それは息子が小学3年生の時
仕事先で勤務中
店主から「息子さんが何回も店の前を行ったり来たりしているよ
何か有ったかもしれないから 行ってあげて」
(店主は息子の顔を知っていた)
私は慌てて 店の外へ
右方向に 歩いて行く息子の後ろ姿が
急いで駆け寄り「どうしたの?」
「家出するから」
え~ッ
「ねえちゃんに『出て行け
』って言われたから」
「家出って どこに行くの?」
「大丈夫 遠くには行かないから」
「どこに行くの?」
「〇〇公園の方 止めてもダメだからね」
もう少しで勤務時間が終わる
「すぐ行くからね」
とりあえず 家出の方向は把握した
仕事が終わり 急いで公園へ
公園の片隅のベンチにポツンと座っていた息子発見
そばに寄り「お腹空いたでしょ お寿司食べて行こうよ」
息子は こくんと うなづいた
近くのお寿司屋さんに入り カウンターに並んで座り
お寿司を注文し黙って食べた
息子は斜め上に設置して有ったテレビを見ながら食べていた
その時 放映されていたのが 夏の甲子園高校野球
野球が好きだった息子は それをジッと見ていた
食べ終わり
「帰ろうか?」と言ったら「
うん」
家の玄関前まで来たら 急に「ねえちゃんに怒られる」と
立ち止まってしまった
「大丈夫だよ」
私が「ただいま~」と玄関を開けたら
5歳違いの姉が急いで出て来た
そして 私のすぐ後ろにいた弟を見つけ
「入っておいで」と言った
息子はホッとしたように 玄関の中に吸い込まれて行った
その後 二人は何事も無かったようにしていたが
どうでも良いような事に いつまでもグチュグチュしていた弟を
姉が一喝したらしい