センムのブログ

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悪人その2「感想編」

2010-09-18 | 日記
今回は映画「悪人」を見た感想を。
ネタバラシはしませんので、まだ観ていない人もご安心を。

まずストーリー自体ですが、ハッキリ言いますが陳腐。
殺人者とそれにかかわる愛する(異論はあると思いますが)人、加害者と被害者の描写、そして逃避行とその行く末。もう数限りなく使われた「話の筋」なのです。

がしかし、この映画はそういった話の展開を観るものではないと思います。
私が思うこの作品のテーマは、「人の善と悪、正気と狂気」、そしてどれだけしっかりと生きているか。ではないでしょうか。
いったい何が善なのか、悪なのか。人の中にある狂気と、それに対峙する正気、これらが描かれた映画だとすると、前述の「陳腐な、わかりやすいストーリー」が生きてきます。
つまり、ストーリーの展開に観客が捕らわれることなくことなく、じっくりと「人の内面」について考えることができるからです。

映画の内容までは書きませんが、そのようなテーマを描いたにもかかわらず、マニア向けのアニメ映画のように「数回観ないと意味が汲み取れない」といったこともなく、スッキリと作られています。
ですからストーリー的にはこれといった山場はなく、粛々と進んでいく感じですが、ラスト20分あたりは、個々の登場人物の心の内面が一気に出てきます。

人からこの映画はオススメか。と聞かれたら「観るべきです」と答えます。
善とは何か、悪とは何か。世間の評価や多数の意見ではない、人の心を考えることはとても大切だからと思うからです。
私自身もこれをきっかけに、いろいろと考えることが増えたような気がします。

また、恥じない生き方、しっかり生きてきたと言えること。
これについても考えていくことになりそうです。