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私の本棚2023.12.26」

2023-12-26 11:28:44 | 経営コンサルタント
  • 今日のおすすめ

『日本企業最大の欠落とその処方箋「SFO思考」』(徳成旨亮著 ダイヤモンド社)

  • 「CFO思考」は非上場企業の経理・財務部門にも有益です(はじめに)

 紹介本の書名「CFO(Chief Financial Officer:最高財務責任者)思考」から何をイメージされますか。『「CFO」は上場会社の役職。非上場の我が社には関係ない。』でしょうか。

 そこで今日は、そのような一般的な考えを横に置いておいて、『非上場企業にも役立つ「CFO思考」』について考えてみたいと思います。

 私事になりますが、メガバンクの支店長⇒上場企業のCFO⇒メガバンク関係会社社長(非上場会社CEO)のキャリアをベースに紹介本を読み、「CFO思考」は非上場会社に於いても有益と痛感しました。つまり、CFOの知見が有ったが故に、非上場企業の社長としての、ガバナンス・企業価値向上などの責任を全う出来たと思います。

 著者は、上場企業における体験を通じ、CEOのビジネスパートナー(諫言も含め)としてのCFOの役割の重要性を説いていますが、非上場企業に於いてもCEOをサポートするCFOの役割は重要です。CFOが『経理・税務・財務に止まる「“金庫番思考”のCFO」』を脱却し、『CEOをサポートする「“企業成長をもたらすCFO思考”のCFO」』になることで企業の成長が促進されるのです。

 著者は、「上場企業に求められるCFO」について記していますが、著者の主張を非上場企業向けに読み直し、『非上場企業版「CFO思考」』について考えてみたいと思います。

 それでは、次項で『非上場企業に有益な『非上場企業版「CFO思考」』について触れてみたいと思います。

  • 非上場企業に有益な『非上場企業版「CFO思考」』とは

【アニマルスピリッツを持とう】

 著者は、海外投資家から繰り返し投げかけられたフレーズを紹介しています。『日本人・日本企業・日本経済には「アニマルスピリッツ」はないのか?』です。

 この「アニマルスピリッツ」は、ジョン・メイナード・ケインズが、「雇用、利子および貨幣の一般理論」の中で言及した言葉で、その意味は「実現したいことに対する非合理的なまでの期待と熱意」です(著者要約)。

 海外投資家の上記フレーズの言わんとすることは、次のことです。『日本の世界競争力(IMD2023〈注〉)のランキングが1980年の1位から2023年の35位まで下落し続けてる要因は、日本人・日本企業・日本経済に「アニマルスピリッツ」が無くなったからだ』。

〈注〉「IMD世界競争力ランキング2023」(下記URLを参照ください)

https://blog.goo.ne.jp/sakaigmo/e/bb3c078667a45a540c5b4ed8f4e31b76

 著者は、日本企業最大の「欠落」は、『アニマルスピリッツ』の欠如であり、その症状の「処方箋」は『責任領域にアニマルスピリッツを持って走り回り、企業価値向上と企業成長の成果を上げる「CFO思考」』であると主張します。

 『アニマルスピリッツ』は、『人生・仕事の結果=考え方(「‟まねび”;真似を通じた学び」でもOK)×熱意×能力(実行力)~稲盛和夫~』の“熱意”を魂のレベルで持つこと、と言い換えることが出来ます。

 『アニマルスピリッツ的「CFO思考」』は、上場、非上場に関係なく重要な考えです。この様な熱意に基づく経営革新無くしては、日本経済・企業の再興はあり得ません。

 又、著者は『アニマルスピリッツ的「CFO思考」』を全社に拡大する仕組みとして、FP&A Job(Financial Planning & Analysis職) を経営企画部門・事業部門に置き、Corporate Planning機能、Business Planning機能、Finance機能、Accounting機能を有しながら、部門長とCFOの二人に報告するFP&A組織を提言します。

 人材面を考えると簡単ではありませんが、マトリックス組織の中で部分最適と全体最適のバランスを満たしながら成長を目指す組織として、傾聴に値します。それぞれの企業の実態に合わせた自社流FP&A組織から始めるのもいいですね。自社流FP&A組織は経営層の育成にも繫がります。

【「CFOの10の責任領域」を、非上場企業版に置き直してみよう】

 著者が示す「CFOの10の責任領域」を『非上場企業版「CFO思考」』に書き直してみました(次表)。非上場企業の「CFO」は、企業成長をもたらす戦略・戦術実施の「火付け役」、戦略・戦術を実行する為の社内組織・アウトソーシング組織の「結節点」としての役割を果たすことが期待されます。

   非上場企業版「CFO思考」(拡大・鮮明画像は下記PDF)

  拡大・鮮明画像(PDF)は下記URLからご覧ください

http://glomaconj.com/joho/blog/sakai20231226-ver2cfo.pdf

(注)「説明を要する英語略記」の脚注

  • CSV:Creating Shared Value(共創価値;詳細は下記URL記事を参照下さい。)

https://blog.goo.ne.jp/sakaigmo/e/5bd5d1081106658dfd30701380399928

  • ROIC逆ツリーによるKPI(詳細は下記URL pdfの3Pを参照下さい。)

http://www.glomaconj.com/joho/blog/sakaisensei20210928omron.pdf

  • CSA:Control Self-Assessment(社員自らが監査手続きに加わり、内部監査を行い、評価・課題発見・解決する監査方法。)

【その他の「CFO思考」について】

 以上の他、紹介本には貴社の「CFO思考」を刺激する素材が多くあります。是非、ご一読下さい。

  • 『非上場企業版「CFO思考」』で成長を(むすび)

 アニマルスピリッツに促された企業価値向上と企業成長を目指す「CSO思考」は非上場企業にとっても有益です。

 非上場企業におけるCFOの役割は、経理部門のDirectorが務めてもいいですし、Chairman・Presidentが兼務しても良いです。大事なことは『非上場企業版「CFO思考」』を実践することです。

 社員・社会を幸せにしたいという「アニマルスピリッツ」を持って、10の責任領域を、“自社流”の『非上場企業版「CFO思考」』で満たし、実践してみませんか。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

https://www.jmca.or.jp/member_meibo/2091/

http://sakai-gm.jp/index.html

 

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私の本棚2023.12.26「IMD世界競争力ランキング2023」

2023-12-26 11:24:52 | 経営コンサルタント

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