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華流ドラマ「大明皇妃」あらすじと感想

2022-03-12 11:47:00 | ドラマ感想

鑑賞するには、明の初期の歴史を少し学んだ方が
よく分かると思われる。
私はかつてチャン・ツィイーのファンで大作映画は
よく鑑賞したが、ドラマは初めてだ。

韓流ドラマもちゃんと全話鑑賞したのは
かなり以前の「チャングムの誓い」だけ。
韓流と華龍では、また異なる。
同じ華流でも、あまあまラブストーリーは敬遠。
「戦い」のあるドラマが好きなので。
(戦争賛成派では、決してない)

★「大明皇妃」は、明王朝で随一の猛将と言われた
 第三代永楽帝が、実の甥である建文帝(けんぶんてい)の
 正当な皇帝位を簒奪したことから始まる。
 建文帝もまた、複数の伯父や叔父を取りつぶしていたのだから
 身内の皇帝位争いから、ことは始まるのだ。

 攻められた建文帝は僧侶に化けて逃げ延びた説があるのだから
 物語は作られやすい。

 



★主人公の孫若微(そんじゃくび)と、妹の(萬いん=後の胡善祥)は、
 政府高官だった父を持ち、両親を目の前で殺され生き別れになる。

 姉の若微は父の部下に連れられて逃げ延び、十年間、
 武術や学問を仲間と学ぶ。
 妹のまんいんは、宮廷の高位の女官の元で体罰を受けながら育つ。
 宮廷内の生活しか知らない。
 この対比は、後の悲劇を生む。

★靖難の変の十年後、永楽帝の暗殺をしようとした若微たち。
 しかし、失敗。捜索にやってきた
 錦衣衛(きんいえい=政府の憲兵のような存在)の長に就いていた
 永楽帝の孫、朱せんき(ジュ―・ヤーウェイ)と鉢合わせして知り合う。

 若微に惚れた皇太孫の朱せんきにたびたび会ううち、
 後に、復讐するという意志はなく、仇である皇帝家に嫁ぐことになる。

 



 生き延びていた永楽帝の甥の、元、建文帝と永楽帝の再会時に
 手紙のやり取りを取り持つ役目まで担うことになるのだが。。。

 仇である永楽帝の家に嫁ぐまで心の変化が、少し描き切れていないと
 感じるのは少し残念ではあるが、簒奪者の一族として、世間から
 後ろ指さされていた孫の朱せんきと、暗殺者としての
 後ろめたさを同じく感じていたという描写は、ワンシーン存在する。

★宮廷の宴会で仲間をかばうために、永楽帝を守って
 胸に矢キズを負った惹微は、奇しくも妹のまんいんと
 再会を果たすが、彼女は
 皇帝家の財産を半分、奪うという復讐を考えていた。


★胡善祥(まんいん)について

 孫若微そんじゃくびの実妹、胡善祥(こぜんしょう)。
 皇太孫の朱せんきの妃に己が身を皇帝の次男に捧げてまでも
 強く志願し、実現させる。
 美しくとも魂は鬼畜そのもの。
 姉との育ちの違いが招いた不幸なら哀れとしか
 言いようがない。
 人間のもろさ、弱さを描いている。

 



 親友さえ野望のためなら殺害し、その報いに
 腹の子を失うも、懲りずに宮廷であるまじき所業を繰り返し、
 ついには愛おしい孫まで不幸のどん底に追いやることに!!
 それがまた新しい不幸を招く。

 しかし、彼女の強烈な悪女ぶりが際立つほどに、
 主人公の孫若微(そんじゃくび)の正当な
 皇太后(後に太皇太后)ぶりが輝いて見える。
 残忍な妹を完璧に演じたドン・ジェジェさんにも惹かれる。

★中盤に多く描かれた草原の騎馬の戦闘シーンは、おおいに
 見ごたえがあった。
 何百万、何十万という兵力のぶつかり合い。
 通信手段が伝令の馬しかないとはいえ、
 草原の民の扮装もまじえて当時の様子を鑑賞することができた。

 




★ラスト感想

 昨年12月半ばから観続けていた中国ドラマ
「大明皇妃」が最終回を迎えた。
 全62話 ものすごく集中して視聴。
 自然に惹き込まれる作品だった。
 最初は字幕でさえ難しい漢語調のセリフだったのと、
 登場人物の男性が、ほとんどヒゲを生やしていて
 見分けが付かなかったせいで苦戦したが、
 何より明王朝に興味があったのが惹かれた所以で、
 主演のタン・ウェイさんの
 艶やかさと武術と心の逞しさが大好きなせいもある。

★三浦春馬氏の審美眼は流石だ!!
 <三浦春馬氏は13年の読売新聞のインタビュー記事で、
 タン・ウェイさん出世作になった
 「ラスト・コーション」をおすすめのDVDとして紹介している>

 🐎この作品をぜひ、観てほしかった。

 さて「大明皇妃」は、ドラマティックすぎて
 圧倒されまくりの全話だった。
 主要登場人物の殆どが亡くなるという悲しい結末だった。

★主人公の若微が、老いてようやく知る意味。
 中国の歴史はひとつの家がひとつの地方を平定しただけ。
 (皇帝は龍でも神でもありはしない)
 ただ勝利して土地を手中にしただけ。

 これは大正解だと思う。
 当時の皇帝には理解できなかったのだろうか?

★しかし、主人公が寝床で目を閉じ字幕で
 「🟠🟠、🟢🟢何年逝去。波乱の人生であった」で
 終わるのではなく、明るい終わり方で慰められた。

 史実との創作であれ、主人公はどんな地位に昇りつめようと、
 やはり最初の設定(立場)であったと言いたげなラストに
 満足している。

 ★★孫若微と胡善祥は実在した人物であるが、

 姉妹というのは創作である。


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