3泊4日のカテーテル治療入院
その際の病室は4人部屋で私は窓側
4つにカーテンで仕切られていて
他の人の姿は殆ど見えない
コロナ禍で見舞いの人も来ないし
身内の人でも病室へは入れない
私としては静かに過ごしたかったから ちょうど良かった
時々病室に来る看護婦さんとの会話で
他の3人は私より ずっと年配なのが解った
「痛くてイライラする~ 喉が渇いて何か飲まなきゃいられないよ」と
隣のお婆ちゃんは時折 独り言なのだが感情が声に出るようだ
病室のすぐ前にトイレが有るのだが
開けたら 驚いて便座から立ち上がったお婆ちゃん
「これを回すとカギが掛かりますよ」とだけ伝えた
アッ この人は私の隣の人に違いない
だって 「まったくも~ 人が急に入って来るから
おちおちトイレもしてられないよ」と
心の声を口にしているのを聞いていたから
突然「どうしましたか?」という看護婦さんの声
斜め前のお婆ちゃんの所へ来たようだが
「呼ばないよ」
ベッド上の手元に置いて有るコード付きのナースコールを
無意識に触ってしまったようだ
しばらくして看護婦さんが来て「又 触っちゃったのかな?」
「間違えて押しちゃったんだよ」
今回は そのパターンだったのか
前のお婆ちゃんの所へは朝から頻繁に看護婦さんたちが
行ったり来たりしていた
「食べないと また点滴になるから少しでもいいから食べようね」
「食べたくない」
「しばらく便が出ていないからトイレに行ってみようか」
「行かない」
そんな問答が嫌でも聞こえてくる
看護婦さんたちも何人か交代で
優しく駄々っ子婆ちゃんの相手をしていた
それ以外にも どうでも良い事でナースコールを押していたようだ
ふと目が覚めた時 時間は夜中の2時頃
薄暗い部屋の中「他の皆さんが寝ていますからね」と
看護婦さんが小声でお婆ちゃんをさとしていた
そのうち「あ~ それを引っ張ったらダメだよ~」
何を引っ張ったんだろう?
その後 ガタガタと動く物音
とうとう駄々っ子婆ちゃんは個室に連れて行かれた
その代わりに入室したお婆ちゃん
消灯後 急にテレビの大きめな音声が
イヤホンも付けずに見始めたようだ
すかさず私の隣のお婆ちゃんが「うるさい」アピールの咳払い
だが効果は無く テレビの音声が部屋に充満
10分ぐらいしたら 突然テレビを消した
聞こえてきた番組内容がつまらなく 納得出来た
こうして思い出してみると
看護婦さんたちを困らせる事も無く
大人しく過ごしていた私は模範囚 いや模範患者だったと思う