聖名の必死な姿に俺は驚きながら、
「だから聖名、そのためにそれを貸してくれって」
「あ、ああ… 」
俺は丁寧にその数枚の紙を受け取ったが、立ち上がった聖名は、
「その内容、全部ウソだからね! 」
とし言い放つと、イライラしたように、自分の部屋に入っていった。
「わかってるよ! 」
俺はその背中に叫んだ。
見るからに高そうな黒のスーツに、束ねた金髪の聖名は相変わらず美しかったが、会場のホテルに向かう間も聖名は助手席でむすっとしたままだった。
本当は俺も宴会場に入りたいのだが、そうもいかず、
「社長、では僕はクロークの前で待っています」
「うん、わかった 」
そして、俺が車を停めてドアを開け、ロングコートに身を包んだ長身の聖名が降りると、その若さと美しさに皆がはっとしているのが伝わってきた。