卒業式が終わった。
最後のホームルームがあるというので教室へ向かった。
先生が卒業証書を一人ずつに手渡す。
生徒は教壇で最後の一言。
思ったとおりの一言だった。
しかし・・・
学校を休みがちな生徒たちは、皆、クラスの仲間たちに感謝していた。
クラスに馴染めるか心配していたころ、”いじって”もらって有り難かった。
朝、”おはよう”と声をかけられ、うれしかった。
皆、涙を流していた。
”いじった”彼ら、”おはよう”と声をかけた彼女らにとって、遠く忘れられた記憶。
最後のホームルームは、そんな微かな記憶を呼び戻した。
皆、遠くを見つめていた。
戻ることのない教室に思い出を刻んだ。