遠(かなた)の世界

小説出版のご案内、徒然ポエム、たまには短編小説。エッセイ。

三浦春馬氏イメージ よもや馬ポエム「心の声」

2021-02-02 08:58:27 | よもや馬ポエム
「ヤダ。今日、学校行きたくない。休む」
布団の端を握りしめて、もぐり込む。
友人が迎えに来ている。
「そんなこと言ってないでぇ……」
「……」
 
「ほら、これ貸してあげるから」
それはオレンジ色のビーズで作られた
お人形がついた長めのペンダント。
白いブラウスを着た私が首にかけてみると、
オレンジのスカートとぴったり合う。
 
 
「行こう」
手を引かれて外へ出ると見知らぬ男性が尋ねる。
「この場所へ行くには、ここを
真っ直ぐ行けばいいんですか?」
地図を見せられる。
それは1キロほど行った先の
狭い場所だった。
男性を先導して、その場所に着き……目を疑う。
狭い場所から出てきたのは……
 
 
彼ではないか!
髭が伸びて時を感じさせるけど確かに彼だ!
彼が顔を上げ……私を見た。
 
 
言葉は要らなかった。
風になって駆け寄り―――
彼の首を抱きしめる。
自分の心の声がやっと聞こえた!
「逢いたかった……」
息が止まるほど、抱きしめ――
抱きしめ――
狂おしく、溶け合うくらい
彼の力強い腕も私を抱きしめる。
 
 
 
「逢いたかった……」
これが、何故かずっと我慢していた
心の声。
「逢いたかった……」
 
 
 
 
どのくらいの時が経ったのか……
ふと腕の中が軽くなった。
彼は霧が消え去るように
いなくなっていた。。。

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