ワンツーワークス『アジアン・エイリアン』
6/24(土)公演 アフタートーク「水を使う」
ゲスト:俳優 奥村洋治さん、美術担当 礒田ヒロシさん
(本物の水を使う舞台)
奥村洋治さん「今回舞台で本物の水を使っていますが、この深さ(5cmほど)だとポンプで吸い上げて引かせるのに小一時間かかるんです。この舞台の広さだと3cmで1トン。だから2トンはあります」
美術担当礒田ヒロシさん「リハで水入れすぎて溢れたんだよね(笑)」
奥村さん「そうそう!」
礒田さん「劇場だから舞台の下に水がしみたら大変なことになるでしょう?だから防水シートでプール状にして、漏れないように、ってそればかり考えてたら、役者の動きでこう(足を動かす)波が起きることまで考えてなかった」
奥村さん「(自分の演じる)境田のラストのね」
礒田さん「クライマックスでしょ。そこでザッパーン!ってプールの端を越えちゃった(笑)だから、芝居に必要な水量と、プールの許容範囲の間で」
奥村さん「ちなみにここに黒い防水シートの実物がありますが」
礒田さん「まずブルーシートを全面に貼って、その上に木製のブロックでプールの枠を作って…さらに黒い防水シートを枠の寸法に合わせて立体的に裁断&縫製して、すっぽり被せたんですよ。ポリ素材なので縫い合わせも糸じゃなくて、溶かして融着っていうの?あれでくっつけたの。それを防水の養生テープで(床に)くっつけて、さらに劇場の壁とかもシートかけて覆うんです」
礒田さん「劇場の壁にある電源コンセントや音響・照明なんかの電気配線も全部防水シートでカバーしてます。万が一ショートしたら、ボンって全部消えて暗転しちゃっておしまいですからねえ(笑)」
奥村さん「床も?」
礒田さん「床はいったん同じようにしたんだけど…最初や最後のムーブメント(振り付け)の時に、革靴の底でグイって力かけたら破れちゃうんじゃないか?そうしたら水漏れるよね?って思ったから、ダンスなんかの床材で使う、リノリウムを敷いて、防水テープで止めました」
(舞台セットについて)
奥村さん「17~18年前にシアタートップスで上演した時は、舞台後方のドアが本物で、開けると(劇場のあった)歌舞伎町の夜景や喧騒がバーン、ホントに救急車の音が聞こえたり。今回は楽屋スペースに食い込む形でドアを作ったので、外に見えるようにSE使ったり…でも、前はあの劇場(の立地や構造)だからできた、っていうのもあったよねえ。礒田さんは劇場スペースをいっぱいいっぱいで使う人だから」
礒田さん「楽屋が狭い(笑)あと、オープニングでキャストがよじ登ってくるフェンスは、体重かけても大丈夫なように鉄骨製にしてあるんですよ」
奥村さん「で、今日はバックステージツアーなので、舞台裏を見ていただきます。皆さんにこの2トンの水がどこから来るか、ポンプとかタンクとか見たい?じゃあ見せましょうか?って考えてたんですけど(拍手)…人数が多いので4グループに分かれて、順路に沿って見ていってくださいね!」
(バックステージ見学)
30人ずつくらいで見学。フェンスの後ろにキャストが隠れるスペースがあるものの意外に狭かったり、足音がしないように布団が敷いてあったり、舞台袖の小道具置き場には上演中に出てきたあれやこれやのアイテムが所狭しと並んでいたり…興味津々!
劇団員の方がミニ解説もしてくださるサービスつき♪
(客席からのQ&A)回答は奥村さん、時々礒田さん
Q:今は映像や照明でかなり本格的な視覚的効果も出せるようになってきていると思いますが、あえて舞台で「本物の水」を使う理由は何ですか?
A:最後の方で白い水の張った床をスクリーンのようにできることや、ドアの下から気づかないうちにじわじわと染み出してくるイメージというのを伝えたかった、と確か演出家は言ってました!(笑) あの水には、登場人物たちは気づいていない、 見えていない前提で(芝居を)やっていくんですね。水を通して、身体や心に知らないうちに染み込んでいるもの、というのを見せたかったのだと思います。
Q:冒頭の「足元に何かはまっているように重そうな足取りで歩いてくる」場面も(まだ出てきていないけど)イメージは水ですか?
A:そうです。フェンスを必死によじ登って乗り越えて来るシーンもそうなんですが、あの水は抵抗や障害の象徴でもあって。あと、国境や海を越えて渡ってくるイメージも重ねているそうです。
Q:なるほど、田んぼの泥じゃなかったんですね~(笑)
A:田植えか~!(爆笑) ←ジェスチャーつき
Q:舞台セット以外でも、小さな日の丸を溶かして赤く水を染めていくシーンや「水のような人間」という台詞にもあったように、水というのはどこか象徴的に使われていますよね?
A:赤い水は、そのまま血のイメージですね。あの水に溶ける紙で作った日の丸は、いろんなインクや染料で試してみて、よし、これでいこう、と。あと、塗ったインクの乾燥度合いでも、水に溶けるスピードが変わるようなので、今は開演前30分くらいにキャスト総出でせっせと色塗って作ってます。
Q:途中で出てくる白い水は、どうやって作っているんですか?
A:あの色は入浴剤です。500リットルのタンクが舞台袖に2個あって、最初は無色透明の水道水を流します。お芝居の途中でタイミング見計らって、舞台監督さんが一気に白い水を流し込むんですよ。ただタンクのバルブを開けてから水が舞台に流れ出すまで(ホースの距離等の)タイムラグが生じるので、芝居に上手く合わせられるか、ここは舞監さんの腕の見せどころです!(拍手)
Q:使った水はまた使い回してるんですか?
A:そんな事したら(衛生面で大いに問題あり)私は病気になってしまいます!毎回全部捨ててます!(笑)
Q:役者の皆さんは足や身体が水に浸かりながらお芝居をされていて、寒くないですか?
A:正直、冷えます!寒いです!私(=奥村さん)はラストの場面で身体全体が水に浸かってますが、まだ(身体の)前面だから良かったなあ、って思うんです。岬役の山田(悠介)くんなんか、背中から仰向けになって、さらに横にも寝そべるような体勢だから、もうめちゃくちゃ冷えると思う。あれ自分じゃなくて良かった~って!(笑)
Q:毎回濡れてしまう衣装に替え(予備)はありますか?
A:基本ありません。私が演じている境田のスーツだと、安いやつで(笑)2パンツスーツを買ってきたから、ズボンは2本ありますが。靴も濡れるので、終演後に着替えたら、乾燥機で急いで乾かしてます。乾かすのは、布団乾燥機を3台フル回転で使っています。送風口に、大きな半透明のゴミ袋を繋ぎ合わせたカバーで衣装かけハンガーをすっぽり包んで、ゴーって温風を送り込みます。
Q:2回公演の時など、乾くの間に合いますか?
A:う~ん(笑)、正直ちょっと…な時はありますね。バックステージで見ました?新聞紙詰めたり、タオルで水気叩いて取ったりして、できるだけ対処はしてから乾かすんです。それでも靴履いたら何となくシットリ感があって(笑)。一番嫌なのは、服に袖通したとき「湿ってる!」でもやるよ!やりますよ!役者ですから!(大きな拍手)
Q:奥村さんの時計は素敵な時計ですが、劇中で「時間わかんないよ」っておっしゃってましたが、壊れているんですか?
A:実は腕時計は萩原流行さんからのプレゼントで。共演させていただいた時に、飲みの席で「お前も大人なんだから良い時計しろよ~!」って言われて。その場で貰ったはいいのだけど、翌日に落として壊してしまって。でも捨てられるわけないし、ずっと持ってて、いつ使うんだ!?そうだ、こういう時(芝居)に役立つ!という訳で今回のお芝居の小道具になりました。
★
ラストの締めは奥村さんから。
(見学し終わったグループに)待たせてしまってスミマセン、出来たら最後まで残っていただけますか?何か観た後みんな即帰っちゃったら私もどうしていいかわかんないですし(笑)「ハイ見ましたね、それでは終わりましょう!」って締めたいので、ご協力をお願いします。(笑)
他にも客席からご質問は出ていたかもしれませんが、私が聞き取れた範囲ではこれで全てです。
こんなのもあったよ~という質問をご存知でしたら、こっそり教えて頂ければ幸いです。
6/24(土)公演 アフタートーク「水を使う」
ゲスト:俳優 奥村洋治さん、美術担当 礒田ヒロシさん
(本物の水を使う舞台)
奥村洋治さん「今回舞台で本物の水を使っていますが、この深さ(5cmほど)だとポンプで吸い上げて引かせるのに小一時間かかるんです。この舞台の広さだと3cmで1トン。だから2トンはあります」
美術担当礒田ヒロシさん「リハで水入れすぎて溢れたんだよね(笑)」
奥村さん「そうそう!」
礒田さん「劇場だから舞台の下に水がしみたら大変なことになるでしょう?だから防水シートでプール状にして、漏れないように、ってそればかり考えてたら、役者の動きでこう(足を動かす)波が起きることまで考えてなかった」
奥村さん「(自分の演じる)境田のラストのね」
礒田さん「クライマックスでしょ。そこでザッパーン!ってプールの端を越えちゃった(笑)だから、芝居に必要な水量と、プールの許容範囲の間で」
奥村さん「ちなみにここに黒い防水シートの実物がありますが」
礒田さん「まずブルーシートを全面に貼って、その上に木製のブロックでプールの枠を作って…さらに黒い防水シートを枠の寸法に合わせて立体的に裁断&縫製して、すっぽり被せたんですよ。ポリ素材なので縫い合わせも糸じゃなくて、溶かして融着っていうの?あれでくっつけたの。それを防水の養生テープで(床に)くっつけて、さらに劇場の壁とかもシートかけて覆うんです」
礒田さん「劇場の壁にある電源コンセントや音響・照明なんかの電気配線も全部防水シートでカバーしてます。万が一ショートしたら、ボンって全部消えて暗転しちゃっておしまいですからねえ(笑)」
奥村さん「床も?」
礒田さん「床はいったん同じようにしたんだけど…最初や最後のムーブメント(振り付け)の時に、革靴の底でグイって力かけたら破れちゃうんじゃないか?そうしたら水漏れるよね?って思ったから、ダンスなんかの床材で使う、リノリウムを敷いて、防水テープで止めました」
(舞台セットについて)
奥村さん「17~18年前にシアタートップスで上演した時は、舞台後方のドアが本物で、開けると(劇場のあった)歌舞伎町の夜景や喧騒がバーン、ホントに救急車の音が聞こえたり。今回は楽屋スペースに食い込む形でドアを作ったので、外に見えるようにSE使ったり…でも、前はあの劇場(の立地や構造)だからできた、っていうのもあったよねえ。礒田さんは劇場スペースをいっぱいいっぱいで使う人だから」
礒田さん「楽屋が狭い(笑)あと、オープニングでキャストがよじ登ってくるフェンスは、体重かけても大丈夫なように鉄骨製にしてあるんですよ」
奥村さん「で、今日はバックステージツアーなので、舞台裏を見ていただきます。皆さんにこの2トンの水がどこから来るか、ポンプとかタンクとか見たい?じゃあ見せましょうか?って考えてたんですけど(拍手)…人数が多いので4グループに分かれて、順路に沿って見ていってくださいね!」
(バックステージ見学)
30人ずつくらいで見学。フェンスの後ろにキャストが隠れるスペースがあるものの意外に狭かったり、足音がしないように布団が敷いてあったり、舞台袖の小道具置き場には上演中に出てきたあれやこれやのアイテムが所狭しと並んでいたり…興味津々!
劇団員の方がミニ解説もしてくださるサービスつき♪
(客席からのQ&A)回答は奥村さん、時々礒田さん
Q:今は映像や照明でかなり本格的な視覚的効果も出せるようになってきていると思いますが、あえて舞台で「本物の水」を使う理由は何ですか?
A:最後の方で白い水の張った床をスクリーンのようにできることや、ドアの下から気づかないうちにじわじわと染み出してくるイメージというのを伝えたかった、と確か演出家は言ってました!(笑) あの水には、登場人物たちは気づいていない、 見えていない前提で(芝居を)やっていくんですね。水を通して、身体や心に知らないうちに染み込んでいるもの、というのを見せたかったのだと思います。
Q:冒頭の「足元に何かはまっているように重そうな足取りで歩いてくる」場面も(まだ出てきていないけど)イメージは水ですか?
A:そうです。フェンスを必死によじ登って乗り越えて来るシーンもそうなんですが、あの水は抵抗や障害の象徴でもあって。あと、国境や海を越えて渡ってくるイメージも重ねているそうです。
Q:なるほど、田んぼの泥じゃなかったんですね~(笑)
A:田植えか~!(爆笑) ←ジェスチャーつき
Q:舞台セット以外でも、小さな日の丸を溶かして赤く水を染めていくシーンや「水のような人間」という台詞にもあったように、水というのはどこか象徴的に使われていますよね?
A:赤い水は、そのまま血のイメージですね。あの水に溶ける紙で作った日の丸は、いろんなインクや染料で試してみて、よし、これでいこう、と。あと、塗ったインクの乾燥度合いでも、水に溶けるスピードが変わるようなので、今は開演前30分くらいにキャスト総出でせっせと色塗って作ってます。
Q:途中で出てくる白い水は、どうやって作っているんですか?
A:あの色は入浴剤です。500リットルのタンクが舞台袖に2個あって、最初は無色透明の水道水を流します。お芝居の途中でタイミング見計らって、舞台監督さんが一気に白い水を流し込むんですよ。ただタンクのバルブを開けてから水が舞台に流れ出すまで(ホースの距離等の)タイムラグが生じるので、芝居に上手く合わせられるか、ここは舞監さんの腕の見せどころです!(拍手)
Q:使った水はまた使い回してるんですか?
A:そんな事したら(衛生面で大いに問題あり)私は病気になってしまいます!毎回全部捨ててます!(笑)
Q:役者の皆さんは足や身体が水に浸かりながらお芝居をされていて、寒くないですか?
A:正直、冷えます!寒いです!私(=奥村さん)はラストの場面で身体全体が水に浸かってますが、まだ(身体の)前面だから良かったなあ、って思うんです。岬役の山田(悠介)くんなんか、背中から仰向けになって、さらに横にも寝そべるような体勢だから、もうめちゃくちゃ冷えると思う。あれ自分じゃなくて良かった~って!(笑)
Q:毎回濡れてしまう衣装に替え(予備)はありますか?
A:基本ありません。私が演じている境田のスーツだと、安いやつで(笑)2パンツスーツを買ってきたから、ズボンは2本ありますが。靴も濡れるので、終演後に着替えたら、乾燥機で急いで乾かしてます。乾かすのは、布団乾燥機を3台フル回転で使っています。送風口に、大きな半透明のゴミ袋を繋ぎ合わせたカバーで衣装かけハンガーをすっぽり包んで、ゴーって温風を送り込みます。
Q:2回公演の時など、乾くの間に合いますか?
A:う~ん(笑)、正直ちょっと…な時はありますね。バックステージで見ました?新聞紙詰めたり、タオルで水気叩いて取ったりして、できるだけ対処はしてから乾かすんです。それでも靴履いたら何となくシットリ感があって(笑)。一番嫌なのは、服に袖通したとき「湿ってる!」でもやるよ!やりますよ!役者ですから!(大きな拍手)
Q:奥村さんの時計は素敵な時計ですが、劇中で「時間わかんないよ」っておっしゃってましたが、壊れているんですか?
A:実は腕時計は萩原流行さんからのプレゼントで。共演させていただいた時に、飲みの席で「お前も大人なんだから良い時計しろよ~!」って言われて。その場で貰ったはいいのだけど、翌日に落として壊してしまって。でも捨てられるわけないし、ずっと持ってて、いつ使うんだ!?そうだ、こういう時(芝居)に役立つ!という訳で今回のお芝居の小道具になりました。
★
ラストの締めは奥村さんから。
(見学し終わったグループに)待たせてしまってスミマセン、出来たら最後まで残っていただけますか?何か観た後みんな即帰っちゃったら私もどうしていいかわかんないですし(笑)「ハイ見ましたね、それでは終わりましょう!」って締めたいので、ご協力をお願いします。(笑)
他にも客席からご質問は出ていたかもしれませんが、私が聞き取れた範囲ではこれで全てです。
こんなのもあったよ~という質問をご存知でしたら、こっそり教えて頂ければ幸いです。