聖名が男性であるのを幸いに、俺はこの警護期間が終わるまで自分の気持ちを隠し通すことに決めた。
聖名だってボディーガードに想われているなんて嫌だろう。
まあ、俺には襲われてもいいなんて冗談を言ってはいたけれど。
でも、対象に恋愛感情を持ってしまったら、ボディーガードとして失格だ。
その時、エレベーターから黒スーツのSPが多数降りてきて、俺は慌てて立ち上がった。
SPに守られる人々が通り過ぎていくが、聖名はなかなか現れない。それどころか、やっと現れたと思ったら、SPや他のボディーガードに囲まれて、誰かと談笑しながら、俺のことなど忘れたように、出口へと歩いて行ってしまった。
SP達が立ちはだかって、俺は聖名に近づくことができなかった。