず、
なかなか寝つけず、やっと
微睡んだ(まどろんだ)夢の中には
貴方が陽だまりで佇んでいた。
両腕を広げて待っていてくれるではないか。
躊躇なく私は走り寄り―――
腕の中に包まれた、と 思った瞬間、
不気味な赤黒い闇の底に墜ちていく私は
ピエレッタ??
冷たい地面で目を覚ますと、一条の光が射してきて
またあなたの姿が。
目を覚ますと、多重夢に悩まされていたことに
気づく。
カーテンには、夜明けのすみれ色が忍び寄り
なんとやるせないこと、切ないこと―――
だが、たぎる愛は昨夜よりいや増して
沸々(ふつふつ)と熱を持ってくるのが
感じられた。
現実の多重夢から逃れるすべはなさそうだ。