徒然草庵 (別館)

人、木石にあらねば時にとりて物に感ずる事無きに非ず。
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リアル世界の車窓から(2017秋)イタリア/ボローニャ/モデナ編

2017年10月09日 | 旅行
2017年10月、久しぶりに「我が心の故郷」イタリアを旅してきました。
前回はリグーリア三昧(+ちょっとだけトスカーナとエミリア・ロマーニャ)でしたが、今回は主にボローニャを拠点とした4州(エミリア・ロマーニャ、マルケ、ロンバルディア、ヴェネト)の食べ歩き&街歩きです。テーマは「リピートも良いけど、行ったことのない街にも出かけよう♪」← 単にER州内行き尽くした感があるだけ。

イタリアが好き、といってもそのマニアック度合いは文字通り個人別・能力別であるといっても過言ではありません。日本で見かけるイタリア旅行ガイドブックの9割以上が、ローマ/ミラノ/フィレンツェ/ヴェネツィア/ナポリといった「定番5都市」にしかフォーカスを当てていないことを苦々しく思っている「イタリアの地方旅行マニア」同志は少なからずいらっしゃると思います。(笑)
今回は「個人旅行だけど頑張って定番5都市以外に行ってみたい!」という方向けに、最新のイタリア旅案内をまとめてみました。何かのご参考になれば幸いです。

1.ボローニャについて
長靴の形をしたイタリア(本土部分)を移動する主要な鉄道交通網をざっくりと描くなら、アルファベット「y」の形になります(手元に地図かGoogleMapがあると良いでしょう)。イメージとしては「書き順の1画目/左上がミラノ、2画目/右上がヴェネツィア、書き終わりの一番下がローマ(→ナポリ)」になります。この「y」の2画が交わるポイントが、エミリア・ロマーニャの州都ボローニャです。



私がイタリア旅の出発点としてボローニャを推す理由は、とてもシンプル。

①ボローニャ国際空港(正式名アエロポルト・グリエルモ・マルコーニ、略称BLQ)が市街地に近い。
空港バス(BLQの表示あり)でボローニャ中央駅まで所要20分片道6€、運行は公式HPによると7〜21時の間は11分間隔)チケットは空港でも駅でも、バス乗場近くの自販機で購入可能。英語表示あり。http://aerobus.bo.it/en
タクシーでも20€程度で市内中心部のホテルに乗せて行ってくれます。(早朝深夜は割増あり)
これだけでも、ローマ(フィウミチーノ国際空港)やミラノ(マルペンサ国際空港)と比べてアドバンテージ大ありでしょう!
しかも「ボローニャなんて欧州各都市から乗り継ぎがあるの?」と言われそうですが、問題ありません。今回利用した関空→フランクフルト→ボローニャはルフトハンザ運航で、乗り継ぎ時間は2時間弱(広い空港のターミナル間移動を考えると、決して長くはありません)日本を出発した日の19時半過ぎにはボローニャに降り立っていましたし、夕食を本場の手打ちパスタのボロニェーゼソース、というのも勿論可能です♪
なお、乗り継ぎだけなら同じような北イタリアのヴェローナやヴェネツィアに就航するエアラインもありますが、ここでは「ボローニャからの各地への観光」の利便も加味しています。

②鉄道交通網の要衝である。
イタリア旧国鉄にはそれこそ学生時代から周遊パス含めてずいぶん乗ってきましたし、ひとかたならぬ苦労をさせられてきました(苦笑)。民営化されてからは、サービスはともかく、特にこの数年の主要駅でのハード面改善は目覚ましいものがあります。
ボローニャ中央駅も、ミラノ~ボローニャ~フィレンツェ~ローマ間やヴェネツィア~ボローニャ~ミラノ/ローマ間といった大都市を結ぶ超高速鉄道(いわば日本の新幹線みたいな位置付け)の専用地下ホームが完成して、窓口だけでなく自販機で購入ができ、乗車日時は勿論、時間帯や座席の指定、多言語対応OK&カード決済可能、と昔を知る人間としては「便利になった」に尽きるわけです。
では、ボローニャ中央駅から(だいたいで最も速い列車を使用した場合の)所要時間を見てみましょう。

ヴェネツィア(サンタ・ルチア駅) → 1時間25分
フィレンツェ(サンタ・マリア・ノヴェッラ駅) → 35分
ローマ(テルミニ駅) → 1時間53分
ミラノ(中央駅) → 1時間02分
ナポリ(中央駅) → 3時間15分

いかがでしょうか?最早「定番5都市」への移動は空路を使うのがバカバカしくなるほど便利になりました。勿論、イタリアあるある、で「乗るはずの列車が遅れる」というリスクは避けられませんが、空路でも同じようなことは頻繁にあります(私が経験しただけでも、ウィーン→ボローニャ便が3時間遅れとか、ミラノ→フランクフルトが1時間遅れとか)。

③宿泊費が比較的お値打ち&ビジネスホテルが多い。
ブックフェアなど国際見本市も開催されるボローニャ。ビジネス需要が多いので、いわゆる日本で言うところの中堅☆3クラスのビジネスホテルが多々あります。例えば今回フィレンツェにホテルを取ろうとしたところ「えっ!ここがこの値段?」というようなボッタクリ価格設定をサイトではちょくちょく見かけました。レストランも軒並み観光客価格ですしね・・・往復の交通費を差し引いても、フィレンツェのナイトライフにさして思い入れがないのであれば、日帰りにして地元価格で美味しいものが楽しめるほうが私的にはありがたいという判断です。(なお20時以降でもボローニャへの特急列車はそれなりの頻度で運行されていて、ミケランジェロ広場から古都の黄昏を楽しんで帰ることも可能です、とは経験者談 ^^)
とはいえ、各種見本市の期間は市内のめぼしいホテルが軒並み満室ということもありますので、スケジュールは早めのチェックを♪

④グルメの街である。
「ボロニェーゼ(ボローニャ風)」は知らなくても「スパゲッティ・ミートソース」なら誰もが知っている人気メニュー!そう、トマトとタマネギと肉のパスタソースです。これだけではなく、ハムもソーセージも野菜もパスタも肉も、何でも美味しい食い倒れ歓喜の街、それがボローニャ♪観光の目玉で市内の中心でもあるドゥオモ(大聖堂)から東側の路地は、下町っぽい市場エリアで、安くて美味しいお店がたくさんあります。
ちゃんとしたレストランを、という向きには、某旅行アドバイザーサイトのランキングで調べるも良し、ホテルの人に「このくらいの予算でおすすめのお店を」「何を食べたい」などと希望を伝えて、アドバイスを貰うのも楽しいですよ〜。

そんなわけで。最初はボローニャとお隣のモデナのご案内です。



★ボローニャの見どころ
・ドゥオモ(大聖堂)と展望テラス(入れない時あり)
・斜塔(アジネッリとガリゼンダの塔、アジネッリの塔のみ上れます)   
 http://www.bolognawelcome.com/en/home/discover/places/architecture-and-monuments/towers/le-due-torri-garisenda-e-degli-asinelli/
・ピナコテカ(国立絵画館) 
 ラファエロ作「聖チェチーリア」、ヴァザーリ作「聖グレゴリオ・マーニョの晩餐」他、13〜17世紀の板絵〜ボローニャ派コレクションが豊富。
・市場街(ドゥオモ東側)

★ボローニャの食べ歩き
・タリオリーニのボロニェーゼ風(平たい手打ち生パスタのミートソース。通常スパゲッティ等の乾麺は使いません)
・モルタデッラ(別名:ボローニャソーセージ。大きなものだと直径30cm近いものも)
・生ハム、サラミ、チーズ類(有名なパルマだけでなく、各地に自慢の名品があります)
・初夏ならアスパラガス、秋口ならポルチーニや黒トリュフを使ったパスタなどをぜひ!





お気に入りのレストランで名物タリアテッレのボローニャ風ミートソース、旬の生ポルチーニ茸と野菜のグリル、ビーフハムのカプレーゼ風、仔牛のグリルバルサミコソース、ハムとサラミ!




半日もあればさらっと見て回れるので、市場街のオステリア(居酒屋)で地元特産のハム類や「ピアディーナ piadina」と呼ばれる平たいパンケーキのような生地に具を挟んだサンドイッチ、「ティジェッロ tigello」という小さな丸い焼きパンでお昼を食べてから、列車に乗ってモデナに行ってみましょう♪ボローニャからモデナへは、REやREVの地域間急行などで約30分です。



ここで注意すべきは「モデナや他の小都市に止まる列車は、必ずボローニャ中央駅の地上ホームから出る!」地下からは絶対に出ませんので、到着ホーム間違い、お乗り間違いのないように・・・私2回引っかかりました(恥)。

★モデナの見どころ http://www.visitmodena.it/english/not-to-be-missed/art-and-culture?set_language=en
・ドゥオモ
・ギルランディーナの塔(上れます)
・ドゥカーレ宮殿(現:イタリア軍士官学校/運が良ければ制服の凛々しい士官候補生たちに町中で遭遇できます)
・エステンセ美術館※ 
・モデナ市立博物館※
・図書館※(※これら3つは同じ建物内にあります)
・フェラーリ博物館(駅近くのと、本拠地マラネッロの2カ所)←マラネッロへはシャトルバスあり
・パヴァロッティ博物館(モデナ市街の南郊外にありアクセスが不便、タクシーしかない)

エステンセ美術館、ベルニーニもボッティチェッリもティントレットも良かったけど、アマーティのヴィオラが剥製のように展示されてて絶句・・・居合わせた老婦人が「こんな風に飾っておくより、弾いてあげた方が幸せよね?」と話しかけてきて、思わず「その通り!」とぶんぶん頷いてしまいました。ちょっと調べたら四世紀近く人の手にほとんど触れずにきたとか。なんて勿体ない!(あくまで個人の感想です)



モデナはエミリア・ロマーニャ州内でも屈指の美食の町。故パヴァロッティ氏の故郷でもあり、何故か納得するものがあります。(笑)

★モデナの食べ歩き
・モルタデッラを始めとするハムやサラミ類
・ストラッキーノチーズ(白いクリームチーズに似た酸味のある牛のチーズ。デザートにどうぞ)
・トルテッリーニ(ワンタンのように詰め物をした生パスタ。コンソメスープといただきます)
・地元名産バルサミコ酢(正式名:アチェート・バルサミコ・ディ・モデナ)
工場見学もできるようです。モデナからカルピ方面のローカル各停列車で一駅の「Quattro Ville」に老舗ジュスティ社があります。
・ランブルスコワイン
珍しい赤の発泡酒。濃いルビー色のランブルスコと、モデナ市内で人気のあるソルバーラというブドウから作ったオレンジに近いトパーズピンクのランブルスコがあります。ランブルスコワインだけを専門に飲ませる酒屋兼立ち飲み屋もあったり。店主にオススメを聞きながらテイスティングさせてもらって、自分に合う1本をどうぞ♪



おすすめのレストランは?とよく聞かれますが、こればっかりは予算や雰囲気、料理のスタイルが好みかどうか・・・某旅のアドバイザーサイトのレビューなども参考に、実際に足を運んで「この雰囲気、イケそうか、否か?」を判断するのが一番です。
なお量が多いことでも有名な&日本人旅行者泣かせなイタリア料理。余程のナマモノ/高級店でない限り、ハムとかサラミ、チーズは「お持ち帰り」できます。「ポッソ ポルターレ ヴィア?」とお願いすると、紙箱やアルミ箔でパックしてくれます。イタリアを旅する人には是非勇気だしてチャレンジしていただきたい一言です。←そして明日の朝食になる(笑)。

美食の町モデナの美味しい晩餐。ハーブ入りリコッタのトルテリーニ&ゴルゴンゾーラソース、各種野菜とウサギのコンフィ、ザンポーネ(豚足に脂身多目の挽肉を詰めたモデナ特産のソーセージ)マッシュポテトと豆のトマト煮込み。もちろん地元のランブルスコで♪



私たちが訪れた10/1は偶然モデナのフードフェス。夕方6時から町中で美味しい屋台がいっぱい出て&地元レストランも協賛で、特産のグルメを食べ歩くことができるとか。お昼はまだ早いかな、と歩いていると、ドゥオモのとなりの広場に隣町カステルフランコエミリアのトルテリーニスープを売るテントが!
肌寒い日とあって行列が。パスタを用意している売り子のオジサンが、私が日本人と分かると「イタリア語出来るのか?20年前に京都行ったよ、大昔だな!」と破顔一笑。この愛想、まさしくイタリアクオリティ♪(笑)





他にもいっぱいお客さんは居たのですが、私と相方が仮設のテーブルで食べてる傍までわざわざ来てくれたオジサンは「味はどう?気に入ったかい?」とニッコリ。塩味のきいたハムとリコッタ&パルミジャーノのWチーズ入り手打ちパスタは、熱々コンソメスープとの相性抜群!肌寒い日の心温まるご馳走でした。

(つづく)